優しい言葉をかけられると、なぜか居心地が悪くなる。 好意を向けられると、どうしても身構えてしまう。 愛されたいと思う一方で、いざ愛されそうになると逃げ出したくなる。
そんな自分に困惑している。本当は誰かに愛されたいのに、愛される自分を受け入れることができない。
愛される資格がないという思い込み
心の奥で、こんな声がささやく。
「私なんかが愛される資格があるの?」 「こんな私を好きになるなんて、きっと相手は私のことを分かっていない」 「本当の私を知ったら、きっと離れていく」
これらの声は、長い間私たちの心に住み着いている。いつからそんなふうに思うようになったのか、もう覚えていない。でも確実に言えるのは、この思い込みが愛される喜びを素直に受け取ることを妨げているということ。
私も大学時代、誰かから好意を向けられるたび、「なぜ私なんかを?」という疑問が頭をよぎった。相手の気持ちを疑ったり、自分の欠点ばかりを探したり。せっかくの温かい気持ちを、自分で台無しにしてしまっていた。
愛されることへの恐怖
愛されることが怖い理由は、実はとても複雑。
愛されれば、いつかは失う可能性もある。愛されれば、相手に応えなければいけないプレッシャーも生まれる。愛されれば、今までの自由な一人の時間も変わってしまう。
そして何より、愛されることは「期待される」ことでもある。相手の期待に応えられなかったらどうしよう。がっかりされたらどうしよう。そんな不安が、愛されることを重荷に感じさせてしまう。
でも、この恐怖は決して異常なことではない。多くの人が、程度の差こそあれ同じような気持ちを抱えている。
完璧でない自分を愛してもらう不安
私たちは、完璧でない自分を知っている。
朝起きるのが苦手で、部屋が散らかりがちで、時にはわがままで、感情的になることもある。そんな自分の「素の部分」を相手に見せるのが怖い。
でも考えてみてほしい。あなたが誰かを愛するとき、その人の完璧さを愛しているだろうか。むしろ、その人の人間らしい部分、少し不完全な部分にも愛おしさを感じるのではないだろうか。
愛は完璧さを求めるものではない。むしろ、不完全さを含めて受け入れるのが愛。
小さな愛情から受け取る練習
いきなり大きな愛を受け入れるのは難しい。でも、小さな愛情から練習することはできる。
友達からの「お疲れさま」という言葉を、素直に受け取ってみる。 家族からの心配を、うっとうしがらずに有り難く思ってみる。 同僚からの「今日可愛いね」という言葉に、「そんなことない」ではなく「ありがとう」と答えてみる。
これらの小さな練習が、やがて大きな愛を受け取る準備になる。
私も最初は抵抗があった。素直に喜ぶことが恥ずかしくて、つい謙遜してしまう。でも少しずつ、相手の気持ちを受け取ることの温かさを感じるようになった。
愛されることは権利である
愛されることは、特別な人だけに与えられる特権ではない。すべての人が持っている基本的な権利。
あなたには愛される価値がある。今のあなたのままで。完璧になる必要も、特別な何かを成し遂げる必要もない。
ただ、あなたがあなたであることが、誰かにとっては唯一無二の価値を持つ。
相手の気持ちも尊重しよう
愛されることを拒否することは、時として相手の気持ちを否定することでもある。
相手があなたを愛しているなら、その気持ちには価値がある。その気持ちを「間違い」だと決めつけるのは、相手に対して失礼かもしれない。
もちろん、すべての好意を受け入れる必要はない。でも、真摯な愛情に対しては、少なくとも感謝の気持ちを持ちたい。
愛されることで成長する
愛されることは、私たちを成長させる。
誰かに大切に思われることで、自分自身も自分を大切にしようと思える。誰かの愛情を受けることで、自分も人を愛する方法を学べる。
愛は循環する。受け取ることで、与えることもできるようになる。
不完全な愛も愛
完璧な愛なんて存在しない。相手も人間だから、時には理解してもらえないこともある。時にはけんかもする。時にはすれ違うこともある。
でも、それでも愛は愛。不完全だからといって価値がないわけではない。
むしろ、不完全さを含めてお互いを受け入れ合うのが、本当の愛なのかもしれない。
今日から始める小さな一歩
誰かに愛される自分を受け入れるために、今日からできること。
まず、自分に優しくしよう。自分を責める声が聞こえたら、「でも私は頑張っている」と言い返してみよう。
そして、誰かからの優しさを素直に受け取ってみよう。「ありがとう」と言うことから始めよう。
最後に、鏡の中の自分に向かって「あなたは愛される価値がある」と言ってみよう。最初は照れくさいかもしれないけれど、きっと少しずつ本当のことだと思えるようになる。
あなたはすでに愛されている
実は、あなたはすでに誰かに愛されている。
家族、友達、ペット、時にはまだ出会っていない誰か。形は違っても、あなたを大切に思っている存在がいる。
その事実を認めることから始めよう。そして、その愛情を素直に受け取る勇気を育てていこう。
愛されることは怖いことじゃない。とても自然で、とても美しいこと。
あなたには、その美しさを体験する資格がある。今のままのあなたで。