好きになった人の考え方が、自分とは全然違うことに気づいたとき。
最初はその違いさえも魅力的に見えていたのに、だんだんと「どうして分かってくれないの？」という気持ちが膨らんできて、戸惑ってしまう。
でも、この人を大切に思う気持ちは本物だから、何とかしてその違いを受け入れたい。そんな風に思うあなたの優しさを、私はとても理解できる。
価値観の違いに気づく瞬間
恋愛の初期は、相手の良いところばかりが目に映る。でも時間が経つにつれて、だんだんと違いが見えてくる。
お金に対する考え方。 時間の使い方。 家族への接し方。 将来への考え方。 仕事に対する価値観。
こうした違いに直面したとき、「この人は私のことを本当に理解してくれるのだろうか」という不安が生まれる。
私も過去に、大切に思っていた人との価値観の違いに悩んだことがある。相手は「今を楽しむこと」を重視するタイプで、私は「将来のために備えること」を大切にするタイプだった。
最初はお互いにないものを持っているから魅力的に感じていたのに、いざ深い話をすると「この人とはやっていけないかも」と思ってしまった。
違いを拒絶したくなる気持ち
価値観の違いを目の当たりにすると、つい相手を変えようとしてしまう。
「私の考えを理解してほしい」 「なぜそんな風に考えるの？」 「もう少し私に合わせてくれたら」
でも、相手を変えようとすればするほど、距離は開いていく。そして自分も疲れてしまう。
大学でコミュニケーション学を学んでいたとき、印象的な言葉に出会った。
「理解することと、同意することは違う」
相手の価値観を理解することはできても、必ずしも同意する必要はない。そして同意できなくても、その人を大切に思う気持ちは変わらない。
違いがあるからこそ豊かになる
考えてみれば、もし相手が自分と全く同じ価値観だったら、退屈かもしれない。
違いがあるからこそ、新しい視点を教えてもらえる。 違いがあるからこそ、自分の考えを見つめ直すきっかけになる。 違いがあるからこそ、お互いを補い合える。
私の友人で、とても対照的なカップルがいる。彼女は計画的で慎重、彼は自由奔放で直感的。傍から見ていると「合わないのでは？」と思うことがあるけれど、彼らはとても幸せそう。
彼女は彼から「今を楽しむこと」を学び、彼は彼女から「将来を考えること」を学んでいる。お互いの違いを否定するのではなく、学び合っている。
受け入れるための小さなステップ
価値観の違いを受け入れるのは、一朝一夕にはできない。でも、小さなステップから始めることはできる。
1. まず自分の価値観を理解する
相手を受け入れる前に、まず自分自身の価値観がどこから来ているのかを理解しよう。
家庭環境？ 過去の経験？ 憧れている人の影響？
自分の価値観の「根っこ」が分かると、それが絶対的なものではないことに気づく。
2. 相手の背景を想像してみる
相手の価値観にも、必ず理由がある。どんな経験をして、どんな環境で育って、今のような考え方になったのか。
批判するのではなく、「なぜそう思うのだろう？」と興味を持って聞いてみる。すると、相手の価値観にも納得できる部分が見えてくる。
3. 完全な理解を求めない
お互いに100%理解し合うことは、現実的ではない。70%理解できれば十分。残りの30%は「この人らしさ」として受け入れる。
4. 核となる価値観を見極める
すべての価値観が重要なわけではない。本当に大切なのは、人生の核となる部分での価値観。
「人を大切にする」「誠実であること」「思いやりを持つこと」
こうした根本的な部分で一致していれば、細かい違いは乗り越えられる。
違いを楽しむ心の余裕
時間が経つにつれて、価値観の違いを「面白いもの」として楽しめるようになることがある。
「この人はそんな風に考えるんだ」 「私にはない発想だな」 「教えてもらった」
そんな風に思えるようになったら、関係はより深く、豊かになる。
受け入れられない部分があっても大丈夫
でも、どうしても受け入れられない価値観もある。それも自然なこと。
無理に受け入れる必要はない。ただ、それが相手の全人格を否定する理由にはならない。
大切なのは、お互いの境界線を尊重しながら、一緒にいられる部分を大切にすること。
あなたの優しさを大切に
相手との価値観の違いを受け入れたいと思うあなたの気持ちは、とても美しい。
その優しさと寛容さは、きっと相手にも伝わっている。完璧に受け入れられなくても、その気持ちがあるだけで十分。
人を愛するということは、相手のすべてを理解することではない。理解できない部分も含めて、その人を大切に思うこと。
あなたのその温かい心を、まず自分自身が大切にしてね。そして、できる範囲で相手を受け入れていけばいい。
完璧でなくても、あなたらしい愛し方で、きっと素敵な関係を築いていけるから。