深夜の静寂の中で、ふとこんなことを考えてしまう。
「私は本当に、誰かに愛される資格があるのだろうか。」
この疑問は、心の奥底から湧き上がってくる。理屈では「みんな愛される価値がある」と分かっているつもりなのに、いざ自分のこととなると、確信が持てない。
愛される「資格」って何だろう
そもそも、愛される「資格」って何だろう。
美しくあること? 優しくあること? 誰かの役に立つこと? 完璧であること?
でも考えてみれば、赤ちゃんは何もできないのに愛される。ペットは人間の言葉も話せないのに愛される。愛に資格なんて、本当は存在しないのかもしれない。
それなのに、なぜ私たちは自分だけは例外だと思ってしまうのだろう。
過去の傷が作り出した疑問
この疑問の根っこには、多くの場合、過去の傷がある。
「お前なんか愛されるわけがない」と言われたこと。 大切に思っていた人に裏切られたこと。 頑張っても認めてもらえなかったこと。 いつも後回しにされたこと。
私も学生時代、友人グループの中でいつも「空気のような存在」だった。みんなで写真を撮るとき、気づくと端にいる。会話に入ろうとしても、なんとなくスルーされる。
そんな経験が積み重なると、「私は愛される価値のない人間なんだ」という思い込みが心に根を張ってしまう。
完璧主義の罠
愛される資格があるかわからないと感じる人の多くは、実は完璧主義者だ。
「完璧でないと愛されない」 「何か特別な価値を提供しないと愛されない」 「欠点があったら愛されない」
そんな思い込みに支配されている。
でも現実は違う。完璧な人なんて存在しないし、完璧だから愛されるわけでもない。むしろ、その人の欠点や弱さも含めて愛するのが、本当の愛情だと思う。
私も長い間、「役に立つ自分」でいなければと思っていた。相手に何かを与えられる自分、必要とされる自分でなければ、愛される資格がないと信じていた。
でもそれは愛ではなく、取引だった。
条件付きの愛への恐れ
「もし本当の自分を知られたら、愛されなくなるのではないか」
この恐れが、愛される資格への疑問を深くしている。
私たちは幼い頃から、条件付きの愛を経験することがある。「良い子でいれば愛される」「言うことを聞けば愛される」「成績が良ければ愛される」。
そうやって学んだ愛は、常に何かと引き換えのもの。だから大人になっても、「ありのままの自分」では愛されないと思い込んでしまう。
自分を愛することから始まる
でも気づいたことがある。
誰かに愛される前に、まず自分自身を愛することが大切だということ。
自分を愛するって、自分を甘やかすことじゃない。自分の良いところも悪いところも、全部含めて「これが私なんだ」と受け入れること。
私は長い間、自分の内向的な性格を恥じていた。もっと明るく、もっと社交的になれたらと思っていた。でも今は、この静かな時間を大切にできる自分も悪くないと思える。
愛は権利ではなく、贈り物
愛される「資格」について考えるとき、私たちは愛を権利のように捉えがちだ。
でも愛は権利ではなく、贈り物。資格があるから与えられるものではなく、ただ純粋に相手の心から生まれるもの。
だから、愛されるために何かになる必要はない。愛されるために何かを証明する必要もない。
あなたが今ここに存在していること。それだけで十分。
あなたの存在そのものに価値がある
あなたの価値は、何ができるかではなく、あなたがあなたであることにある。
あなたの優しい心。 あなたの繊細な感受性。 あなたの真面目さ。 あなたの一生懸命さ。 そして、あなたの弱さや不安も含めて。
これらすべてが、かけがえのないあなたを形作っている。
愛は突然やってくる
愛される資格について悩んでいるとき、愛は思いがけない形でやってくることがある。
完璧になろうと努力しているときではなく、ありのままの自分でいるとき。 準備ができたと思うときではなく、全く予期していないとき。
なぜなら、本当の愛は条件や資格とは関係なく生まれるものだから。
今日から始められること
愛される資格があるかわからないという不安は、一日で消えるものではない。
でも、少しずつ自分への見方を変えていくことはできる。
鏡を見たとき、批判の言葉ではなく、優しい言葉をかけてみる。 一人の時間を過ごすとき、「孤独だ」ではなく「静かで落ち着く」と感じてみる。 何かができなかったとき、「だめだ」ではなく「今度は頑張ろう」と思ってみる。
小さな変化から始めよう。
あなたは愛される存在
最後に、これだけは覚えていてほしい。
あなたは愛される資格について悩む必要なんてない。なぜなら、愛に資格は必要ないから。
あなたがあなたであること。それだけで、誰かにとって特別な存在になる可能性を持っている。
完璧である必要はない。特別な才能がある必要もない。ただ、ありのままのあなたでいればいい。
そのありのままのあなたを愛してくれる人は、必ずどこかにいる。
その日が来るまで、まずは自分自身を大切にしていこう。自分を愛することから始めよう。
あなたは愛される価値がある。間違いなく。