友達との会話で恋愛の話になると、決まって胸がきゅっと縮む。
「初恋っていつだった?」「今まで何人と付き合った?」「どうやって告白されたの?」
そんな質問に、いつもうまく答えられない。なぜなら、語れるような恋愛経験が、ほとんどないから。
そんな自分を恥ずかしいと思ってしまう。まるで人生の大切な部分が欠けているような気がして。
「普通」って何だろう
みんな当たり前のように恋愛の話をしている。まるで恋愛経験があることが、大人として当然のことかのように。
でも「普通」って本当に何だろう。
高校で初恋をして、大学で初めて付き合って、社会人になって結婚相手を見つける。そんな人生のレールが敷かれているような気がして、そこから外れた自分を異常だと感じてしまう。
私も大学でコミュニケーション学を学びながら、皮肉にも恋愛というコミュニケーションが一番苦手だった。理論では分かっていても、実践となると全く違う。頭でっかちな自分が情けなかった。
経験の少なさを隠したくなる気持ち
恋愛経験が少ないと、それを隠したくなる。
適当に話を合わせたり、曖昧な返事でごまかしたり。時には小さな嘘をついてしまうこともある。
でもそうやって偽りの自分を演じていると、どんどん本当の自分から遠ざかってしまう。そして、もし誰かと親しくなったとき、嘘がバレるのではないかという不安に常におびえることになる。
恥ずかしさから生まれる嘘は、結局自分を苦しめるだけ。
遅いスタートを恥じる必要はない
20代後半、30代になってから初めての恋愛をする人もいる。それを「遅い」と感じる必要はない。
花にもいろいろな種類がある。早春に咲く花もあれば、夏の盛りに咲く花もある。秋になってから美しい花を咲かせる種類だってある。
恋愛も同じ。人それぞれ、花開く時期が違うだけ。
私の場合、長い間一人でいた時間があったからこそ、自分自身をよく知ることができた。本をたくさん読み、映画を見て、一人で旅行もした。そうやって培った内面の豊かさは、きっと将来の恋愛にプラスになる。
失敗も貴重な経験
恋愛経験が少ないことを恥じる人もいれば、恋愛での失敗を恥じる人もいる。
片思いで終わった恋。すぐに別れてしまった関係。相手に振られた記憶。浮気された辛い経験。
でも、これらの「失敗」も、すべて貴重な経験。失敗から学ぶことの方が、成功から学ぶことよりもずっと多い。
傷ついた分だけ、人の痛みが分かるようになる。失敗した分だけ、本当に大切なものが見えてくる。
完璧な恋愛なんて存在しない
SNSや映画、小説の中の恋愛は、どれも完璧に見える。でも現実の恋愛は、もっと不完全で、もっと複雑で、もっと人間臭いもの。
誰もが最初から上手に恋愛できるわけではない。みんな手探りで、試行錯誤しながら学んでいく。
経験豊富に見える人だって、実は同じように悩み、同じように失敗している。ただ、それを表に出さないだけ。
自分のペースを大切に
恋愛に「正しいタイミング」なんてない。
18歳で初恋をする人もいれば、30歳で初恋をする人もいる。どちらも同じように美しく、同じように価値がある。
大切なのは、他人のペースに合わせることではなく、自分のペースを大切にすること。
焦って無理な恋愛をするよりも、自然な出会いを待つ方がずっと良い。準備ができていないのに無理をするよりも、しっかりと自分を育ててから恋愛する方が、きっと幸せになれる。
恋愛経験だけが人生じゃない
恋愛は人生の大切な一部だけれど、それがすべてではない。
仕事で成し遂げたこと、友達との楽しい時間、家族との温かい関係、趣味での充実感。これらすべてが、あなたの人生を豊かにしている。
恋愛経験の多い少ないで、人間の価値が決まるわけではない。あなたはあなたのままで、十分に価値のある存在。
今の自分を受け入れる勇気
恋愛経験を恥ずかしく思う気持ちは、よく分かる。でも、その恥ずかしさに支配されてしまうのは、もったいない。
今の自分を受け入れる勇気を持とう。経験が少ないなら少ないなりに、失敗があるなら失敗があるなりに。それも含めて、あなたらしさ。
正直に「恋愛経験は少ないです」と言える強さ。「まだよく分からないことが多いです」と素直に言える謙虚さ。これらは、実はとても魅力的な特質。
新しいストーリーを始める準備
過去の恋愛経験(あるいは経験の少なさ)は、確かにあなたの一部。でも、それは終わったこと。
大切なのは、これからどんなストーリーを紡いでいくか。
今までの経験が少なかったとしても、これから素敵な恋愛をする可能性は十分にある。今までに失敗があったとしても、今度はより賢く、より慎重に、より愛に満ちた関係を築くことができる。
あなたらしい恋愛を見つけよう
他人の恋愛と比較する必要はない。映画のような恋愛を目指す必要もない。
あなたにはあなたらしい恋愛がある。静かで深い愛もあれば、ゆっくりと育まれる愛もある。劇的ではないけれど、とても温かい愛もある。
どんな形の愛であっても、それがあなたにとって本物なら、それで十分。
恥ずかしく思う必要なんてない。あなたの恋愛経験は、あなただけの大切な物語。
これからその物語に、新しい素敵な章が加わることを信じて、今日も自分らしく歩んでいこう。