また今回もだめだった。
最初はいいなと思った人でも、だんだん気になるところが見えてくる。
「もう少し積極的だったらなあ」 「もっと私のことを理解してくれたらなあ」 「もう少し将来のことを真剣に考えてくれたらなあ」
気づくと、私はいつも相手に何かを求めている。そして、その期待が満たされないと、だんだん冷めてしまう。
友達からは「贅沢すぎる」と言われるし、自分でも「なんでこんなに求めてしまうんだろう」と思う。
でも、この気持ちをコントロールするのは簡単ではない。
求めることの根っこにあるもの
なぜ私たちは、相手に多くを求めてしまうのだろう。
その根っこには、実は深い不安がある。
「この人で本当に大丈夫なのか」 「もっと良い人がいるのではないか」 「幸せになれるのか」
恋愛は人生における重要な決断の一つ。だからこそ、失敗したくないという気持ちが強くなる。そして、失敗を避けるために、相手に完璧さを求めてしまう。
私も大学時代、コミュニケーション学を学んでいた頃、理論的には「完璧な関係」なんて存在しないことを理解していた。でも、実際の恋愛になると、頭で分かっていることと心で感じることは別だった。
自分への厳しさが相手への期待になる
求めすぎてしまう人に共通するのは、自分自身にも厳しいということ。
努力家で、向上心があって、自分を磨くことを怠らない。そんな素晴らしい資質を持っているからこそ、相手にも同じレベルを求めてしまう。
でも、それは決して悪いことではない。高い基準を持っているということは、自分の人生を大切にしているということ。妥協したくないという気持ちは、むしろ健全な自己愛の表れ。
問題は、その基準があまりにも高すぎると、誰とも深い関係を築けなくなってしまうこと。
完璧な人なんていない
当たり前のことだけれど、完璧な人なんていない。
あなたが理想とする「積極的で、理解力があって、将来を真剣に考えてくれる人」も、きっと他の面では不完全なところがある。
朝が弱いかもしれないし、整理整頓が苦手かもしれないし、時々わがままかもしれない。
でも、そういう不完全さも含めて、その人らしさ。完璧さを求めすぎると、その人の魅力的な部分まで見えなくなってしまう。
期待というプレッシャー
相手に多くを求めることは、相手にとってはプレッシャーになることがある。
「もっと積極的に」と言われれば、相手は「今の自分では不十分なのか」と感じるかもしれない。「もっと理解して」と言われれば、「努力が足りないのか」と落ち込むかもしれない。
恋愛は、お互いがありのままの自分でいられる関係が理想。でも、常に何かを求められていると感じると、自然体でいることが難しくなる。
私も昔、好きな人に「もっとこうしてほしい」と伝えたことがある。でもその結果、相手は萎縮してしまい、関係がぎこちなくなってしまった。その時初めて、求めすぎることの怖さを知った。
恋愛は育てるもの
恋愛は、最初から完璧なものではない。二人で一緒に育てていくもの。
相手に求めるのではなく、一緒に成長していく。お互いの足りない部分を補い合い、支え合いながら、より良い関係を築いていく。
それには時間がかかる。すぐには理想の関係にはならないかもしれない。でも、その過程こそが恋愛の醍醐味でもある。
求める前に与えてみる
相手に何かを求める前に、まず自分から与えてみる。
相手にもっと積極的になってほしいなら、まず自分が相手を受け入れる雰囲気を作る。 相手にもっと理解してもらいたいなら、まず自分が相手を理解しようとする。 相手にもっと真剣になってほしいなら、まず自分が相手を大切にする姿勢を示す。
与えることで、相手も自然と応えてくれるようになることが多い。求めることよりも、与えることの方が、実は効果的だったりする。
「足りない」ではなく「違い」として捉える
相手の行動や考え方が自分の期待と違うとき、それを「足りない」と捉えるのではなく、「違い」として捉えてみる。
積極的でないのではなく、慎重なのかもしれない。 理解力がないのではなく、表現の仕方が違うのかもしれない。 真剣でないのではなく、プレッシャーを感じているのかもしれない。
視点を変えることで、相手の行動の意味が違って見えてくる。そして、その違いこそが、関係に深みを与えてくれる。
完璧でない関係の美しさ
完璧でない関係には、完璧な関係にはない美しさがある。
お互いの弱さを知っているからこそ生まれる優しさ。 足りない部分を補い合うことで深まる絆。 一緒に成長することで得られる充実感。
これらは、最初から完璧な関係では味わえないもの。不完全だからこそ、愛おしい。
自分の心と向き合う
相手に求めすぎてしまう自分を責める必要はない。
それは、あなたが真剣に恋愛と向き合っている証拠。そして、自分の幸せを大切にしたいと思っている証拠。
ただ、時には立ち止まって、自分の心と向き合ってみよう。
本当に大切なのは何なのか。 完璧さなのか、それとも一緒にいて心地よいことなのか。 理想の相手なのか、それとも理想の関係なのか。
答えは、あなたの心の中にある。
今日から少しずつ
明日から急に変わる必要はない。
でも今日から、少しずつ意識を変えてみよう。相手に何かを求めそうになったとき、一度深呼吸して考えてみる。
「これは本当に必要なことなのか」 「相手の立場に立ったらどう感じるか」 「まず自分にできることはないか」
そんなふうに考える習慣をつけることで、きっと関係は変わってくる。
あなたの真剣な気持ちは素晴らしい。その気持ちを大切にしながら、でももう少し肩の力を抜いて、恋愛を楽しんでいこう。
完璧でない恋愛も、きっととても美しいから。