恋愛相談をされる側の複雑さ

恋愛相談をされる側の複雑さ

恋愛経験が少ないのに恋愛相談をされることの多い女性の複雑な心境について

読了時間: 5分

また今日も、友達から恋愛相談のメッセージが届いた。

「ちょっと聞いてほしいことがあるんだけど…」

そのメッセージを見て、心の中で小さくため息をつく。嬉しいような、困惑するような、そして少しだけ切ないような気持ちが混ざり合う。

なぜ私に相談するのだろう。私は恋愛の専門家でもなければ、豊富な経験があるわけでもないのに。

「相談しやすい人」というレッテル

いつの間にか私は、周りから「相談しやすい人」として認識されるようになった。

冷静で客観的。感情的にならない。秘密を守る。的確なアドバイスをくれる。

確かにそういう面はあるかもしれない。大学でコミュニケーション学を学んだこともあって、人の話を聞くのは得意な方だと思う。相手の気持ちに寄り添いながら、論理的に状況を整理することもできる。

でも、それと「恋愛の悩みを解決できる」ことは別問題だ。

経験の少なさという皮肉

皮肉なことに、恋愛相談をされることが多い人ほど、実は自分自身の恋愛経験は少なかったりする。

私もそうだ。友達の恋愛話は詳しく知っているけれど、自分の恋愛となると全く別の話。理論的には「こうすべき」と分かっていても、いざ自分のこととなると何もできない。

友達の彼氏の行動パターンは分析できるのに、自分が気になる人の心理は全く読めない。客観的な立場だからこそ見えることと、当事者だからこそ見えないこと。その差を痛感する瞬間が何度もある。

相談される理由の複雑さ

なぜ私に相談するのか、その理由を考えてみる。

もしかしたら、恋愛経験が少ないからこそ相談しやすいのかもしれない。同じような恋愛をしている友達だと、比較されたり、競争心が生まれたりする可能性がある。

でも私なら安全。恋愛の当事者ではないから、脅威にならない。だから安心して悩みを打ち明けられる。

そう考えると少し切ない。私は「恋愛をしない人」として位置づけられているのかもしれない。

答えられない質問たち

「どうしたら彼の気持ちが分かる?」 「この行動って脈ありかな?」 「どうやって関係を進展させたらいい?」

そんな質問を投げかけられるたび、正直に答えたくなる。

「私も知りたい」

でもそんなことは言えない。相談してくれた友達を困らせてしまうし、期待を裏切ることになる。だから精一杯考えて、本やネットで得た知識を総動員して、それらしいアドバイスをする。

でも内心では思っている。本当に恋愛について詳しいなら、私だってもう少し恋愛上手になっているはず。

聞き役の孤独

恋愛相談を受けていると、友達の恋愛の詳細をすべて知ることになる。

彼からのメッセージの内容。デートでの出来事。喧嘩の原因。仲直りの方法。

まるで恋愛ドラマを見ているような気分になることもある。でも自分は永遠に観客席にいる。

そして相談が終わった後の静寂。友達は彼とのやり取りに戻っていき、私は一人でその話の余韻に浸る。他人の恋愛を疑似体験しているような、不思議な気持ち。

自分の気持ちを話せない

一番複雑なのは、自分も相談したいことがあるときだ。

でも私は「相談を受ける側」として位置づけられているから、自分の悩みを打ち明けるタイミングが分からない。

「実は私も…」と切り出そうとしても、なんだか場違いな気がしてしまう。私の恋愛の悩みなんて、きっと友達にとっては意外で、どう反応していいか分からないかもしれない。

だから結局、自分の気持ちは自分の中にしまっておく。

感謝されることの複雑さ

相談を受けた後、よく感謝される。

「話を聞いてもらえてすっきりした」 「おかげで整理できた」 「いつもありがとう」

その言葉は確かに嬉しい。誰かの役に立てているという実感は得られる。

でも同時に思う。私が本当に欲しいのは感謝の言葉だけだろうか。時には私も、誰かに甘えたり、頼ったり、相談したりしたい。

恋愛相談の価値

それでも、恋愛相談を受けることには意味があると思う。

友達の恋愛を通して、人間関係の複雑さや美しさを学ぶことができる。恋愛の多様性や、人それぞれの価値観の違いも見えてくる。

そして何より、誰かの大切な時間に関わらせてもらえるということ。友達が私を信頼して、心の内を打ち明けてくれるということ。

これらはかけがえのない体験だ。

相談される側として気をつけていること

恋愛相談を受けるとき、私が心がけていることがある。

自分の価値観を押し付けないこと。相談者の気持ちを第一に考えること。批判的にならないこと。そして、答えが分からないときは正直にそう伝えること。

完璧なアドバイスができなくても、真摯に向き合うことはできる。それだけでも、相談してくれた人にとって意味があるはず。

私の恋愛はいつ始まるのか

でも時々思う。私の恋愛相談を聞いてくれる人は、いつ現れるのだろう。

友達の恋愛話を聞きながら、「いいなあ」と思う自分がいる。羨ましいと思う気持ちと、祝福したい気持ちが混在する。

でもきっと、その日はいつか来る。私が相談する側になって、今度は誰かが私の話を聞いてくれる日が。

今の役割も大切にしたい

恋愛相談をされることは、確かに複雑な気持ちを抱かせる。

でも、それは私に与えられた大切な役割なのかもしれない。人の気持ちに寄り添うこと、客観的な視点を提供すること、安心できる存在でいること。

いつか私も恋愛の当事者になったとき、この経験がきっと役に立つ。他の人の恋愛を見てきたからこそ分かることもあるはず。

今日もまた誰かの恋愛相談を受けるかもしれない。その時は、複雑な気持ちを抱えながらも、精一杯向き合いたいと思う。

そして心の片隅で、いつか私の番も来ることを、静かに信じていよう。