好きになると、とことん一途になってしまう。
その人のことばかり考えて、その人の言葉を何度も思い返して、その人の幸せを心から願ってしまう。でもそんな自分が、時々怖くなる。
「重いと思われているんじゃないか」 「引かれているんじゃないか」 「迷惑なんじゃないか」
一途であることが、どうしてこんなに不安になるのだろう。
一途は美徳じゃないの?
昔から一途さは美徳とされてきた。でも現代では、どこか「古い」「重い」というイメージを持たれることも多い。
特に恋愛の初期段階では、「軽やか」で「自由」な関係が好まれる傾向がある。深く愛しすぎることが、かえってマイナスに働いてしまうことがある。
私も大学時代、好きになった人に一途すぎる気持ちを伝えて、距離を置かれた経験がある。その時は自分の何が悪かったのかわからず、ただただ混乱した。
でも今思えば、相手のペースを考えずに、自分の気持ちを一方的に押し付けてしまったのかもしれない。
重さの正体
「重い」と感じられる愛情の正体は何だろう。
それは、相手への期待や依存が含まれているからかもしれない。純粋な愛情ではなく、「同じように愛してほしい」「私のことを一番に考えてほしい」という要求が混じっているから。
一途な気持ちそのものは美しい。でも、その気持ちに「見返り」を求めてしまうと、それは愛というよりも執着に近くなってしまう。
相手が忙しくて連絡をくれないと不安になる。 他の人と楽しそうにしているのを見ると嫉妬する。 自分への愛情を常に確認したくなる。
これらの感情は、愛している証拠でもあるけれど、相手にとっては負担になることもある。
一途さの表現方法
問題は一途であることではなく、その表現方法かもしれない。
毎日長文のメッセージを送ったり、常に相手の行動をチェックしたり、予定を全部相手に合わせたり。こうした行動は、愛情の表現のつもりでも、相手には負担に感じられることがある。
大切なのは、相手の立場に立って考えること。相手がどんなペースを好むのか、どんな距離感を心地よく感じるのかを理解すること。
一途であることと、相手への配慮は両立できる。むしろ、本当に相手を愛しているなら、相手が心地よくいられる方法を考えるはず。
自分の軸を持つこと
一途になりすぎる人の特徴の一つは、相手中心の生活になってしまうこと。
相手のことを考える時間が多すぎて、自分のことがおろそかになる。趣味や友人関係、仕事への情熱が薄れてしまう。
でも、そんな状態では魅力的な人でいることは難しい。自分の人生を充実させている人の方が、結果的に愛される。
私も一時期、好きな人のことばかり考えて、他のことが手につかなくなった時期がある。でもそんな自分は、客観的に見て魅力的ではなかった。
自分の軸を持ちながら、相手を愛する。これができれば、一途さは重さではなく、深さとして受け取ってもらえる。
不安との向き合い方
「重いと思われているかも」という不安は、完全に消すことは難しい。でも、その不安をコントロールすることはできる。
まず、その不安の根本にあるものを見つめてみよう。
自分に自信がないから? 過去に拒絶された経験があるから? 相手の気持ちが見えないから?
根本的な原因がわかれば、対処法も見えてくる。
そして何より、「重いと思われてもいい」という覚悟も時には必要。真剣に愛することを恥じる必要はない。
相手とのコミュニケーション
不安を一人で抱え込むより、相手と話してみることも大切。
「私って重い?」と直接聞くのは避けた方がいいけれど、「どのくらいの連絡頻度がいい?」「どんな距離感が心地いい?」といった具体的なことなら話し合える。
コミュニケーション学を学んでいて気づいたのは、多くの問題は「話さないこと」から生まれるということ。お互いの期待や不安を言葉にしないまま、推測だけでやり取りしていると、すれ違いが生まれる。
一途さは武器になる
現代では一途さが敬遠されがちだけれど、実はそれを求めている人もたくさんいる。
浅く広い関係に疲れた人、真剣な愛情を求めている人、深いつながりを大切にしたい人。そういう人にとって、あなたの一途さは何よりも魅力的。
問題は、そういう人と出会えていないこと、または一途さの表現方法が適切でないことかもしれない。
自分らしい愛し方を見つける
一途な自分を変える必要はない。でも、より良い表現方法を見つけることはできる。
相手のペースを尊重しながら、自分らしく愛する。深い愛情を持ちながら、適度な距離感を保つ。一途でありながら、相手に負担をかけない。
それは矛盾するようで、実は最も成熟した愛の形かもしれない。
あなたの愛情は美しい
一途すぎて重いと思われる不安を抱いているあなたへ。
あなたの深い愛情は、決して恥ずべきものではない。現代の軽薄な関係に疲れた時、人は深い愛情を求めるもの。
ただし、その愛情を適切な形で表現することが大切。相手を思いやり、相手のペースを尊重し、自分の人生も大切にしながら。
そうすれば、あなたの一途さは「重さ」ではなく「深さ」として受け取ってもらえる。
真剣に愛することを恐れる必要はない。あなたらしい愛し方で、素敵な関係を築いていこう。