夜中にベッドの中で考える。もし誰かが私を愛してくれるとしたら、どんな感じなのだろう。
でも、どうしても想像できない。
誰かが私の手を握ってくれること。私の名前を優しく呼んでくれること。私のことを大切に思ってくれること。私がいることを喜んでくれること。
頭では理解できるけれど、心では信じられない。まるで自分だけが愛される世界から取り残されているような気がしてしまう。
その感情は自然なこと
まず最初に伝えたいのは、そう感じることは決しておかしなことではないということ。
私たちは生まれた瞬間から、さまざまなメッセージを受け取って育つ。家族から、学校から、友達から、社会から。そのメッセージが必ずしも肯定的なものばかりではないことも多い。
「もっと頑張らないと愛されない」 「完璧でないと価値がない」 「他の人と比べて劣っている」
そんなメッセージを長年受け取り続けていれば、愛される自分を想像できなくなるのは当然のこと。あなたの感じ方は、これまでの経験の積み重ねの結果なのだから。
私も同じだった
大学でコミュニケーション学を学んでいた頃、皮肉なことに私は人とのつながりを最も恐れていた。
表面的には友達もいたし、成績も良かった。でも心の奥底では、「本当の私を知ったら、きっとみんな離れていく」と思っていた。
愛される自分なんて、映画の中だけの話だと思っていた。現実の私は、愛されるような特別な存在ではない。そう信じ込んでいた。
一人でいる時間が長くなるにつれて、その思い込みはどんどん強くなった。誰とも深くつながらないから、愛される体験もない。体験がないから、想像もできない。そんな悪循環にはまっていた。
愛される体験の不足
想像できない理由の一つは、単純に「体験不足」かもしれない。
愛されたことがないから、愛される感覚がわからない。どんな気持ちになるのか、どんな風に扱われるのか、具体的なイメージが湧かない。
でも、実は私たちは既に愛された経験を持っているかもしれない。
ペットが尻尾を振って迎えてくれたこと。 友達が悩みを聞いてくれたこと。 家族が体調を心配してくれたこと。 先生が頑張りを認めてくれたこと。
それらも愛の形。恋愛とは違うかもしれないけれど、誰かがあなたを大切に思ってくれた瞬間は、確かにあったはず。
愛される価値への疑問
「私なんかが愛される価値があるのだろうか」
そんな疑問が頭をよぎることがある。でも、愛される価値は、何かを達成したり、完璧になったりすることで得られるものではない。
あなたが今、この瞬間に存在していること。それだけで、愛される価値がある。
あなたの優しさ、あなたの真面目さ、あなたの繊細さ、あなたの一生懸命さ。そして時には、あなたの不安や弱さも含めて。すべてがあなたらしさで、すべてに価値がある。
小さな想像から始める
いきなり「深く愛される自分」を想像するのは難しいかもしれない。だから、もっと小さなことから始めてみよう。
誰かが私の作った料理を「おいしい」と言ってくれること。 誰かが私の話を最後まで聞いてくれること。 誰かが私の体調を気にかけてくれること。 誰かが私と一緒にいる時間を楽しんでくれること。
そんな小さな「大切にされる」瞬間から想像してみる。そしてそれが当たり前のように続く日常を思い描いてみる。
自分を愛することから
他者から愛される前に、まず自分を愛すること。これはよく言われることだけれど、実際にはとても難しい。
でも、少しずつでいい。
今日頑張った自分を認めること。 疲れた時に休むことを許すこと。 好きなものを好きと言えること。 嫌なことを嫌と言えること。
そうやって自分を大切に扱っているうちに、「私は大切にされる価値がある人なんだ」という感覚が少しずつ育ってくる。
愛される準備は整っている
実は、愛される準備はもう整っている。
あなたの今の状態で、あなたの今の心で、十分。完璧になる必要も、特別になる必要もない。
今のあなたを愛してくれる人は、必ずいる。その人との出会いがまだないだけ。
想像力を育てよう
本を読んでみよう。映画を見てみよう。音楽を聴いてみよう。
そこには、さまざまな愛の形が描かれている。劇的な愛もあれば、静かで深い愛もある。完璧な愛もあれば、不完全だけれど温かい愛もある。
その中で、「これなら私にもあり得るかも」と思える愛の形を見つけてみよう。そして少しずつ、それを自分に当てはめて想像してみよう。
あなたは既に愛されている
実は、あなたは既に愛されているかもしれない。
家族に、友達に、まだ出会っていない誰かに。そしてきっと、この文章を読んでいる今この瞬間にも、あなたの幸せを願っている私のような人がいる。
愛される自分を想像できない今のあなたも、そのままで愛おしい存在。その事実から始めてみよう。
今夜、ベッドの中で考えるときは、少しだけ優しい想像をしてみて。
あなたが笑っているとき、誰かも一緒に笑ってくれている。 あなたが悲しいとき、誰かがそっと寄り添ってくれている。 あなたが何もしていないときでも、誰かがあなたのことを大切に思ってくれている。
そんな日が必ず来る。だから今は、その日を信じて、自分を大切にしていこう。