友達が恋バナで盛り上がっている横で、私はいつもどこか他人事のような気持ちでいる。
「あの人かっこいいよね」「優しそう」「付き合いたい」
そんな会話を聞いても、正直よく分からない。男性を見ても、友達や知り合いとしては認識できるけれど、恋愛対象として意識することができない。
これって、私だけなのだろうか。
恋愛感情って何だろう
そもそも恋愛感情とは何なのだろう。
ドキドキすること?一緒にいたいと思うこと?特別扱いしたくなること?
私も昔はそんな気持ちを抱いたことがあったような気がする。でもいつからか、そういう感情が湧いてこなくなった。
男性と話すのは楽しい。一緒に仕事をするのも問題ない。でも、それ以上の感情に発展することがない。まるで心に見えない壁があるみたい。
過去の傷が作った壁
思い返してみると、男性に対する不信感の根は深いところにある。
小さい頃に見た父親の姿。怒鳴り声や、母親への冷たい態度。「男性は怖いもの」という印象が、知らず知らずのうちに刷り込まれていたのかもしれない。
学生時代の嫌な体験も影響している。軽い気持ちで近づいてきて、都合が悪くなると突然冷たくなる男性たち。真剣に話を聞いてくれると思ったら、結局は外見しか見ていなかった人たち。
そうした経験が積み重なって、いつの間にか「男性は信用できない」という防御システムが心の中にできあがってしまった。
理想が高すぎるという現実
私が大学でコミュニケーション学を学んでいたとき、人間の認知バイアスについて学んだ。その中に「確証バイアス」というものがある。自分の信念を裏付ける情報ばかりを集めて、反対の情報を無視してしまう傾向のこと。
もしかしたら私も、男性の嫌な部分ばかりに目を向けて、良い部分を見ようとしていないのかもしれない。
でも、それは意識的にそうしているわけではない。自分を守るための、無意識の防御反応なのだ。
完璧を求めすぎてしまう
男性を恋愛対象として見られない理由の一つに、理想が高すぎることがある。
映画や小説の中の理想的な男性像と、現実の男性を比べてしまう。完璧なコミュニケーション、完璧な優しさ、完璧な理解力。そんなものを求めていたら、誰も恋愛対象にはならない。
でも、完璧でない相手を受け入れることは、自分の不完璧さも受け入れられるということ。そしてそれは、とても勇気のいることなのだ。
恋愛への恐怖感
恋愛感情を抱くということは、相手に対して心を開くということ。
でも心を開けば、傷つく可能性も高くなる。拒絶されるかもしれない、利用されるかもしれない、裏切られるかもしれない。
そんなリスクを考えると、最初から恋愛感情を持たない方が安全だと、心が判断してしまう。
私も長い間、人と深く関わることを避けてきた。表面的な関係なら安全だけれど、本当に大切な人を失うのは耐えられないと思っていた。
自分自身への不信
実は、男性を恋愛対象として見られない理由の一つに、自分自身への不信もある。
「私なんかが愛されるはずがない」 「どうせ長続きしない」 「私には恋愛は向いていない」
そんな思い込みが、恋愛感情そのものをシャットダウンしてしまう。
自分を愛せない人は、他人からの愛も受け取れない。これは心理学でもよく知られた現象だ。
一人でいることの快適さ
長い間一人でいると、一人の時間の快適さに慣れてしまう。
誰かに合わせる必要もない、気を遣う必要もない、自分のペースで生きられる。そんな生活に慣れてしまうと、誰かと深く関わることが面倒に感じてしまうことがある。
でも、それは本当の意味での幸せなのだろうか。安全で快適だけれど、どこか物足りない。そんな気持ちもある。
変わりたい気持ちと変われない現実
頭では分かっている。恋愛感情を抱けるようになりたいと思っている。
でも、心がついてこない。理屈では理解できても、感情は理屈通りにはいかない。
「もっと心を開かなきゃ」「もっと男性を信頼しなきゃ」
そう思えば思うほど、心は逆方向に向かってしまう。
小さな一歩から始めよう
でも、完全に諦める必要はない。
恋愛感情は、一日で生まれるものではない。少しずつ、相手を知り、自分を知り、お互いの距離を縮めていく中で育まれるもの。
まずは男性との友情から始めてもいい。恋愛を意識しないで、一人の人間として関わってみる。そうすることで、男性に対する印象も少しずつ変わってくるかもしれない。
自分を責めないで
男性を恋愛対象として見られないからといって、自分を責める必要はない。
それは、あなたが今まで自分を守ってきた証拠でもある。傷つくことから身を守り、一人でも強く生きてきた証拠。
その強さを持ちながら、少しずつ心の扉を開いていけばいい。急ぐ必要はない。
あなたのペースで
恋愛感情は、無理に作り出すものではない。
自然に湧いてくるものを待つ。そのためには、まず自分自身と向き合い、過去の傷を癒し、自分を愛することから始める。
そうして心の準備ができたとき、きっと素敵な出会いが待っている。
今はまだその時ではないかもしれない。でも、その時は必ず来る。
自分を責めず、焦らず、あなたのペースで歩んでいこう。あなたの心が開く日を、静かに待っていよう。