褒められると素直に受け取れない

褒められると素直に受け取れない

褒められても素直に喜べず、つい否定してしまう心理とその背景について

読了時間: 5分

「今日の髪型、すごく似合ってるね」

そう言われた瞬間、頭の中でたくさんの声が響く。

「そんなことない、寝癖がひどくて」 「たまたまうまくいっただけ」 「お世辞を言ってくれてるんだ」

結局、「ありがとう」の代わりに「そんなことないよ」と答えてしまう。

どうして素直に受け取れないのだろう。

褒め言葉が重荷に感じる理由

褒められることが嬉しくないわけではない。でも、同時にとても重たく感じてしまう。

期待されているような気がして。 次もその期待に応えなければいけないような気がして。 もし期待に応えられなかったら、がっかりされるような気がして。

だから、最初から「私はそんなに大したことない」と言っておけば、期待されることもない。傷つくこともない。

私も大学時代、レポートを褒められると、つい「運が良かっただけです」と言ってしまっていた。でも本当は、すごく頑張って書いたレポートだった。なのに、自分でその努力を否定してしまう。今思えば、もったいないことをしていた。

自分を小さく見せる癖

「謙遜は美徳」という言葉がある。確かに、謙虚であることは大切。でも、度を超えた謙遜は、自分を不当に小さく見せてしまう。

「私なんて」「たいしたことない」「まだまだです」

こんな言葉を繰り返していると、本当に自分がそういう人間のような気がしてくる。そして周りの人も、私のことをそういう人だと思うようになる。

でも、あなたは本当に「たいしたことない」人なのだろうか。

完璧主義の罠

褒められても素直に受け取れない人の多くは、実は完璧主義。

自分の中には「もっとできるはず」「まだ足りない」という声がいつもある。だから、今の自分を褒められても、「でも本当はこんなもんじゃない」と思ってしまう。

または、「今回はたまたまうまくいっただけ」と感じてしまう。継続的に完璧であり続けなければ、褒められる資格がないような気がして。

でも、完璧な人間なんて存在しない。今この瞬間の頑張りや成果を、そのまま受け取ることから始めてみよう。

過去の傷が影響している

褒められることを素直に受け取れない背景には、過去の経験が影響していることもある。

「調子に乗るな」と言われた経験。 褒められた後で裏切られた経験。 期待されすぎてプレッシャーに潰れそうになった経験。

こうした記憶が、褒め言葉を素直に受け取ることを妨げている。

でも、すべての褒め言葉が罠ではない。あなたを傷つけようとして褒めている人ばかりではない。純粋にあなたの良さに気づいて、それを伝えたいと思っている人もたくさんいる。

「ありがとう」の練習

褒められたとき、まず「ありがとう」と言ってみよう。

心の中で否定的な声が聞こえても、まずは「ありがとう」。説明や言い訳は後で。

最初は違和感があるかもしれない。「こんなこと言っていいのかな」「調子に乗ってると思われないかな」と不安になるかもしれない。

でも、褒めてくれた人の気持ちを考えてみて。あなたの良さに気づいて、それを伝えたくて言ってくれたのに、否定されたら悲しくなる。

「ありがとう」は、相手への感謝でもあり、自分への優しさでもある。

小さな成功も大切にする

私たちは大きな成功だけを評価しがち。でも、日常の小さな頑張りや成長も、等しく価値がある。

今日早起きできたこと。 友達に優しい言葉をかけられたこと。 美味しい料理が作れたこと。 新しいことに挑戦したこと。

こうした小さなことも、褒められる価値がある。そして、褒められたときは素直に受け取る価値がある。

自分で自分を褒める練習

他人から褒められることを受け取る前に、まず自分で自分を褒めてみよう。

鏡を見ながら「今日も頑張ったね」と言ってみる。 ノートに「今日良かったこと」を3つ書いてみる。 小さな成果も「すごいじゃん」と認めてみる。

最初は恥ずかしいかもしれない。でも、自分を褒めることに慣れると、他人からの褒め言葉も受け取りやすくなる。

褒め言葉は贈り物

褒め言葉は、相手からの贈り物。

その贈り物を「いらない」と突き返すのは、せっかくの好意を無駄にしてしまうこと。

もし友達があなたにプレゼントをくれたら、「そんな、私には勿体ない」と言って返すだろうか。きっと「ありがとう」と言って受け取るはず。

褒め言葉も同じ。相手の好意として、素直に受け取ろう。

あなたの良さに気づいて

あなたが思っている以上に、あなたには素敵なところがたくさんある。

あなたの優しさ。 あなたの真面目さ。 あなたの頑張り。 あなたの存在そのものが、誰かにとって大切なもの。

それに気づいてくれる人がいるから、褒めてくれる。その気持ちを、どうか受け取って。

今日から始めてみよう

明日誰かに褒められたら、まず「ありがとう」と言ってみよう。

心の中で反論したくなっても、まずは受け取ってみよう。

その瞬間のあなたは、確実に今日のあなたより輝いている。

素直に喜ぶあなたを見て、きっと相手も嬉しくなる。そしてまた、あなたの良さを見つけて伝えてくれるようになる。

褒め言葉を受け取ることは、自分を大切にすることでもある。

今日から、少しずつ練習してみよう。あなたにはその価値がある。