「この気持ちは本物なのだろうか」
誰かを好きになったとき、なぜかいつもこの疑問が頭をよぎる。胸がドキドキして、その人のことばかり考えてしまう。でも同時に、「これって本当に恋愛感情なの?」という疑念も湧いてくる。
自分の気持ちなのに、自分で分からない。この複雑さが、恋愛をより一層難しくしている。
「好き」の基準がわからない
そもそも「好き」って何だろう。
映画やドラマで描かれる恋愛は、いつも明確で分かりやすい。運命的な出会いがあって、一目で恋に落ちて、情熱的に愛し合う。
でも現実の感情は、そんなにはっきりしていない。
一緒にいると落ち着く。でもそれは恋愛感情なのか、それとも友情なのか。 その人の笑顔を見ると嬉しい。でもそれが特別な感情なのか分からない。 連絡が来ないと少し寂しい。でもそれが愛なのか、単なる寂しがりなのか。
グレーゾーンの感情を、白か黒かで判断しようとすることに、そもそも無理があるのかもしれない。
過去の経験への不信
自分の恋愛感情を信じられない理由の一つは、過去の経験にある。
「あのとき好きだと思っていたけれど、結局違った」 「相手のことをよく知らないまま、勝手に理想化していただけだった」 「単なる憧れを恋愛感情だと勘違いしていた」
こんな経験を重ねると、自分の感情判断に自信がなくなる。今度こそ間違えたくないという思いが強くなりすぎて、逆に何も信じられなくなってしまう。
私も大学時代、同じ研究室の先輩に憧れていたことがある。コミュニケーション学を学ぶ彼の知的な話し方や、落ち着いた雰囲気に惹かれていた。でも後になって気づいたのは、私が好きだったのは「彼」ではなく、「彼が体現していた理想像」だったということ。
そんな経験があると、今度は自分の気持ちを疑ってしまう。
完璧を求めすぎる心
自分の恋愛感情を信じられない人は、完璧主義的な傾向があることが多い。
「本当の恋愛感情」「間違いのない気持ち」「確信を持てる愛」
そんな理想的な感情を求めすぎて、現実の曖昧で複雑な気持ちを受け入れられない。
でも考えてみてほしい。人間の感情に「完璧」はあるのだろうか。愛だって、毎日同じ強さで感じるものではない。日によって、状況によって、揺れ動くのが自然。
その揺らぎを否定するのではなく、「今日はこんな気持ち」「今はこう感じている」として、そのままの感情を受け入れることも大切。
他人の目を気にしすぎる
「この人を好きになって、周りはどう思うだろう」 「条件的にはあまり良くないけれど、それでも好きでいいのだろうか」 「みんながいいと言う人ではないけれど」
自分の気持ちよりも、他人の評価を気にしてしまう。そうすると、純粋な感情が混乱してしまう。
でも恋愛感情は、とても個人的なもの。他人には理解できない魅力や相性が、必ず存在する。
「なんであの人が好きなの?」と言われることもあるかもしれない。でもそれでいい。あなたの感情は、あなただけのもの。
感情に正解はない
実は、恋愛感情に正解なんてない。
「これは本物の恋愛感情なのか」という問い自体が、もしかしたら意味のない問いなのかもしれない。
大切なのは、今この瞬間のあなたの気持ち。それが「本物」かどうかは、未来にならないと分からない。そして未来になっても、実は分からないかもしれない。
だからこそ、今の気持ちを大切にしよう。疑うのではなく、まずは感じることから始めよう。
小さな感情も認めてあげる
恋愛感情は、必ずしも激しいものである必要はない。
静かな好意も、穏やかな愛情も、ささやかな憧れも、すべて価値のある感情。
「もっと強く感じるべき」「もっと確信を持つべき」と自分を責める必要はない。
あなたの感じ方は、あなたらしい感じ方。その繊細さや慎重さも、あなたの大切な個性。
時間が教えてくれること
感情は、時間とともに変化する。
今は確信が持てなくても、一緒に過ごす時間が増えれば、きっと自分の気持ちがよく見えてくる。
相手のことを深く知れば知るほど、好きになるかもしれないし、違う感情だったと気づくかもしれない。どちらでも大丈夫。
大切なのは、その過程を恐れずに歩むこと。
あなたの感情は間違っていない
最後に伝えたいのは、あなたの感情は間違っていないということ。
混乱していても、確信が持てなくても、それがあなたの今の状態。それを否定する必要はない。
恋愛感情を信じられないあなたは、きっととても繊細で、慎重で、真面目な人。その慎重さが時には足かせになるかもしれないけれど、それはあなたの美点でもある。
だから自分を責めないで。
今感じている気持ちを、そのまま受け入れて。確信が持てなくても、その不確実な気持ちごと、大切にして。
恋愛に正解はない。あなたの感じ方が、あなたにとっての正解。
その気持ちを信じる勇気を、少しずつ育てていこう。