部屋の中で過ごす日々が続くと、外の世界の恋愛が遠い世界の出来事のように感じることがある。でも同時に、一人でいる時間が長いからこそ見えてくる恋愛観もある。
私自身も、大学を卒業してからしばらく家にいる期間があった。その時に気づいたのは、ひきこもり期間中の恋愛への思いは、決して単純ではないということ。
最初は恋愛への憧れが強くなる
ひきこもり始めた最初の頃は、むしろ恋愛への憧れが強くなることが多い。
SNSを見れば幸せそうなカップルの写真。テレビをつければ恋愛ドラマ。漫画や小説も、恋愛要素のあるものに自然と手が伸びる。
現実の人間関係から距離を置いているからこそ、理想的な恋愛への憧れが膨らんでいく。「私もあんな風に愛されたい」「あんな風に誰かを大切にしたい」という気持ちが、日に日に強くなる。
でも同時に、「今の自分じゃ無理」という諦めの気持ちも芽生える。現実と理想のギャップが、どんどん大きくなっていく。
恋愛の本質について考えるようになる
時間が経つにつれて、恋愛の表面的な部分よりも、その本質について考えるようになる。
「恋愛って何だろう」「愛するって何だろう」「パートナーシップって何だろう」
一人で考える時間がたっぷりあるから、そんな根本的な疑問と向き合える。本を読んで、映画を見て、自分なりの答えを探していく。
私も、コミュニケーション学で学んだ理論と、一人で考えた時間での気づきが重なって、恋愛に対する理解が深まった。外見や条件よりも、価値観や相性の方が大切だということを、頭ではなく心で理解できるようになった。
相手への期待値が現実的になる
ひきこもり期間が長くなると、相手に対する期待も現実的になってくる。
最初は「完璧な王子様」を求めていたかもしれない。でも一人で過ごしているうちに、自分の不完全さと向き合うことになる。そうすると、相手にも同じような不完全さがあることを受け入れられるようになる。
「完璧な人」よりも「一緒にいて安心できる人」。 「刺激的な人」よりも「穏やかで優しい人」。 「みんなに人気の人」よりも「自分を理解してくれる人」。
求める相手像が、より現実的で、より深いものに変わっていく。
一人の時間の価値を知る
ひきこもり期間を通して、一人でいることの価値も理解できるようになる。
最初は孤独で辛かったかもしれない。でも慣れてくると、一人の時間の豊かさに気づく。誰に気を遣うこともなく、自分のペースで過ごせる。好きなことに集中できる。深く考えることができる。
この経験があると、恋愛関係でも「一人の時間」を大切にできるようになる。相手に依存しすぎず、適度な距離感を保てる健全な関係を築けるようになる。
表面的な恋愛への興味が薄れる
世間で「モテる」とされることや、表面的な恋愛テクニックへの興味が薄れてくる。
「どうやって男性にモテるか」よりも「どうやって本当に相性の良い人と出会うか」。 「どうやって相手を振り向かせるか」よりも「どうやってお互いを理解し合うか」。
恋愛の目的が、「モテること」から「つながること」に変わっていく。
自分の本当の気持ちがわかるようになる
外からの情報や期待に惑わされることなく、自分の本当の気持ちと向き合えるようになる。
「世間では〇〇な男性がモテるらしい」ではなく、「私は〇〇な人に惹かれる」。 「みんな恋愛してるから私も」ではなく、「私は本当に恋愛したいのだろうか」。
純粋な自分の気持ちがわかるようになると、恋愛に対する迷いも少なくなる。
恋愛のペースについても現実的に
「いつまでに恋人を作らなきゃ」という焦りからも解放される。
ひきこもり期間を通して、「自分のペース」の大切さを身をもって知るから。人それぞれ違うペースがあることを理解できるようになる。
急いで恋愛する必要はない。自分が準備できたときに、自然な形で始まればいい。そんな風に考えられるようになる。
内面的な魅力を重視するように
外見や肩書きよりも、内面的な魅力を重視するようになる。
一人で過ごす時間が長いと、自分自身も内面を深く掘り下げることになる。その結果、相手に対しても内面的な部分により注目するようになる。
優しさ、誠実さ、ユーモア、知性、価値観。これらの内面的な魅力の方が、長期的な関係には重要だということを理解できる。
恋愛への準備は整っている
ひきこもり期間を経て恋愛観が変化した結果、実は恋愛への準備はしっかりと整っている。
表面的な恋愛テクニックは身についていないかもしれない。でも、本当に大切なこと-相手を理解し、自分を理解し、健全な関係を築く基礎-はしっかりとできている。
この期間に培った内面的な豊かさや、深く考える力は、きっと誰かの心に響く。急がず、焦らず、自分らしいペースで恋愛を始めればいい。
今のあなたの恋愛観を大切に
ひきこもり期間中に形成された恋愛観は、とても貴重なもの。
外の世界の情報に惑わされず、自分自身と向き合って得た考えは、きっとあなたにとって正しい恋愛の指針になる。
その恋愛観を大切にしながら、いつか外の世界に出ていく日を迎えよう。その時、きっと素敵な出会いが待っている。
ひきこもり期間は、恋愛にとって無駄な時間ではない。むしろ、本当に大切なことを学ぶ貴重な時間。その経験を活かして、あなたらしい恋愛を築いていこう。