また見てしまった。
夜中に目が覚めて、なんとなくスマホを手に取り、気がつくと彼のインスタグラムを開いている。新しい投稿はないか、ストーリーは更新されていないか。
昨日も見た。一昨日も見た。実は今日だけで、もう3回目。
「これじゃだめだ」と思いながらも、指が勝手に動いてしまう。そんな自分が情けなくて、でもやめられない。
見てしまう理由
なぜ私たちは、好きな人のSNSを何度もチェックしてしまうのだろう。
それは愛情の表れでもあり、同時に不安の表れでもある。
彼の日常を知りたい。どんなことを考えているのか、何をして過ごしているのか、誰と一緒にいるのか。直接聞けない分、SNSから情報を得ようとする。
でも実は、もっと深い理由がある。
SNSをチェックすることで、なんとなく彼と「つながっている」気分になれる。物理的には遠くても、彼の生活の一部を覗き見ることで、距離が縮まったような錯覚を感じられる。
私も昔、好きな人のTwitterを毎日のように見ていた。彼がつぶやいた些細な内容から、その日の気分を想像したり、どんな音楽を聞いているのかを調べたり。まるで探偵のように、あらゆる情報を集めていた。
つながっているという錯覚
でも気づいてしまった。これは一方通行の関係だということに。
私は彼のことをよく知っているつもりになっている。でも彼は、私のことを何も知らない。
SNSを通じて感じるつながりは、実は錯覚に過ぎない。本当のつながりは、お互いが相手のことを思い合い、直接やり取りすることで生まれる。
それでも見てしまう。なぜなら、この錯覚の方が安全だから。
現実で彼と話しかけることは、拒絶されるリスクがある。でもSNSを見ているだけなら、傷つくことはない。一方的に愛し続けることができる。
見るたびに募る切なさ
でも、SNSを見るたびに、切ない気持ちも大きくなる。
彼の楽しそうな投稿を見て、「私もその場にいたかった」と思う。 他の女性とのツーショットを見て、胸がざわつく。 彼が投稿する言葉の端々から、恋人の存在を感じ取ってしまう。
SNSは現実の一部を切り取ったもの。でもその切り取られた部分だけを見て、勝手に想像を膨らませ、一人で喜んだり悲しんだりしている。
これは健全な恋愛感情と言えるのだろうか。
罪悪感との戦い
SNSをチェックすることに、どこか罪悪感を感じることもある。
「ストーカーみたいで気持ち悪い」 「こんなことしていても意味がない」 「もっと建設的なことに時間を使うべき」
でも、やめられない。好きという気持ちが強ければ強いほど、相手のことを知りたくなるのは自然なこと。
私たちは自分を責める必要はない。この行動は、愛情の一つの形なのだから。
ただし、これが自分の生活に支障をきたすようになったら、少し距離を置く必要があるかもしれない。
現実との向き合い方
SNSを見ることで得られる満足感は、一時的なもの。
本当に彼との関係を進展させたいなら、SNSの向こう側ではなく、現実の彼と向き合う必要がある。
でも、それがどれだけ難しいかも分かる。現実は複雑で、思い通りにならないことばかり。SNSの中の彼の方が、理想的で美しい。
私も長い間、現実逃避をしていた。SNSの中の彼を愛している方が、楽だったから。でも最終的に気づいた。それでは本当の幸せは得られないということを。
小さな一歩を踏み出そう
SNSをチェックすること自体は悪いことではない。でも、それだけで満足してしまうのはもったいない。
もし本当に彼のことが好きなら、少しずつでもいいから、現実でのつながりを作ってみよう。
共通の友人がいるなら、グループで会う機会を作ってもらう。 彼の投稿に、さりげなくいいねやコメントをしてみる。 偶然を装って、彼がよく行く場所に行ってみる。
どれも勇気のいることだけれど、SNSを見るだけの関係から一歩進むためには必要なこと。
自分の時間を大切に
そして何より大切なのは、好きな人のことばかり考えるのではなく、自分自身の生活を充実させること。
SNSをチェックする時間を、自分磨きの時間に使ってみる。新しい趣味を始めたり、友達と会ったり、仕事に集中したり。
自分が輝いていれば、きっと彼の目にも留まる。そして何より、自分自身が幸せになれる。
それでも見てしまう日があっても
完全にやめる必要はない。時々、彼のSNSを見てしまう日があっても、自分を責めないで。
ただ、見た後に「今日は彼のために何をしよう」ではなく、「今日は自分のために何をしよう」と考えてみて。
好きな人のことを思う気持ちは美しい。でもその気持ちを、自分を成長させるエネルギーに変えることができれば、もっと素敵だと思わない?
今夜も彼のSNSを見てしまったあなたへ。
その愛情深い心を、まずは自分自身に向けてあげて。そして少しずつ、現実の世界でも彼との距離を縮められる勇気を育てていこう。
あなたの純粋な気持ちは、きっと彼にも伝わる。時間はかかるかもしれないけれど、諦めないで。