恋愛で一番難しいのは、距離感だと思う。
近すぎると重いと言われ、遠すぎると興味がないと思われる。ちょうどいい距離って、一体どこにあるのだろう。
LINEの返信ひとつにしても、すぐ返すと必死すぎるみたいだし、遅すぎると冷たい印象を与えてしまう。会う頻度だって、毎日会いたい気持ちを抑えて、でも間隔が空きすぎないように調整して。
気づけば、恋愛が駆け引きのゲームになってしまっている。
教科書にはない「正解」
大学でコミュニケーション学を学んだとき、対人関係における距離感について理論的には理解できた。パーソナルスペースや親密度の段階、適切な自己開示のペースなど。
でも実際の恋愛では、そんな理論は何の役にも立たなかった。
相手によって心地よい距離は違う。同じ人でも、その時の気分や状況によって求める距離は変わる。昨日は近くにいてほしそうだったのに、今日は一人の時間を大切にしたそうな雰囲気。
恋愛の距離感に、教科書的な正解なんてないのだと気づいた。
近すぎる不安
好きになればなるほど、相手のそばにいたくなる。でも、その気持ちをそのまま表現すると「重い」と言われてしまう。
「毎日会いたい」「いつも一緒にいたい」「あなたのことばかり考えてる」
これらの言葉は、純粋な愛情の表現なのに、なぜか相手を困らせてしまうことが多い。
私も以前、好きな人にあまりにも頻繁に連絡してしまい、相手に引かれてしまった経験がある。その時の相手の困ったような表情を思い出すと、今でも胸が痛む。
愛情を表現したいのに、それが逆効果になってしまう。この矛盾が、恋愛を難しくしている。
遠すぎる寂しさ
だからといって、距離を置きすぎると今度は別の問題が生まれる。
「最近連絡少ないね」「私に興味ないのかな」「もしかして他に好きな人ができた?」
相手を思いやって距離を置いているのに、それが不安や誤解を生んでしまう。
適度な距離を保とうとして、結果的に心の距離まで広がってしまうことがある。気づいたときには、もう手遅れ。相手の心は離れてしまっている。
相手に合わせることの疲れ
距離感を相手に合わせようとするあまり、自分の気持ちを押し殺してしまうことがある。
本当はもっと話したいのに、相手が忙しそうだから我慢する。 本当はもっと会いたいのに、相手のペースに合わせる。 本当はもっと甘えたいのに、自立した女性を演じる。
でも、そうやって自分を偽り続けていると、疲れてしまう。そして本当の自分を隠している関係に、虚しさを感じるようになる。
相手に合わせることは大切だけれど、自分を完全に消してしまっては意味がない。
距離感は相互作用
距離感は一人で決めるものではない。相手との相互作用で生まれるもの。
私が一歩近づけば、相手は一歩下がるかもしれない。でも、私が一歩下がれば、相手が一歩近づいてくることもある。
この微妙なダンスのような関係が、恋愛の醍醐味でもあり、難しさでもある。
大切なのは、相手の反応を敏感に察知しながら、でも自分の気持ちも大切にすること。完全に相手に合わせるのでもなく、完全に自分のペースを貫くのでもなく。
「自然体」という理想
よく「自然体でいることが大切」と言われる。確かにその通りだと思う。
でも、自然体でいるのは簡単ではない。好きな人の前では、どうしても緊張してしまうし、よく見せたいと思ってしまう。
自然体でいるためには、まず自分自身を受け入れることが必要。自分の気持ちを恥じることなく、でも相手のことも思いやる。そのバランスを取ることが、本当の意味での自然体なのかもしれない。
完璧を求めすぎない
距離感に完璧を求めすぎると、恋愛が窮屈になってしまう。
時には近すぎることもあれば、時には遠すぎることもある。それで当たり前。人間関係は、そういう試行錯誤の中で深まっていくもの。
一度の失敗で関係が終わってしまうような関係なら、もともとそれまでのものだったのかもしれない。本当に大切な人となら、多少の距離感の失敗は許し合えるはず。
コミュニケーションの大切さ
実は、距離感の問題の多くは、コミュニケーション不足から生まれる。
「どのくらいの頻度で連絡したい?」 「今度いつ会える?」 「私からの連絡、多すぎない?」
こんな風に、素直に聞いてみることで解決できることも多い。
駆け引きや推測に頼るよりも、直接的なコミュニケーションの方が、結果的にお互いにとって心地よい距離感を見つけられる。
あなたらしい距離感を大切に
他のカップルの距離感を見て、「自分たちはどうなんだろう」と比較してしまうことがある。でも、関係はそれぞれ違う。
あなたとその人だけの、特別な距離感がある。それを見つけるために、時間をかけてもいい。失敗してもいい。
大切なのは、お互いが心地よいと感じる距離感を、一緒に探していくこと。
今日から始められること
完璧な距離感を一度で見つけようとしなくていい。
今日は少し勇気を出して、近づいてみる。明日は少し余裕を持って、距離を保ってみる。相手の反応を見ながら、少しずつ調整していく。
そうやって試行錯誤している時間も、きっと二人の大切な思い出になる。
恋愛の距離感に正解はない。でも、お互いを思いやりながら探していく過程に、愛情は育まれていく。
焦らず、急がず、あなたたちらしいペースで。