朝起きて、鏡の中の自分を見るたび思うことがある。
「私って、何のためにここにいるんだろう」
仕事をして、家に帰って、また次の日が始まる。その繰り返しの中で、ふと立ち止まって考えてしまう。私がいてもいなくても、世界は何も変わらないのではないか、と。
みんなは自分の価値を知っているの?
SNSを見ると、みんな充実した毎日を送っているように見える。やりがいのある仕事について投稿する人、趣味に没頭している人、誰かに愛されて幸せそうな人。
彼らは自分の存在価値をちゃんと理解しているのだろうか。私だけが、こんなふうに迷っているのだろうか。
でも実際のところ、多くの人が同じような疑問を抱えている。ただ、それを表に出さないだけ。私たちは一人ひとり、それぞれの方法で自分の価値を探し続けている。
大学で学んだこと、現実で感じること
私は大学でコミュニケーション学を専攻していた。人と人がつながることの意味や価値について、たくさんのことを学んだ。
でも不思議なことに、その知識があるからといって、自分自身の価値が明確になるわけではなかった。むしろ、理論と現実のギャップに悩むことが多かった。
「つながりが大切」だと学んでも、実際には人との関わりが苦手で、一人でいることの方が多い。そんな自分に価値があるのだろうか、と。
価値は「役に立つこと」だけじゃない
私たちは知らず知らずのうちに、自分の価値を「役に立つかどうか」で測ってしまいがち。
仕事で成果を出すこと。誰かの役に立つこと。社会に貢献すること。
もちろん、これらは素晴らしいこと。でも、それだけが存在価値ではない。
あなたがそこにいるだけで、誰かの心が少し軽くなることがある。 あなたが微笑むだけで、その場の空気が少し温かくなることがある。 あなたが存在するだけで、この世界が少し豊かになることがある。
それに気づかないのは、私たちが小さすぎるから、近すぎるからかもしれない。
見えない影響を与えている
電車で席を譲ったこと。コンビニで店員さんに「ありがとう」と言ったこと。友達の話を最後まで聞いたこと。
そんな小さな行動が、実は誰かの一日を変えている。その人の人生に、小さくても確実な影響を与えている。
でも、私たちはその結果を見ることができない。だから「何もしていない」「価値がない」と感じてしまう。
見えないからといって、ないわけではない。あなたの存在は、確実に誰かの人生に影響を与えている。
完璧でなくても価値がある
「もっと頑張らなきゃ」「もっと成長しなきゃ」「もっと貢献しなきゃ」
そんな思いで自分を追い込んでしまうことがある。でも、価値は「完璧になったとき」に生まれるものではない。
今のあなた、不完全なあなた、迷っているあなたにも、ちゃんと価値がある。
むしろ、その迷いや不安こそが、あなたを人間らしく、愛おしい存在にしている。同じように悩んでいる誰かにとって、あなたの存在は「一人じゃない」という安心感を与えている。
自分にとっての価値を見つける
他人から認められることも大切だけれど、まずは自分にとっての価値を見つけてみよう。
好きな音楽を聴いているとき。 美しい夕日を見たとき。 美味しいものを食べているとき。 誰かと笑い合ったとき。
そんな瞬間に感じる「生きていてよかった」という気持ち。それも立派な存在価値。
あなたがこの世界を美しいと感じ、誰かの優しさに心を動かされ、小さな幸せを見つけられること。それだけで十分に価値がある。
価値は育てるもの
存在価値は、最初から完成された形で与えられるものではない。日々の小さな選択や行動を通して、少しずつ育てていくもの。
今日誰かに優しくしたこと。 本を読んで新しいことを学んだこと。 自分の気持ちと向き合ったこと。 困難に立ち向かったこと。
すべてが、あなたの価値を育てている。見えないかもしれないけれど、確実に成長している。
あなたがいなくなったら
もしあなたがいなくなったら、誰が悲しむだろう。
家族、友達、同僚。もしかしたら、あなたが思っている以上にたくさんの人が、あなたの存在を大切に思っている。
でも、それ以上に大切なのは、あなた自身があなたの存在を大切に思うこと。
他の誰でもない、あなただけの視点。あなただけの感じ方。あなただけの優しさ。それらは、この世界にただ一つしかない貴重なもの。
今日を生きること自体が価値
存在価値がわからなくても大丈夫。
今日を生きること。明日に向かうこと。小さくても自分なりに前に進むこと。それ自体が、とても価値のあること。
あなたは探している。答えが見つからなくても、探し続けている。その姿勢こそが、人間としての美しさであり、価値なのかもしれない。
急いで答えを見つけなくてもいい。ゆっくりと、自分のペースで、自分なりの価値を育てていけばいい。
今日もあなたがここにいる。それだけで、この世界は少し特別な場所になっている。
そのことを、どうか忘れないでいてほしい。