恋愛関係が深くなってくると、避けて通れない質問がある。
「前は何をしてたの?」 「学校卒業してからずっと働いてるの?」 「この時期は何してた?」
心臓がドキドキする。手のひらに汗をかく。
なぜなら、その期間は引きこもっていたから。人に説明するのが難しい時間を過ごしていたから。
誰にもない完璧な履歴書
みんなが綺麗な履歴書を持っているわけではない。
学校を卒業して、すぐに就職して、キャリアを積んで。そんな理想的な人生を歩んでいる人の方が、実は少数派かもしれない。
私も大学でコミュニケーション学を学んだ後、しばらく外に出るのが辛い時期があった。人と話すことが専門なのに、人と話すのが怖くなってしまった皮肉な時期。
でも今振り返ると、その時間があったからこそ、今の自分がある。たくさんの本を読み、自分と向き合い、本当に大切なことを考える時間だった。
説明する義務があるの?
まず大前提として、あなたには過去のすべてを説明する義務はない。
恋愛関係であっても、プライバシーは存在する。話したくないこと、まだ話せないことがあるのは当然。
相手が理解のある人なら、「話したくないことがあるんだね」と受け入れてくれるはず。そして「いつか話したくなったら聞くよ」と言ってくれるはず。
もし過去の詳細をしつこく聞いてくる相手なら、その人とは距離を置いた方がいいかもしれない。
いつ、どう伝えるか
でも、信頼できる相手で、長期的な関係を築きたいと思うなら、いつかは話す機会が来る。
その時は、「引きこもり」という言葉を使う必要はない。
「しばらく体調を崩していた時期があって」 「精神的に疲れて、休養が必要だった時期があって」 「自分と向き合う時間が必要だった時期があって」
これらはすべて嘘ではない。むしろ、より本質的な説明。
引きこもりは恥ずかしいことじゃない
社会は「引きこもり」という言葉にネガティブなイメージを持たせすぎている。
でも実際は、現代社会のストレスや競争に疲れて、一時的に距離を置く必要があっただけ。それは決して甘えでも逃避でもない。
むしろ、自分の限界を知り、適切な対処をした証拠。無理をして心身を壊すよりも、ずっと健全な選択。
その期間に培った内省力や共感力は、きっと恋愛関係でも活かされる。
相手の反応が怖い理由
「引きこもっていた」と言ったら、相手が離れていってしまうのではないか。
そんな恐怖があるのは当然。でも考えてみて。もしその情報だけで離れていく人なら、その人はあなたの本当の価値を理解していない。
本当にあなたを大切に思う人なら、過去よりも今のあなたを見てくれる。そして、その経験があったからこそ今の魅力的なあなたがあることを理解してくれる。
段階的な自己開示
すべてを一度に話す必要はない。
最初は「少し体調を崩していた時期があって」程度で十分。相手の反応を見ながら、少しずつ詳しく話していけばいい。
信頼関係が深まれば、「実は人と接するのが辛くて、しばらく家にいることが多かった」と言えるようになる。そして最終的に、引きこもりという言葉を使わなくても、実情を理解してもらえる。
その経験があなたの強み
引きこもりの経験は、実は恋愛において強みになることもある。
人の痛みがわかる。相手の辛い気持ちに共感できる。一人の時間の大切さを知っている。無理をしないことの重要性を理解している。
これらはすべて、深い人間関係を築く上で重要な要素。
私も自分の引きこもり気味だった時期を恥じていたけれど、今は感謝している。その時間があったからこそ、表面的でない、本当に深いつながりを求めるようになった。
完璧でない過去を受け入れる
誰にも、説明しにくい過去がある。
病気をしていた人、家族の問題を抱えていた人、進路に迷っていた人、人間関係で傷ついた人。
あなたの引きこもり期間も、そんな人生の一部。恥ずべきことでも、隠すべきことでもない。
今のあなたが答え
もし相手に過去について聞かれたら、こう答えてもいい。
「色々あったけれど、今のわたしがここにいる。それが答えかな」
過去の詳細よりも、今のあなたがどんな人なのか、どんな価値観を持っているのか、どんな風に相手を大切にしたいと思っているのか。
それこそが恋愛において本当に重要なこと。
あなたを理解してくれる人は必ずいる
もし最初の数人が理解してくれなくても、諦めないで。
あなたの過去を含めて受け入れてくれる人は、必ずいる。むしろ、似たような経験をした人なら、より深く理解してくれるかもしれない。
急いで説明する必要はない。信頼できる相手に、あなたのペースで、あなたの言葉で話せばいい。
そして、もし理解してくれる人に出会えたら、その関係はきっととても深く、温かいものになる。
あなたの過去も、今も、未来も、すべてがあなたの大切な一部。それを丸ごと愛してくれる人との出会いを、信じて待っていよう。