また恋愛がうまくいかなかった。今度こそはと思っていたのに、結局相手の心を掴むことができなかった。
きっと私の何かが悪いのだろう。何かが足りないのだろう。
鏡を見つめながら、自分の欠点を数え上げる。話がつまらない、積極性がない、見た目が地味、気遣いが足りない、甘え方がわからない…
これらの欠点さえ直せば、きっと愛されるようになる。そう信じて、今日もまた自分を変えようと努力している。
欠点探しの無限ループ
私たちは恋愛がうまくいかないとき、つい原因を自分の中に探してしまう。
「もっと明るかったら」 「もっと可愛かったら」 「もっと気が利いたら」
でも不思議なことに、一つの欠点を直したと思っても、また別の欠点が見えてくる。まるで終わりのない改善プロジェクトのように。
私も大学時代、コミュニケーション学の知識を駆使して「完璧な会話術」を身につけようとした。でも実際に実践してみると、技術的には正しくても、なんだか不自然で。相手との距離が縮まるどころか、かえって遠ざかってしまうこともあった。
知識と実践の間には、深い溝がある。
欠点だと思っていることが、実は魅力かもしれない
考えてみてほしい。あなたが誰かを好きになるとき、その人の完璧さに惹かれるだろうか。
むしろ、ちょっとした天然さや、時々見せる不器用さ、照れたときの表情、一生懸命になりすぎる姿に心を動かされるのではないだろうか。
あなたが「欠点」だと思っていることが、実は誰かにとってはとても愛おしい特徴かもしれない。
私の友人に、とても人見知りな子がいる。初対面の人とはほとんど話せないし、大勢の場では隅っこにいることが多い。彼女はいつも「もっと社交的になりたい」と言っていた。
でも彼女の彼氏は、その静かで控えめなところに惹かれたと言っていた。「一対一で話すときの彼女の深い話が好き」「騒がしい世界で、彼女といると心が落ち着く」と。
直すべき欠点と、受け入れるべき個性
もちろん、成長することは大切。でも、すべてを「直すべき欠点」として捉える必要はない。
本当に直すべきは、相手を傷つけてしまう言動や、自分自身を苦しめる思考パターン。例えば、過度な嫉妬心や、相手を試すような行動、自己卑下しすぎる傾向など。
でも、あなたの基本的な性格や価値観は、直すものではなく大切にするもの。内向的であることも、慎重であることも、完璧主義であることも、それ自体は悪いことではない。
大切なのは、その特性を活かす方法を見つけること。
自分を変えることの代償
自分を変えようとするとき、意外な代償を払うことがある。
本来の自分らしさを失ってしまうことがある。無理をして疲れてしまうことがある。そして何より、「本当の自分」を愛されているのか分からなくなってしまうことがある。
作られた自分で愛されても、それは本当に満たされる関係だろうか。いつまでその仮面を被り続けなければならないのだろうか。
相性という見えない力
恋愛において最も大切なのは、実は相性。
どんなに素晴らしい人でも、どんなに努力した人でも、相性が合わなければうまくいかない。逆に、特別な努力をしなくても、自然体でいられる相手もいる。
相性は、お互いの欠点さえも愛おしく感じさせる魔法のようなもの。あなたの「欠点」を「可愛いところ」として見てくれる人は、必ずいる。
自分を受け入れることから始まる成長
本当の成長は、自分を責めることからは生まれない。自分を受け入れることから始まる。
まず、今の自分を認めよう。完璧ではないけれど、一生懸命生きている自分を。頑張っているのに報われないときもあるけれど、それでも諦めずにいる自分を。
その上で、「自分のため」に成長していこう。誰かに愛されるためではなく、自分がより幸せになるために。
小さな変化から始めてみる
もし何か変えたいことがあるなら、小さなことから始めてみよう。
「完璧な恋人になる」ことを目指すのではなく、「今日一日、相手の話をしっかり聞いてみる」とか、「今度会うとき、素直に『ありがとう』を伝えてみる」とか。
そんな小さな変化が、実は大きな違いを生むことがある。
あなたはすでに十分魅力的
最後に、これだけは覚えていてほしい。
あなたはすでに十分魅力的。欠点があったとしても、それも含めてあなたらしさ。完璧になる必要はない。
大切なのは、あなたの良さを理解してくれる人と出会うこと。そしてそのためには、まず自分自身があなたの良さを認めることから。
鏡を見て欠点を数えるのではなく、今日頑張った自分を褒めてあげよう。昨日より少しでも成長した自分を認めてあげよう。
あなたのペースで、あなたらしく。
きっと、そのままのあなたを愛してくれる人との出会いが待っている。