自分の短所ばかりが気になる

自分の短所ばかりが気になる

自分の良いところは見えずに、悪いところばかりに目が向いてしまう心理について

読了時間: 5分

鏡を見るたび、気になるのは良いところではなく悪いところ。

「この髪型変だな」「肌の調子悪いな」「なんか太った?」

友達と話していても、後で振り返るのは自分の失言ばかり。

「あの時なんであんなこと言ったんだろう」「空気読めてなかったかな」「つまらない人だと思われたかも」

どうして私たちは、自分の短所ばかりに目が向いてしまうのだろう。

脳は悪いところを探すようにできている

実は、これは人間の脳の自然な働き。

私たちの脳は、生存のために「危険」や「問題」を素早く察知するようにできている。だから、良いことよりも悪いことの方に注意が向きやすい。これを心理学では「ネガティビティバイアス」と呼ぶ。

つまり、自分の短所ばかりが気になるのは、あなたが特別ネガティブだからではない。人間として自然な反応なのだ。

でも、この自然な反応に振り回されすぎると、本当の自分が見えなくなってしまう。

短所は拡大鏡で見ている

自分の短所を見るとき、私たちは無意識に拡大鏡を使っている。

小さな欠点も大きく見えるし、一時的な失敗も永続的な性格の問題のように感じてしまう。

私も大学時代、人前で発表するのが苦手だった。一度つまずいて話せなくなったことがあって、それ以来「私はコミュニケーションが下手な人間だ」と思い込んでしまった。

でも実際は、普段の友達との会話では普通に話せているし、一対一なら深い話もできる。発表が苦手なだけで、コミュニケーション全般が下手なわけではなかった。

短所だと思っていることの多くは、実は状況や条件によって変わるもの。絶対的な「欠陥」ではないのだ。

他人は思っているほど見ていない

自分の短所が気になるとき、「みんなに見られている」「きっと変だと思われている」と感じがち。

でも実際は、他人は私たちが思っているほど、私たちのことを細かく見ていない。みんな自分のことで精一杯だから。

これを心理学では「スポットライト効果」と呼ぶ。自分にスポットライトが当たっているような錯覚を抱いてしまうこと。

あなたが自分の髪型を気にしているとき、周りの人はあなたの髪型なんて気にしていない。あなたが自分の失言を後悔しているとき、相手はもうその話を忘れている可能性が高い。

完璧主義の罠

短所ばかりが気になる背景には、完璧主義があることが多い。

「完璧でありたい」「欠点があってはいけない」そんな思いが強いほど、小さな欠点も許せなくなってしまう。

でも考えてみて。完璧な人なんて存在するだろうか。あなたが魅力的だと思う人も、きっと何かしら悩みや欠点を抱えている。

完璧さは魅力ではない。むしろ、完璧すぎる人は近寄りがたく感じることもある。人間らしい不完全さこそが、親しみやすさや魅力につながることも多い。

短所は個性の一部

自分の短所だと思っていることが、実は誰かにとっては魅力に映ることもある。

おしゃべりが苦手→落ち着いていて聞き上手 心配性→思いやりがあって慎重 優柔不断→いろんな角度から物事を考えられる 人見知り→慎重で信頼できる

短所と長所は、実は表裏一体。見方を変えれば、すべてあなたらしさの一部なのだ。

良いところを見つける練習

短所ばかりに目が向いてしまうクセを変えるには、意識的に良いところを探す練習が必要。

毎日寝る前に、その日の「良かったこと」を3つ書き出してみる。どんな小さなことでもいい。

「今日は朝ちゃんと起きられた」 「友達に優しい言葉をかけられた」
「美味しいコーヒーが飲めた」

最初は難しく感じるかもしれない。でも続けているうちに、日常の中の小さな良いことに気づけるようになる。

他人の評価より自分の感覚

短所が気になるとき、つい「他人からどう見られているか」を考えてしまう。

でも本当に大切なのは、自分がどう感じているか。

他人の評価は変わりやすく、コントロールできない。でも自分の感覚や価値観は、自分でコントロールできる。

他人に好かれるために自分を変えるのではなく、自分が心地よく生きるために自分を受け入れる。その方がずっと楽で、ずっと自然だ。

ありのままの自分を抱きしめて

短所があることは恥ずかしいことではない。

短所があるから人間らしい。短所があるから成長できる。短所があるから誰かと支え合える。

私も長い間、自分の人見知りや内向的な性格を短所だと思っていた。でも今は、それも私らしさの一部だと受け入れている。人見知りだからこそ、一人ひとりとの関係を大切にできる。内向的だからこそ、深く考え、深く感じることができる。

あなたの短所だと思っていることも、きっと誰かにとっては愛おしい特徴なのだ。

今日から始める小さな変化

明日から急に自分を好きになれとは言わない。でも、今日から少しずつ、自分への見方を変えていこう。

短所が気になったとき、それと同じだけ長所も探してみる。 失敗したとき、それを学びの機会として捉えてみる。 他人と比較したくなったとき、自分の成長に目を向けてみる。

小さな変化が、やがて大きな変化につながる。

あなたはあなたのままで十分素敵。短所も含めて、すべてがあなたらしさ。

今夜は鏡を見るとき、欠点を探すのではなく、頑張っている自分に「お疲れさま」と声をかけてあげよう。