スマホを開くたびに目に入る、キラキラした投稿たち。
恋人とのデート写真、友達との楽しそうな食事会、家族の温かな時間。みんな本当に幸せそうで、見ているだけで胸がきゅっと締め付けられる。
「いいね」を押すべきか迷いながら、結局そっとアプリを閉じてしまう。
こんな自分が嫌になる。
比較してしまう自分
なぜ他人の幸せを素直に喜べないのだろう。
私だって友達の幸せを願っている。心から応援したいと思っている。でも、その幸せそうな姿を見ると、どうしても自分の現状と比較してしまう。
彼女は素敵な恋人がいるのに、私は一人。 彼女は友達に囲まれているのに、私は休日も一人で過ごしている。 彼女は充実した毎日を送っているのに、私は何をしているんだろう。
比較することに意味がないとわかっているのに、やめられない。
私が大学でコミュニケーション学を学んでいたとき、「社会的比較理論」について勉強した。人は自分の能力や状況を評価するとき、必ず他者と比較するという理論。
つまり、比較してしまうのは人間として自然なこと。でも、SNSはその比較を極端にしてしまう装置でもある。
SNSの「幸せのハイライト」
SNSに投稿されるのは、基本的に人生のハイライト部分だけ。
誰も「今日も一人でコンビニ弁当」とか「また職場で嫌なことがあった」なんて投稿しない。みんな自分の最高の瞬間だけを切り取って共有している。
でも、それを見ている私たちは、それがその人の日常のすべてだと錯覚してしまう。まるでその人が24時間365日幸せに満ちているかのように。
実際には、投稿している本人だって、悩みや不安を抱えている。一人で泣いている夜もあるかもしれない。でも、そんな部分は見えない。
嫉妬心を感じる自分への罪悪感
他人の幸せに嫉妬してしまう自分が嫌だった。
「こんな風に思う私は心が狭いのかな」「友達なのに素直に喜べないなんて最低だな」
そんな風に自分を責めていた。
でも、嫉妬心も人間らしい感情の一つ。完全になくすことはできないし、なくす必要もない。大切なのは、その感情とどう向き合うか。
嫉妬心を感じることを責めるのではなく、「あ、今比較してるな」「羨ましいと思ってるな」と客観的に観察してみる。そうすると、少しだけ楽になる。
見えない部分に思いを馳せる
私は最近、意識的に想像するようにしている。
幸せそうな投稿の裏側を。
その写真を撮るまでに、きっと何枚も撮り直したんだろうな。 その楽しそうな食事会も、実は気を遣って疲れたかもしれない。 その素敵な恋人だって、完璧な人ではないはず。
これは相手を貶めるためではない。その人も私と同じ、不完全で、時には不安で、悩みを抱えた一人の人間だということを思い出すため。
そうすると、少しだけ心が軽くなる。
自分の幸せの基準を見つめ直す
他人の幸せに苦しくなるとき、実は自分の価値観を見つめ直すチャンス。
なぜその投稿が気になるのか。何が欲しいと思っているのか。
恋人が欲しいのか、友達と過ごす時間が欲しいのか、充実感が欲しいのか。それとも、ただ「幸せそうに見られたい」という承認欲求なのか。
私の場合、深く考えてみると、実は恋人そのものが欲しいというより、「愛されている実感」が欲しかったことに気づいた。誰かに大切にされている、必要とされているという感覚。
それなら、必ずしも恋人でなくてもいい。家族との関係を大切にしたり、友達との時間を増やしたり、自分自身をもっと愛したり。方法はいろいろある。
一歩距離を置く勇気
どうしても辛いときは、SNSから距離を置く勇気も必要。
アプリを削除したり、しばらく見ないようにしたり。これは逃げではなく、自分を守るための大切な選択。
私も一時期、InstagramやFacebookを見るのをやめていた。最初は「みんなの近況がわからなくなる」と不安だったけれど、実際にはそれほど大きな問題はなかった。
むしろ、他人との比較に時間を費やさなくなった分、自分のことに集中できるようになった。
自分だけの小さな幸せを見つける
他人の大きな幸せと比較するのではなく、自分だけの小さな幸せを見つけてみよう。
美味しいコーヒーを飲んだとき。 好きな本を読んでいるとき。 夕日がきれいだったとき。 ペットが甘えてきたとき。
これらは誰かと比較する必要のない、純粋な幸せ。誰の承認も必要ない、自分だけの大切な時間。
あなたの価値は比較で決まらない
最後に、いつも心に留めておいてほしいことがある。
あなたの価値は、他人と比較することでは決まらない。
他の人がどんなに幸せそうに見えても、あなたの人生の価値が下がるわけではない。あなたはあなたのペースで、あなたらしい幸せを築いていけばいい。
胸が苦しくなることがあっても、それは一時的な感情。その感情に支配されることなく、自分の人生を大切に歩んでいこう。
きっと今は見えなくても、あなたなりの幸せの形が必ずある。それを信じて、今日も一歩ずつ前に進んでいこう。
他人の幸せと比較することなく、あなた自身の人生を愛してほしい。