恋愛で自分の本音を隠してしまう理由

恋愛で自分の本音を隠してしまう理由

恋愛において本当の気持ちや考えを伝えることができず、相手に合わせてしまう心理について

読了時間: 5分

好きな人の前に立つと、いつもの自分ではいられなくなる。

本当はこう思っているのに、違うことを言ってしまう。本当はこうしたいのに、相手に合わせてしまう。後になって「なぜあんなことを言ったんだろう」と後悔する。

恋愛において自分の本音を隠してしまうのは、決してあなただけではない。多くの人が抱える、とても自然な心理なのだ。

嫌われることへの恐怖

本音を隠す最大の理由は、やはり「嫌われたくない」という気持ち。

「こんなことを言ったら、引かれるかもしれない」 「わがままだと思われるかもしれない」 「重いと感じられるかもしれない」

そんな不安が頭をよぎって、結局当たり障りのない返事をしてしまう。

私も学生時代、好きな人に映画の感想を聞かれたとき、本当は「少し退屈だった」と思ったのに、「面白かった」と答えてしまったことがある。相手がその映画を気に入っていることが分かっていたから。

でも後で気づいた。その小さな嘘が、だんだん大きな違和感になっていくことを。

愛されたい自分を演じてしまう

恋愛では、「ありのままの自分」よりも「愛されやすい自分」を演じてしまいがち。

男性が好みそうな趣味を言ってみたり、実際よりも家庭的なイメージを作ったり、本当は苦手なことでも「好き」と言ってみたり。

これは決して悪意があるわけではない。愛されたい、大切にされたいという気持ちは、とても自然なもの。でも、演じ続けることは、思っている以上に疲れるもの。

完璧でありたいという思い込み

特に真面目で頑張り屋の女性ほど、恋愛でも「完璧な彼女」でありたいと思ってしまう。

愚痴を言わない、わがままを言わない、いつも笑顔でいる、相手のことを最優先に考える。そんな「理想的な彼女像」を演じようとして、自分の本音を押し殺してしまう。

でも考えてみて。あなたが誰かを好きになるとき、その人の完璧さに惹かれるだろうか。むしろ、ちょっとした弱さや、時々見せるわがままな一面に、親しみやすさを感じるのではないだろうか。

過去の傷が影響している

もしかしたら、過去に本音を言って傷ついた経験があるかもしれない。

「そんなことを考えているなんて思わなかった」と言われたり、「重い」と距離を置かれたり、「面倒くさい」と関係を終わらせられたり。

そんな経験があると、無意識のうちに「本音を言うことは危険」だと学習してしまう。自分を守るために、本当の気持ちを隠すようになる。

私も大学時代、コミュニケーション学を学びながら、実際の人間関係では理論通りにいかないことばかりだった。「正直なコミュニケーション」の重要性は頭では分かっていても、いざとなると怖くて実践できなかった。

相手に合わせることが愛だと思っている

日本の文化では、相手に合わせることが美徳とされがち。特に女性は、自己主張よりも協調性を重視するよう育てられることが多い。

だから恋愛でも、「相手に合わせることが愛情表現」だと無意識に思ってしまう。自分の意見よりも相手の意見を優先し、自分の気持ちよりも相手の気持ちを大切にする。

でも、一方的に合わせるだけの関係は、本当の意味での愛し合う関係とは言えない。お互いの本音を知ってこそ、真のつながりが生まれる。

本音を言うタイミングが分からない

本音を伝えたい気持ちはあるけれど、いつ、どのように伝えればいいのか分からない。

付き合う前は「まだそんなことを言う関係じゃない」と思い、付き合った後は「今更言えない」と思ってしまう。そうやって時間が経つほど、本音を言うハードルが高くなっていく。

小さな本音から始めてみる

でも、いきなり重要な本音を伝える必要はない。まずは小さな本音から始めてみよう。

「実はこの料理、ちょっと苦手なんです」 「今日は少し疲れているので、早めに帰りたいです」 「この映画、私はあまり好みじゃないかも」

こんな小さな本音でも、最初は勇気がいる。でも、相手が受け入れてくれることが分かれば、だんだん自然に本音を言えるようになる。

本音を言える関係こそが本物

本当に大切なのは、お互いの本音を言い合える関係を築くこと。

あなたの本音を受け入れてくれる人こそが、あなたにとって本当に大切な人。逆に、本音を言ったら離れていく人は、最初から深いつながりを求めていなかった人かもしれない。

それなら、最初から本音を隠して関係を続けるよりも、早めに分かった方が良いとも言える。

拒絶されても、あなたの価値は変わらない

本音を言って拒絶されるのは確かに辛い。でも、それはあなたの価値が低いからではない。単に相性が合わなかっただけ。

あなたの本音を「わがまま」だと感じる人もいれば、「素直で可愛い」と感じる人もいる。あなたの意見を「面倒」だと思う人もいれば、「しっかりしている」と評価する人もいる。

大切なのは、あなたらしさを受け入れてくれる人を見つけること。

自分を大切にすることから始まる

本音を隠してしまうのは、どこかで「自分の気持ちは重要ではない」と思っているから。

でも、あなたの気持ちはとても大切。あなたの意見にも価値がある。あなたの本音も、誰かにとってはかけがえのないもの。

まずは自分自身が、自分の本音を大切にしよう。そうすれば、相手にも自然と本音を伝えられるようになる。

今日から少しずつ

今日から、小さなことでもいいので、本音を伝える練習をしてみよう。

友達との会話でも、家族との時間でも、日常の小さな場面で。「本当はこう思っている」「実はこうしたい」という気持ちを、少しずつ表現してみる。

恋愛でも同じ。いきなり大きな本音を伝える必要はない。でも、少しずつ、あなたらしさを見せていこう。

本音を伝えることは、相手への信頼の表れでもある。「あなたなら、本当の私を受け入れてくれる」という期待の表現でもある。

そうやって築いた関係こそが、本当に長続きする、深いつながりになる。

あなたの本音は、隠すものではなく、大切にするもの。そして、適切な相手に、適切なタイミングで伝えるもの。

今のあなたのままで、十分愛される価値がある。本音のあなたを愛してくれる人は、必ずいる。