引きこもり期間中に理想が高くなりすぎた

引きこもり期間中に理想が高くなりすぎた

家にいる時間が長くなると、頭の中で完璧な恋愛像を作り上げてしまい、現実とのギャップに悩むことについて

読了時間: 4分

部屋の窓から外を眺めながら、ふと気づく。いつの間にか、私の中の「理想の恋愛」「理想の相手」のハードルが、雲の上まで高くなってしまっていた。

家にいる時間が長くなって、小説を読み、映画を見て、想像の中で完璧な関係を築き上げる。でも実際に人と会うと、なんだか物足りない。

「あれ?私、こんなに理想が高かったっけ?」

頭の中で育てた完璧な恋愛

引きこもっている期間中、私たちは無意識のうちに「完璧な恋愛」を頭の中で構築している。

現実の煩わしさがない分、すべてが美しく、すべてが理想的。相手は常に理解があり、会話はいつも深く、デートはまるで映画のワンシーンのよう。

私も大学を休学していた期間、部屋で過ごす時間が長くなった。その頃読んでいた恋愛小説の主人公たちは、みんな完璧だった。美しい言葉を交わし、深い愛情を育み、些細な喧嘩も美しい和解に変わっていく。

「恋愛ってこういうものなのかな」と、いつの間にかそれが基準になっていた。

現実の人間の不完全さに戸惑う

でも実際に人と関わると、現実はそんなに美しくない。

相手は時々機嫌が悪いし、私の話を聞き流すこともある。デートで沈黙が続くこともあるし、価値観の違いで微妙な空気になることもある。

そんなとき、頭の中で「理想の相手なら、こんなことしないのに」と比較してしまう。

でも考えてみれば、私だって完璧じゃない。機嫌が悪い日もあるし、相手の話を上の空で聞いてしまうこともある。それなのに、相手にだけ完璧を求めるのは不公平だった。

アニメや小説の影響

引きこもり期間中、私たちの恋愛観を形作るのは、リアルな体験ではなく、創作物から得た理想像。

少女漫画の王子様キャラクター、恋愛映画の完璧な男性、小説の中の運命的な出会い。これらすべてが「恋愛ってこうあるべき」という基準を作り上げていく。

でも創作物は、現実の複雑さや面倒くささをすべて取り除いて、美しい部分だけを切り取ったもの。それを現実に求めるのは、少し無理があるのかもしれない。

私も一時期、アニメの中のような「運命的な出会い」を本気で待っていた。でも現実の出会いは、もっと地味で、もっと偶然的で、もっと日常的。それに気づくまで、時間がかかった。

理想が高いのは悪いことじゃない

でも、理想が高くなってしまうことを、全部悪いこととして捉える必要はない。

それは、あなたが自分を大切にしている証拠でもある。「こんな人と一緒にいたい」「こんな関係を築きたい」という願望は、自分への愛情から生まれている。

中途半端な関係に妥協するよりも、本当に心から大切にできる人を待つ。それは決して間違いじゃない。

私も長い間、「理想が高すぎる自分がダメなんだ」と自分を責めていた。でもある日気づいた。理想を持つこと自体は悪いことじゃない。問題は、その理想が現実から離れすぎていることだった。

現実的な理想への調整

大切なのは、理想をゼロにすることじゃなくて、現実とのバランスを取ること。

完璧な相手を求めるのではなく、「不完全だけれど愛おしい人」を見つけること。完璧な関係を求めるのではなく、「時には面倒だけれど、それでも一緒にいたい関係」を築くこと。

私が実際に恋愛関係を築けるようになったのは、相手の小さな欠点を「愛らしい特徴」として受け入れられるようになってからだった。

少しずつ外の世界に触れてみる

理想と現実のギャップを埋めるには、やっぱり少しずつでも現実の人間関係に触れることが大切。

いきなり恋愛関係を求める必要はない。友達との何気ない会話、カフェでの店員さんとのやり取り、ちょっとした挨拶。そういう日常的なコミュニケーションから始めてみる。

そうすることで、「人間ってこんなものなんだ」「でもそれでいいんだ」という感覚が少しずつ育ってくる。

引きこもり期間も無駄じゃなかった

引きこもっていた時間を後悔する必要はない。

その期間があったからこそ、あなたは深く考えることができた。本を読み、映画を見て、自分の価値観を深めることができた。それらの経験は、きっと誰かとの関係の中で活かされる。

理想が高くなったのも、その時間があったから。そして今、その理想を少しずつ現実的に調整していく時期なのかもしれない。

あなたのペースで大丈夫

「早く理想を下げなきゃ」と焦る必要はない。

あなたが築き上げた理想は、あなたの大切な価値観。それを完全に捨てるのではなく、現実の中で実現可能な形に少しずつ調整していけばいい。

時間はかかるかもしれない。でもあなたのペースで、あなたらしい関係を見つけていけば大丈夫。

引きこもり期間中に育てた理想も、現実の中で出会う不完全な人も、どちらもあなたの人生にとって大切な要素。

今日も、自分らしく、自分のペースで歩んでいこう。