友達との会話で恋愛の話になると、いつも居心地の悪さを感じる。
みんな当たり前のように付き合った人の話をして、別れた経験を語り、次の恋愛について相談し合う。そんな中で、私はただ聞いているだけ。
「あなたはどう思う?」と聞かれても、実体験がないから答えられない。
「経験がないから分からない」と正直に言うのも恥ずかしくて、曖昧に笑ってごまかしてしまう。
「普通」から外れている感覚
周りを見渡すと、みんな自然に恋愛をしているように見える。
高校生の頃から付き合って、大学で新しい恋人を見つけて、社会人になってもそれが続いている。まるでそれが人生の当たり前のコースかのように。
一方で私は、その「普通」のレールから外れてしまった感覚がある。
気がつけば、同年代の人たちとは恋愛経験に大きな差ができている。その差は時間とともにどんどん広がっていく。
経験の差が生む不安
恋愛経験が少ないことで生まれる不安は、単純に「モテない」ということではない。
「もし誰かと付き合うことになったとき、どうすればいいのか分からない」 「相手に経験の少なさがバレて、引かれてしまうのではないか」 「年齢の割に幼稚だと思われるのではないか」
私も大学時代、そんな不安を抱えていた。コミュニケーション学を学びながら、恋愛というコミュニケーションについては全くの初心者。理論は分かっても、実践経験がない自分がもどかしかった。
「遅すぎる」という思い込み
20代後半になると、「もう遅すぎるかもしれない」という焦りが生まれる。
「この年で恋愛初心者なんて恥ずかしい」 「みんなもう結婚を考える年齢なのに、私はまだスタート地点にすらいない」
でも、考えてみてほしい。人生は競争ではない。恋愛も、早く始めた人が勝ちというゲームではない。
それぞれの人には、それぞれのペースがある。そして、それぞれのタイミングがある。
経験の質と量
恋愛は経験の「量」よりも「質」が大切。
何人と付き合ったかよりも、どれだけ深く人を想えるか。どれだけ真剣に相手と向き合えるか。どれだけ自分らしさを保ちながら関係を築けるか。
経験が少ないからこそ、一つ一つの出会いを大切にできる。慎重に相手を選び、真剣に関係を育てることができる。
私の周りにも、たくさんの恋愛経験を重ねてきた人がいる。でも、その経験が必ずしも幸せな関係につながっているわけではない。むしろ、パターン化した恋愛を繰り返している人もいる。
純粋さという強み
経験が少ないことは、実は大きな強みでもある。
恋愛に対する純粋さ、新鮮さ、真剣さ。これらは、経験を重ねるうちに失われがちなもの。
初めて人を好きになったときの気持ち。初めて手をつないだときのドキドキ。初めてキスをしたときの感動。
これらの感情を、まっすぐに、純粋に感じられることは、実はとても特別なこと。
相手にとっても特別
あなたの「初めて」は、相手にとっても特別な意味を持つ。
あなたが初めて心を開く相手、初めて深く愛する相手。その人にとって、あなたは誰とも比較されることのない、唯一無二の存在になる。
経験豊富な人との恋愛には、どうしても過去の影がつきまとう。でも、あなたとの恋愛は、完全に新しい物語の始まり。
学ぶ姿勢の美しさ
恋愛経験が少ないからこそ、学ぶ姿勢を持っている。
相手のことを知りたいと思う気持ち。二人の関係をより良くしたいと願う気持ち。そんな向上心は、とても魅力的。
私も人間関係において、いつも学習者でありたいと思っている。知らないことを素直に「知らない」と言える謙虚さ。教えてもらうことに感謝できる気持ち。これらは、関係を深める上でとても大切な要素。
今からでも遅くない
何歳であっても、恋愛を始めるのに遅すぎることはない。
30代で初恋を経験する人もいる。40代で運命の人と出会う人もいる。人生に「正しいタイミング」なんて存在しない。
大切なのは、「遅すぎる」と諦めるのではなく、「今がちょうどいいタイミング」だと信じること。
自分のペースを大切に
恋愛経験の少なさを劣等感として抱える必要はない。
それは、あなたが慎重で、真面目で、人を大切にする人だから。簡単に人を好きにならず、じっくりと相手を見極める人だから。
そんな自分を恥じるのではなく、誇りに思っていい。
完璧でなくていい
初めての恋愛は、きっと不器用で、たどたどしくて、時には失敗もあるかもしれない。
でも、それで十分。完璧な恋愛なんて存在しない。みんな手探りで、みんな学びながら関係を築いている。
あなたの不器用さも、戸惑いも、すべてが愛らしい。そんなあなたを愛してくれる人は、必ずいる。
今日から始める恋愛
恋愛は突然始まるものではない。日々の小さな積み重ねから生まれるもの。
自分を大切にすること。他者に優しくあること。笑顔でいること。そんな当たり前のことから、恋愛は始まる。
経験の多さは関係ない。大切なのは、今のあなたの心が、誰かを愛する準備ができているかどうか。
そして、その準備は、もうできている。
恋愛経験が少ないことを劣等感として抱えるのではなく、これから始まる素敵な物語への期待として胸に抱こう。
あなたの恋愛は、これから始まる。そして、それはきっと美しい物語になる。