恋愛で自分らしさを失うのは仕方ない?

恋愛で自分らしさを失うのは仕方ない?

恋愛において自分を見失ってしまうことへの不安と、本当の意味での愛し合う関係について

読了時間: 5分

恋をすると、なぜこんなにも自分が分からなくなるのだろう。

相手の好きそうな服を選び、相手の好きそうな話題を探し、相手に嫌われないような発言を心がける。気がつくと、鏡に映っているのは「私らしい私」ではなく、「彼に愛されるための私」になっている。

これって、恋愛では当たり前のことなの?それとも、何か間違っているの?

「愛されるために変わる」という誤解

恋愛について書かれた本やネット記事には、よくこんなアドバイスがある。

「相手に合わせることが大切」 「男性の好みに合わせてファッションを変えよう」 「彼の趣味に興味を持とう」

確かに、相手のことを知り、歩み寄ることは大切。でも、それが「自分を変える」ことと同じになってしまうのは危険。

私も昔、好きになった人のために自分を変えようとしたことがある。彼が読書家だったから、普段読まない哲学書を読み始めた。彼がクラシック音楽好きだったから、コンサートに通った。

でも気づいたら、私の時間はすべて「彼に愛されるための時間」になっていた。本来の私が好きだったポップスも、気軽に読める小説も、すべて「レベルの低いもの」として封印してしまった。

恋愛初期の混乱は自然なこと

恋をすると、多少自分を見失うのは自然なこと。

新しい人との出会いは、今まで知らなかった自分の側面を発見させてくれる。相手に影響されて新しい趣味を始めたり、違った価値観に触れたりすることで、世界が広がることもある。

問題は、それが「成長」なのか「自己否定」なのかということ。

成長は、今まで自分が加えるもの。自己否定は、今まで自分を捨てること。前者は豊かさをもたらすけれど、後者は空虚感しか残さない。

「好きになってもらうため」の努力の限界

相手に好きになってもらうために自分を変えることには、大きな問題がある。

まず、どこまで変われば「十分」なのかが分からない。相手の反応を見ながら、もっともっと変わらなければと思い込んでしまう。

そして何より、変わった自分を好きになってもらえたとしても、それは「本当の私」を愛してもらったことにはならない。常に「演じ続ける」必要があり、いつかきっと疲れてしまう。

私がコミュニケーション学を学んでいたとき、印象的だった研究がある。長期間うまくいくカップルは、お互いの「ありのままの姿」を受け入れ合っているカップルだということ。

つまり、無理して作った自分を愛してもらうよりも、素の自分を愛してもらう方が、ずっと幸せで安定した関係を築けるということ。

自分らしさを保ちながら愛される方法

でも、完全に変わらないでいることが正解というわけでもない。

大切なのは、「自分らしさの核」を大切にしながら、「新しい自分」を発見していくこと。

例えば、彼が読書好きだからといって、今まで読んでいた雑誌を全部やめる必要はない。でも、たまには彼のおすすめの本も読んでみる。そして、その感想を自分の言葉で伝える。

「私にはちょっと難しかったけど、この部分はすごく共感した」 「普段読む本とは違って新鮮だった」 「あなたがこの本を好きな理由が少し分かった気がする」

こういう風に、自分の感性を大切にしながら、相手の世界にも歩み寄る。これが健全な関係性の築き方。

「私らしさ」って何だろう

恋愛で自分らしさを見失うとき、実は「自分らしさとは何か」がよく分からないことが多い。

自分らしさとは、好きなものや趣味だけではない。もっと深いところにある価値観や、物事の感じ方、大切にしたいこと。

私の場合、人に対する優しさや、物事を深く考える傾向、一人の時間を大切にしたい気持ち。これらは恋愛をしても変わらない「私らしさの核」だと思う。

一方で、ファッションや趣味、休日の過ごし方などは、相手に影響されて変わってもいい部分。むしろ、新しい体験を通じて自分の可能性を広げてくれる。

相手にも「自分らしさ」を求めよう

自分らしさを保つことと同じくらい大切なのは、相手にも「その人らしさ」を求めること。

もし相手が、あなたに合わせるために自分を変えすぎているなら、それは健全な関係とは言えない。お互いが自分らしくいられる関係こそが、本当の愛し合う関係。

「無理しないで」「そのままのあなたが好き」

そんな風に言い合える関係が理想的。

一人の時間を大切にしよう

恋愛中でも、一人の時間は必要。

恋人と過ごす時間も大切だけれど、一人でいる時間にこそ、自分らしさを確認できる。好きな音楽を聴いたり、好きな本を読んだり、ぼーっと考え事をしたり。

そうやって「私」を大切にしている人は、恋愛においても魅力的。相手に依存しすぎず、適度な距離感を保てる。

違和感があるときは立ち止まって

もし恋愛をしていて「何か違う」と感じることがあったら、一度立ち止まって考えてみて。

「これは本当に私がしたいことなのか」 「私らしさを大切にできているか」 「相手は私らしさを受け入れてくれているか」

答えがNOなら、関係性を見直す時期かもしれない。

自分らしさを失わない恋愛は可能

恋愛で自分らしさを失うのは、決して仕方のないことではない。

お互いの個性を尊重し合い、成長し合える関係を築くことは可能。そしてそんな関係こそが、長く続く幸せな恋愛になる。

自分らしさを保ちながら愛し愛される。それが、本当の意味での「素敵な恋愛」なのだと思う。

あなたは、あなたらしいまま愛される価値がある。それを忘れないでほしい。