恋愛で金銭感覚が狂った経験談

恋愛で金銭感覚が狂った経験談

恋をすると普段の金銭感覚が変わってしまった体験と、そこから学んだことについて

読了時間: 5分

恋をすると、人は変わる。それは決して悪いことではないのだけれど、時として自分でも驚くような変化を見せることがある。

私の場合、それは金銭感覚だった。

普段なら絶対に買わないような高価なものを、彼のために迷わず購入している自分がいた。そしてその時は、それが当然のことのように感じていた。

始まりは小さなプレゼントから

最初は本当に小さなことだった。

大学生だった私は、アルバイト代をほとんど生活費と学費に回していて、自分のための贅沢なんてほとんどできない状況。でも、彼ができてから、何かプレゼントを贈りたくなった。

「お疲れさま」という気持ちを込めて、コンビニで買える小さなお菓子。500円程度の文房具。そんな程度から始まった。

彼が喜んでくれる顔を見ると、嬉しくて。もっと喜ばせたいと思うようになった。

エスカレートしていく出費

だんだんプレゼントの金額が上がっていった。

誕生日には、バイト代を一ヶ月分貯めて買った時計。 就活が上手くいったお祝いに、高級レストランでの食事。 なんでもない日にも、「疲れてるから」と理由をつけて、マッサージの予約を取ってあげたり。

その頃の私は、彼に喜んでもらうことが何よりも大切だった。自分の洋服は古いもので我慢しても、彼のためなら惜しくなかった。

というより、彼に喜んでもらえることで、自分の価値を確認していたのかもしれない。

「当然」になってしまう感覚

怖いのは、それが「当然」になってしまったこと。

最初は特別だったプレゼントが、いつの間にか習慣になっていた。彼も最初は恐縮していたのに、だんだん「ありがとう」の言葉も薄くなっていく。

でも私は止められなかった。

プレゼントをやめたら、彼の気持ちが離れてしまうような気がして。お金をかけることでしか、愛情を表現できないような錯覚に陥っていた。

大学のコミュニケーション学の授業で、「愛情表現の5つの言語」について学んだことがある。プレゼント、言葉、時間、行動、スキンシップ。でもその時の私は、プレゼントしか知らなかった。

友達からの指摘

転機は、親友からの一言だった。

「最近、お金の使い方がおかしくない?」

カフェで愚痴を聞いてもらっているとき、私が「今月もう金欠で」と言ったとき、彼女がはっきりと指摘してくれた。

「あなた、普通に生活してたらそんなにお金使わないはずでしょ?」

その瞬間、ハッとした。確かにそうだった。恋人ができる前の私は、もっと堅実だった。無駄遣いなんてほとんどしなかった。

でも、言い訳したくなった。「愛情を示すのは当然でしょ?」って。

彼の反応に気づいたとき

でも、もっと衝撃だったのは、彼の反応だった。

ある日、友達からの指摘を受けて、試しにプレゼントを控えてみた。一週間ほど、何も買わずに過ごしてみた。

すると、彼の連絡が明らかに減った。

それまで毎日のようにあった連絡が、二日に一度、三日に一度に。会う頻度も減った。

その時初めて気づいた。彼は私を愛していたのではなく、私のくれるものを愛していたのかもしれない、と。

目が覚めた瞬間

決定的だったのは、彼からの一言だった。

「最近、なんか冷たくない?前はもっと優しかったのに」

優しさを、物で測られていた。

その瞬間、自分がどんなに馬鹿なことをしていたかがわかった。本当の愛情は、お金で買えるものではない。そして、お金で繋がっている関係は、お金がなくなれば終わってしまう。

関係の終わり

結局、その関係は終わった。

私がプレゼントを控えるようになってから、彼の態度は明らかに変わった。そして最終的に「価値観が合わない」という理由で別れを告げられた。

その時は悲しかった。でも今思えば、あの時気づけて良かった。もしあのまま続けていたら、もっと大きな損失を被っていたかもしれない。

そこから学んだこと

あの経験から学んだことがたくさんある。

まず、愛情はお金で表現するものではないということ。本当に大切な人なら、あなたの時間や言葉、気持ちを大切にしてくれる。

そして、自分を大切にしない人を大切にしても、幸せにはなれないということ。

私は彼に尽くすことで、自分の価値を証明しようとしていた。でも、それは自分を安売りすることだった。

健全な関係とは

今なら分かる。健全な恋愛関係とは、お互いがお互いを大切にし合うもの。

どちらか一方が過度に負担を負うものではない。そして、物質的なものではなく、精神的なつながりが基盤になるもの。

もちろん、お互いに贈り物をし合うことは素敵なこと。でも、それは愛情の表現の一つであって、愛情そのものではない。

金銭感覚を取り戻すまで

あの恋愛が終わってから、金銭感覚を取り戻すのには時間がかかった。

まず、家計簿をつけ始めた。自分が何にどのくらいお金を使っているのかを把握するため。

そして、買い物をする前に一日考える習慣をつけた。「本当に必要なものか」「感情的になって買おうとしていないか」を冷静に判断するため。

少しずつ、以前の堅実な自分を取り戻していった。

今、恋愛で散財している人へ

もし今、恋愛でお金を使いすぎている人がいたら、一度立ち止まって考えてほしい。

その支出は、本当に愛情から来ているのか。それとも、相手を繋ぎ止めておきたい不安から来ているのか。

相手は、あなたのお金ではなく、あなた自身を愛してくれているのか。

厳しい質問かもしれない。でも、今気づくことで、もっと大きな損失を防げるかもしれない。

本当の愛情を見つけるために

お金をかけなくても、愛情は表現できる。

手作りの料理、心のこもった手紙、一緒に過ごす時間、相手の話をじっくり聞くこと。

これらは、どんな高価なプレゼントよりも価値があることが多い。

そして、そんなあなたの気持ちを理解してくれる人こそが、本当にあなたを愛してくれる人。

私のあの失敗は、今となっては貴重な経験だった。あの時の痛みがあったからこそ、本当に大切なものが何かを学べた。

あなたも、同じ過ちを繰り返さないでほしい。あなたの価値は、あなたが持っているお金の額ではなく、あなたという人間そのものにあるのだから。