恋愛をしていても、自分の時間や空間を大切にしたい。相手を愛しているけれど、すべてを共有する必要はないと思う。そんな風に感じることは、決して冷たいことではない。
むしろ、それは健全な恋愛観の表れかもしれない。
「距離感を保ちたい」という気持ちの正体
「適度な距離感を保ちたい」と感じるとき、それは何を意味しているのだろう。
自分の時間が欲しい。 一人でいる時間も必要。 すべてを相手に合わせたくない。 自分のペースを崩したくない。 依存し合う関係は避けたい。
これらの気持ちは、決してわがままではない。むしろ、自分というものをしっかりと持っている証拠。
私も大学時代、恋愛関係において「距離感」について悩んだことがある。コミュニケーション学を学ぶ中で、健全な人間関係には適切な境界線が必要だということを理論的に理解していた。でも実際の恋愛では、その境界線を引くことの難しさを痛感した。
溶け合うことへの不安
映画や小説では、恋人同士が「一つになる」ことが美しく描かれることが多い。でも現実的に考えてみると、完全に溶け合ってしまうことには危険性もある。
自分がなくなってしまう恐れ。 相手に依存してしまう不安。 関係が終わったときの喪失感への恐怖。
これらは決して杞憂ではない。実際に、恋愛で自分を見失ってしまう人は少なくない。
距離感を保ちたいという気持ちは、そうした危険性を本能的に察知している自己防衛本能なのかもしれない。
個性を保つことの美しさ
二人でいても、それぞれが個人として輝いている関係。それは決して冷たい関係ではなく、むしろとても美しい関係だと思う。
お互いが自分の趣味や友人関係を大切にしている。 一人の時間を尊重し合っている。 すべてを共有しなくても、お互いを信頼している。 依存ではなく、選択として一緒にいる。
こうした関係は、長期的に見てより安定していることが多い。なぜなら、お互いが成長し続けることができるから。
「愛している」と「距離感」は矛盾しない
「本当に愛しているなら、もっと近くにいたいはず」
そんな声を聞くことがある。でも、愛情の深さと物理的・心理的な距離は、必ずしも反比例するものではない。
むしろ、相手の個性や価値観を尊重し、適度な距離を保つことこそが、深い愛情の表れかもしれない。
私の友人に、とても仲の良い夫婦がいる。彼らは結婚して10年以上経つが、今でもそれぞれの趣味の時間を大切にしている。週末はそれぞれ別の活動をして、夜に合流して一日の出来事を語り合う。
「お互いに新鮮でいられるから、会話が尽きない」と彼女は言う。
適度な距離感の作り方
では、実際にどのように適度な距離感を保てばいいのだろう。
自分の時間を確保する
一週間のうち、少なくとも一日は自分だけの時間を作る。趣味に没頭したり、友人と会ったり、一人でカフェに行ったり。そうした時間を持つことで、自分らしさを保つことができる。
すべてを報告しなくてもいい
「今何してる?」「今日は何があった?」すべてに答える必要はない。もちろん、大切なことは共有するべきだけれど、日常の些細なことまで逐一報告する必要はない。
相手の個人的時間も尊重する
自分が距離感を保ちたいように、相手にも同じニーズがあるかもしれない。相手が一人の時間を欲しがったり、友人との時間を大切にしたりしても、それを寂しがったり嫉妬したりする必要はない。
罪悪感を感じる必要はない
「恋人なのに距離を保ちたがるなんて、冷たい人間なのかな」
そんな風に自分を責める必要はない。
適度な距離感を保ちたいと思うことは、自分の心の健康を守ろうとする自然な反応。それは決して相手への愛情が足りないということではない。
むしろ、お互いが個人として尊重され、健全な形で愛し合える関係を求めているということ。
相手に理解してもらうために
ただし、この気持ちを相手に理解してもらうことは大切。
「距離を保ちたい」という言葉だけだと、相手は拒絶されたと感じてしまうかもしれない。
「あなたを愛しているからこそ、お互いが個人として輝ける関係でいたい」 「一人の時間があることで、あなたとの時間がより特別になる」 「依存し合うのではなく、選択し合える関係でいたい」
そんな風に、自分の気持ちを丁寧に伝えてみよう。
距離感のある恋愛の美しさ
距離感のある恋愛には、独特の美しさがある。
会えない時間があるからこそ、会えたときの喜びが大きい。 すべてを知らないからこそ、相手への興味が尽きない。 依存していないからこそ、一緒にいることの選択に意味がある。
そうした関係は、時には物足りなく感じるかもしれない。でも長期的に見れば、より持続可能で、より成熟した愛の形なのかもしれない。
あなたらしい愛し方を見つけよう
恋愛に正解はない。べったりとくっついている関係が幸せな人もいれば、適度な距離感を保つ関係が心地よい人もいる。
大切なのは、自分がどんな関係を望んでいるかを理解し、それを相手に伝え、お互いが納得できる形を見つけること。
あなたが距離感を保ちたいと思うなら、それはあなたらしい愛し方。その気持ちを大切にして、あなたにとって心地よい関係を築いていこう。
愛し方に、正しいも間違いもない。あなたらしい愛し方で、あなたらしい幸せを見つけていこう。