みんなで恋愛の話になったとき、いつも感じることがある。
「私だけ何かの授業を受けていなかったのかな」
周りの友達は当たり前のように恋愛のことを語る。駆け引きの仕方、男性心理の読み方、デートのマナー、関係を深めるタイミング。まるで共通の教科書があるかのように。
でも私には、その教科書が配布されなかった。そんな気持ちになる。
みんなが知っている「常識」
「押してダメなら引いてみる」 「男性は追いかけたい生き物」 「3回目のデートで手をつなぐ」 「既読無視は駆け引きの基本」
こんな「恋愛常識」を、みんなは当たり前のように知っている。
でも私は知らなかった。そして知ったとしても、なんだか自分には合わない気がする。駆け引きなんて面倒だし、好きならストレートに表現したい。でもそれは「恋愛下手」ということになるらしい。
大学でコミュニケーション学を専攻していた私にとって、これは特に複雑な問題だった。理論上は人間関係の仕組みを理解している。でも実際の恋愛となると、学んだ理論がまったく役に立たない。
経験値の差を感じる瞬間
友達が恋愛相談をしてくるとき、私はいつもドキドキする。
「こういうとき、どうしたらいいと思う?」
経験豊富な友達なら、すぐに的確なアドバイスができるのだろう。でも私には分からない。教科書的な答えなら言えるけれど、それは本当に役に立つのか分からない。
結局「うーん、どうだろうね」とあいまいに答えて、話題が変わるのを待つ。そんな自分が情けなくて、でも正直に「分からない」と言うのも恥ずかしくて。
「普通」がわからない恐怖
一番困るのは、何が「普通」なのかがわからないこと。
初デートではどこまでがOKなのか。 どのくらいの頻度で連絡を取るのが適切なのか。 どのタイミングで関係を進展させるべきなのか。
こういった「暗黙のルール」が、私にはまったく分からない。
だから恋愛に発展しそうな場面になると、とても不安になる。間違ったことをして、相手を困らせてしまうのではないか。常識外れだと思われるのではないか。
教科書なんて存在しない
でも最近気づいたことがある。
実は、恋愛の教科書なんて存在しない。みんなが知っているように見える「常識」も、実は一人ひとり違っている。
あの友達の恋愛論と、この友達の恋愛論は全然違う。雑誌に書いてあることと、ドラマで見ることも違う。つまり、みんな手探りで、自分なりの方法を見つけているだけ。
「教科書を読んでいない」のではなく、「教科書なんて最初からない」のだ。
経験は質より量ではない
「経験が少ないから分からない」と思い込んでいたけれど、経験の量と恋愛の上手さは必ずしも比例しない。
たくさんの恋愛を経験していても、毎回同じパターンで失敗する人もいる。一方で、少ない経験でも深く愛し合っている人もいる。
私が持っている誠実さ、相手を思いやる気持ち、真剣に向き合う姿勢。これらは、どんな恋愛テクニックよりも価値がある。
自分らしい恋愛の形
駆け引きが苦手なら、駆け引きをしなければいい。 ストレートに気持ちを伝えたいなら、そうすればいい。 マイペースに関係を深めたいなら、自分のペースで進めばいい。
恋愛に「正解」はない。大切なのは、相手と自分、両方が心地良いと感じる関係を築くこと。
私は私らしい恋愛をすればいい。教科書通りでなくても、周りと同じでなくても、それが私らしさ。
初心者であることの美しさ
恋愛経験が少ないことを恥じる必要はない。
初心者には初心者の美しさがある。一つひとつの感情を大切に味わえること。相手に対して純粋に向き合えること。計算のない、素直な愛情を表現できること。
経験豊富な人が失ってしまった、新鮮さや真っ直ぐさを持っている。それは、とても価値のあることだ。
今からでも遅くない
「みんなより遅れている」と焦る必要もない。
恋愛に適齢期なんてない。20代で始めても、30代で始めても、それぞれに素晴らしい恋愛ができる。
大切なのは、他人と比較することではなく、自分の心の準備ができているかどうか。そして今、準備ができているなら、それがあなたにとってのベストタイミング。
教科書は自分で書けばいい
結局、恋愛の教科書は、自分で書くものなのかもしれない。
一つひとつの経験から学び、自分なりの価値観を築き上げていく。失敗からも、成功からも、どちらからも学べることがある。
あなたの誠実さ、あなたの優しさ、あなたの真面目さ。それらすべてが、あなただけの恋愛の教科書のページになる。
みんな初心者だった
周りの人たちも、最初はみんな初心者だった。
今は恋愛上手に見える友達も、きっと最初は同じように悩んでいた。みんな手探りで、失敗しながら、少しずつ学んでいった。
だから焦らなくていい。自分を責めなくてもいい。
あなたのペースで、あなたらしい恋愛を見つけていけばいい。教科書がなくても、きっと素敵な関係を築ける。なぜなら、一番大切なのは愛する気持ちだから。