今日もまた、心の中にたくさんの言葉が渦巻いている。
嬉しかったこと、悲しかったこと、ふと思ったこと、不安に感じること。でも、それを話せる人がいない。
家族に話しても「大したことない」と言われ、友達に話しても「みんな同じだよ」と流される。職場では愚痴を言う雰囲気でもないし、SNSに投稿するほどのことでもない。
結局また今日も、一人で抱え込んでしまう。
聞いてもらえない理由
なぜ私の話は聞いてもらえないのだろう。
話し方が下手だから?話の内容がつまらないから?それとも、みんな忙しすぎて余裕がないから?
でも時々気づく。私も誰かの話を、本当に聞けているだろうか。
大学でコミュニケーション学を学んでいたとき、「聞く」ことの難しさを知った。人は相手の話を聞いているようで、実は次に自分が何を話そうかを考えていることが多い。真剣に相手の立場に立って聞くことは、思っている以上に難しい。
だからこそ、本当に聞いてもらえた時の感動は大きい。そして、聞いてもらえない時の孤独感も深い。
話したい気持ちの正体
なぜこんなにも、誰かに話を聞いてもらいたいのだろう。
それは単に情報を伝えたいからではない。自分の存在を確認したいから。自分の気持ちが間違っていないことを知りたいから。一人じゃないことを感じたいから。
話を聞いてもらうことは、心の中の重荷を軽くしてもらうこと。一緒に荷物を持ってもらうこと。そして何より、「あなたのことを大切に思っている」というメッセージを受け取ること。
だから、話を聞いてもらえないということは、単に会話ができないということではない。つながりを感じられないということ。
聞いてもらえない時の寂しさ
話を聞いてもらえない時の寂しさは、とても深い。
特に、大切な人に聞いてもらえない時。家族や親しい友人が、私の話に興味を示さない時。その瞬間、自分がとても小さな存在に感じる。
私も経験がある。母親に今日あった出来事を話したとき、「そんなことより」と話題を変えられた時の切なさ。友達に悩みを打ち明けたとき、「考えすぎだよ」の一言で片付けられた時の孤独感。
その瞬間、話そうとしていた気持ちは行き場を失い、心の奥底に沈んでいく。
みんな忙しすぎる現代
でも、相手を責めることもできない。
現代社会では、みんな忙しすぎる。仕事、家事、育児、人間関係。やることが山積みで、誰かの話をゆっくり聞く余裕がない。
そして、情報過多の時代でもある。SNS、ニュース、動画、音楽。常に何かの情報に触れていて、静かに人の話に耳を傾ける時間が取りにくい。
つまり、聞いてもらえないのは、必ずしも私に価値がないからではない。社会全体の問題でもある。
本当に必要なのは「共感」
ふと気づいたことがある。
私が求めているのは、必ずしもアドバイスではない。解決策でもない。ただ、「分かるよ」「大変だったね」「そう感じるのは自然だよ」という共感。
でも多くの人は、話を聞くと解決しようとする。特に男性に多い傾向だけれど、女性でも「こうすればいいよ」とアドバイスをくれる人が多い。
もちろん、それも愛情の表れ。でも時には、ただ「そうだね」と言ってもらえるだけで十分なことがある。
一人の時間も大切
でも、いつも誰かに聞いてもらえるわけではない。そんな時は、自分で自分の話を聞いてあげよう。
日記を書く。声に出して独り言を言う。散歩しながら心の中で対話する。これらも立派な「聞いてもらう」方法。
私も一人の時間が長かった分、自分との対話が上手になった。自分の気持ちを整理し、自分なりの答えを見つける力が身についた。
一人で抱え込むのは辛いけれど、自分で自分を支える力も大切。
良い聞き手になることから
そして気づいたのは、聞いてもらいたいなら、まず自分が良い聞き手になることの大切さ。
相手の話を遮らずに最後まで聞く。 感情に寄り添って「大変だったね」と共感する。 アドバイスよりも、まず相手の気持ちを受け止める。
そうやって人の話を丁寧に聞いていると、相手も私の話を聞いてくれるようになる。信頼関係は相互的なもの。
聞いてくれる人は必ずいる
諦めないでほしい。
あなたの話を聞いてくれる人は、必ずどこかにいる。今はまだ出会っていないだけ。
それまでは、自分で自分を支えながら、少しずつ人とのつながりを育てていこう。完璧な聞き手でなくても、少しずつ聞いてくれる人との関係を築いていこう。
あなたの声には価値がある
最後に伝えたいことがある。
あなたの話は、決してつまらなくない。あなたの気持ちは、決して大したことなくない。あなたの声には、確かな価値がある。
それを理解してくれる人との出会いを信じて、今日も自分らしく生きていこう。
そして時には、自分の心の声にも耳を傾けてあげよう。あなた自身が、あなたの一番の理解者になれるから。
話を聞いてもらえない夜は辛い。でも、きっと明日は今日より少しだけ、誰かとつながれる日になる。