お洒落しても誰も見てくれない

お洒落しても誰も見てくれない

時間をかけてお洒落をしても誰からも気づいてもらえない切なさと、その本当の意味について

読了時間: 4分

今朝も鏡の前で30分以上かけて服を選んだ。

トップスとボトムスの組み合わせ、アクセサリーの色合わせ、メイクとのバランス。頭の中で何通りものコーディネートをシミュレーションして、やっと納得のいく仕上がりに。

でも、一日が終わって家に帰る頃には、いつもと同じ現実が待っている。

誰も気づいてくれなかった。

期待していた反応

心の奥で、密かに期待していた。

「今日、すごく可愛いね」 「そのコーディネート素敵」 「何か雰囲気変わった?」

そんな言葉を誰かが掛けてくれるかもしれない。特に、あの人が気づいてくれるかもしれない。

でも現実は、いつもと変わらない日常。みんな自分のことで忙しくて、私の小さな変化になんて気づかない。

そして一人になった時、虚しさがじわりと心を覆う。

お洒落する理由って何だろう

なぜお洒落をするのか、改めて考えてみる。

誰かに褒められたいから? 可愛く見られたいから? 注目されたいから?

もちろん、それらも理由の一つ。でも、もっと根本的な理由があるような気がする。

私が大学でコミュニケーション学を学んでいた時、興味深い研究を知った。人は服装を通じて自分のアイデンティティを表現し、同時に他者とのつながりを求めている、という内容だった。

つまり、お洒落は自己表現であり、同時にコミュニケーションの一種でもある。

見られていないわけではない

でも本当に、誰も見ていないのだろうか。

実は、思っている以上に人は見ている。ただ、それを言葉にしないだけ。

「可愛いな」と思っても、声には出さない。 「センス良いな」と感じても、わざわざ伝えない。 「今日いつもと違うな」と気づいても、コメントしない。

みんな心の中では色んなことを思っているけれど、それを表に出すのは案外難しい。特に日本人は、相手を褒めることに慣れていない。

私自身も振り返ってみると、素敵だと思った人に「素敵ですね」と伝えられたことは少ない。恥ずかしかったり、大げさに思われるのが嫌だったり。

見てもらうためのお洒落の限界

誰かに見てもらうためだけのお洒落には、どこか限界がある。

相手の好みに合わせようとして、自分らしさを失ってしまう。 流行を追いかけすぎて、本当に好きなものが分からなくなる。 褒められなければ、すべてが無意味に感じてしまう。

そして何より、相手の反応に一喜一憂する自分に疲れてしまう。

私も一時期、「モテるファッション」ばかりを研究していた時期がある。雑誌の特集を読み漁り、男性ウケの良い服装を心がけて。でも、その格好をしている時の自分は、どこか他人のような気がした。

自分のためのお洒落

最近気づいたことがある。

一番気分が良いのは、純粋に自分が好きな格好をしている時だということ。

色の組み合わせに心が躍る時。 お気に入りのアクセサリーを身に着けている時。 鏡に映る自分を見て、思わず微笑んでしまう時。

そういう瞬間に、お洒落の本当の喜びがあるのかもしれない。

誰かに褒められなくても、自分が満足していれば、それで十分。むしろ、自分で自分を認めてあげることの方が大切。

内側から滲み出る魅力

興味深いことに、自分のためにお洒落をしている人の方が、結果的に魅力的に見えることが多い。

自信を持って着こなしている人。 心から楽しんでファッションを選んでいる人。 自分らしさを大切にしている人。

そういう人には、自然と目が向く。表面的なテクニックを超えた、内側から滲み出る魅力がある。

小さな変化を自分で認める

今日のコーディネートも、決して無駄ではなかった。

誰にも褒められなかったかもしれないけれど、鏡の前でちょっと嬉しくなった瞬間があった。新しい組み合わせに挑戦できた。自分なりの美意識を表現できた。

そういう小さな積み重ねが、きっと自分を作っていく。

他人からの承認を待つよりも、まず自分で自分の努力を認めてあげよう。

「今日も可愛くできた」 「このコーディネート、我ながら良い感じ」 「新しいことに挑戦できた自分、えらい」

そんな風に、自分で自分を褒めてあげる時間を持ってみよう。

お洒落は自分との対話

お洒落は、自分との対話でもある。

今日はどんな気分? 何色が着たい? どんな自分でいたい?

そうやって自分の心と向き合いながら選ぶ服は、きっと一番似合う。そして、そうやって選んだ服を着ている時の自分は、一番輝いている。

見てくれる人は必ずいる

でも、きっと見てくれている人はいる。

あなたの努力に気づいている人。 あなたのセンスを素敵だと思っている人。 あなたらしさに魅力を感じている人。

ただ、それを言葉にするタイミングがまだ来ていないだけ。

そして何より、毎日鏡で会う自分が、一番の理解者。その人に胸を張れるようなお洒落を続けていこう。

今日も、明日も、自分のために素敵な一日を始めよう。

誰かが見ていようといまいと、あなたの努力は美しい。あなたのお洒落は、あなた自身への愛情表現なのだから。