夜、部屋で一人でいると、頭の中で色々な考えがぐるぐると回り始める。
「今日のあの発言、変だったかな」 「明日の予定、うまくいくかな」 「私の人生、このままで大丈夫かな」
気づけば時計の針は深夜を回り、考えれば考えるほど不安になって、眠れなくなってしまう。
ひとりの時間が長いと、どうしてこんなに考えすぎてしまうのだろう。
考えることは悪いことじゃない
まず最初に言いたいのは、考えることは決して悪いことではないということ。
むしろ、深く考える能力は素晴らしい才能。周りの人が気づかないような細かいことに気づいたり、物事の本質を見抜いたり、相手の気持ちを理解したり。
私も大学でコミュニケーション学を学んでいるとき、よく一人で考え込んでいた。授業で学んだ理論を自分の経験と照らし合わせたり、人間関係の複雑さについて延々と思いを巡らせたり。
周りからは「考えすぎ」と言われることもあったけれど、その時間があったからこそ、今の自分の価値観や考えが形成されたと思う。
でも、考えすぎは疲れる
ただ、考えることと考えすぎることは違う。
考えることが建設的な思考なら、考えすぎることは同じところをぐるぐると回る思考。答えの出ない問題について延々と悩み続けたり、過去の出来事を何度も反芻したり、まだ起こっていない未来のことを心配したり。
これは心を疲れさせるだけで、実際の解決には繋がらない。
私も経験がある。特に一人の時間が長いとき、頭の中で同じことを何度も考えてしまう。気づけば数時間が過ぎて、結局何も解決していないのに、ひどく疲れている。
なぜひとりの時間に考えすぎてしまうのか
ひとりの時間に考えすぎてしまう理由はいくつかある。
外的な刺激が少ないから 誰かと話していたり、仕事をしていたりするときは、外からの刺激があって思考が分散される。でもひとりでいると、内面の声だけが聞こえてきて、それが増幅されてしまう。
時間に余裕があるから 忙しいときは考える暇もないけれど、ひとりでゆっくりできる時間があると、普段押し込めている不安や疑問が浮上してくる。
誰にも聞いてもらえないから 考えていることを誰かに話せれば、それだけで気持ちが整理される。でもひとりだと、考えが頭の中で堂々巡りしてしまう。
考えすぎの悪循環
考えすぎは悪循環を生みやすい。
考えすぎる → 不安になる → さらに考える → もっと不安になる
この循環にはまってしまうと、小さな心配事も大きな問題のように感じられてしまう。
「あの人に嫌われているかも」という小さな不安が、「私は誰からも愛されない人間だ」という大きな絶望に発展してしまったり。
考えを外に出してみる
考えすぎを防ぐ一つの方法は、考えを頭の中に留めておかないこと。
日記を書く 頭の中でぐるぐる回っている考えを文字にしてみる。書き出すことで、考えが整理されて、案外大したことではないと気づくことも多い。
誰かに話す 信頼できる友人や家族に話を聞いてもらう。一人で考えているときは大問題に思えたことも、人に話すと「そんなに心配することでもない」と言ってもらえることがある。
声に出してみる 一人でも、声に出して話してみる。鏡に向かって話すでも、ペットに話しかけるでもいい。声に出すことで、考えが客観視できる。
考える時間を区切る
考えることは大切だけれど、際限なく考え続けるのは健康的ではない。
「悩む時間」を意識的に設定してみる。例えば「今日は30分だけこの問題について考えよう」と決めて、時間が来たら強制的に他のことに移る。
最初は難しいかもしれないけれど、練習すれば考えをコントロールできるようになる。
体を動かすことの効果
考えすぎているときは、意識的に体を動かすことも効果的。
散歩に出かける、軽い運動をする、掃除をする、料理を作る。体を動かしていると、自然と考えすぎの状態から抜け出せる。
私も考え込んでしまったときは、よく夜の散歩に出かける。歩いているうちに、頭の中がすっきりして、さっきまで悩んでいたことがそれほど大きな問題ではないと感じられることが多い。
一人時間の質を変える
一人の時間すべてが「考えすぎの時間」になる必要はない。
集中できる活動をする 読書、映画鑑賞、手芸、絵を描く、楽器を弾くなど、集中を要する活動は考えすぎを防いでくれる。
リラックスする時間を作る お風呂にゆっくり入る、好きな音楽を聴く、アロマを焚くなど、意識的にリラックスする時間を作る。
楽しみを見つける 一人でも楽しめることを見つける。新しいレシピに挑戦したり、部屋の模様替えをしたり、将来の計画を立てたり。
考えすぎる自分を責めない
最も大切なのは、考えすぎてしまう自分を責めないこと。
それはあなたの繊細さや思慮深さの表れ。決して欠点ではない。
ただ、その特性と上手に付き合っていく方法を身につけることで、一人の時間がもっと豊かで平和なものになる。
今夜もまた考えてしまっているあなたへ
もし今夜もまた、一人で色々なことを考えすぎてしまっているなら、少しだけ深呼吸をしてみて。
あなたが考えていることのほとんどは、明日の朝には違って見える。そして、その繊細な心は、きっと誰かにとってかけがえのない宝物。
考えすぎてしまう自分も含めて、今夜のあなたを受け入れて、そっと自分を労ってあげよう。
一人の時間は、考えすぎの時間ではなく、自分と仲良くなる大切な時間。そう思えるようになったとき、きっと心はもっと軽やかになる。