また今日も、言いたいことを飲み込んだ。
彼が遅刻しても「大丈夫」と言い、約束をドタキャンされても「忙しいから仕方ない」と納得させる。自分の気持ちより、彼の機嫌を優先してしまう。
でも心の奥で、小さな声が囁いている。
「いつまで我慢し続けるの?」
我慢することが愛だと思っていた
私たちは小さい頃から「我慢することは美徳」だと教わってきた。
特に女性は「優しく」「控えめに」「相手を立てる」ことを求められることが多い。その延長で、恋愛でも我慢することが愛情の証だと思ってしまう。
相手のために自分を抑える。 相手の機嫌を損ねないよう配慮する。 相手の要求に応える。
これらが愛情深い行為だと信じて、ずっとそうしてきた。
でも、我慢ばかりしている関係は、本当に健全な愛なのだろうか。
我慢の種類を見分ける
すべての我慢が悪いわけではない。
お互いを思いやる気持ちから生まれる配慮や譲歩は、関係を豊かにする。でも、自分を犠牲にする我慢と、愛から生まれる配慮は全く違う。
健全な配慮
- 相手の立場を理解して行動する
- お互いが快適になるよう調整する
- 自分の気持ちも大切にしながら相手を思いやる
不健全な我慢
- 相手に嫌われるのが怖くて自分を抑える
- 自分の気持ちを無視して相手に合わせる
- 関係を壊したくない一心で理不尽を受け入れる
私も長い間、この違いが分からなかった。「相手のため」と思ってしていたことが、実は「嫌われたくない」という恐れから来ていたことに気づくのに時間がかかった。
我慢しすぎてしまう理由
なぜ私たちは恋愛で我慢しすぎてしまうのだろう。
愛されたい気持ちが強すぎる 愛に飢えている時、相手を失うことへの恐怖が強くなる。だから理不尽なことでも受け入れてしまう。
自己価値感の低さ 「こんな私が愛されているだけで奇跡」と思っていると、相手の要求を断ることができない。
完璧でありたい願望 「良い恋人」でいたくて、文句を言わない理想的な存在を演じてしまう。
対立を避けたい性格 争いごとが苦手で、波風を立てるより我慢する方を選んでしまう。
これらの気持ち、とてもよく分かる。私自身、すべて経験してきたから。
我慢の限界点のサイン
心と体は正直だ。我慢の限界が近づくと、様々なサインを送ってくる。
感情面のサイン
- 相手と会う前に憂鬱になる
- 素直に喜べない
- 怒りを感じることが増える
- 常に疲れている感覚がある
身体面のサイン
- 頭痛や肩こりが増える
- 食欲がなくなる、または過食気味になる
- 眠れない、または眠りすぎる
- 息苦しさを感じる
行動面のサイン
- 友達との時間を避けるようになる
- 趣味に興味がなくなる
- 相手以外の人間関係がおろそかになる
- 自分らしさを失っている感覚がある
これらのサインを見逃してはいけない。心と体が教えてくれる大切なメッセージだから。
境界線を引く勇気
健全な恋愛関係には、適切な境界線が必要。
境界線とは、「ここまでは大丈夫だけど、これ以上は受け入れられない」という自分なりのラインのこと。
時間の境界線 いつでも相手の都合に合わせるのではなく、自分の時間も大切にする。
感情の境界線 相手の機嫌に一喜一憂しすぎず、自分の感情を安定させる。
身体的な境界線 嫌なことは嫌だと言う。無理強いされない。
価値観の境界線 大切にしたい価値観は曲げない。
境界線を引くのは、相手を拒絶することではない。お互いを尊重するための大切な約束事。
「No」と言う練習
「No」と言うのは、愛情がないからではない。むしろ、関係を長く健全に保つための愛情の表現。
最初は小さなことから練習してみる。
「今日はちょっと疲れているから、また今度にしない?」 「それは私には合わないかな」 「その話し方は傷つくよ」
相手が本当にあなたを大切に思っているなら、あなたの「No」を尊重してくれるはず。もし逆上したり、無視したりするようなら、その関係自体を見直す必要があるかもしれない。
自分を大切にすることから始まる愛
私が学んだ一番大切なことは、自分を大切にできない人は、他者からも大切にされにくいということ。
自分の気持ちを無視し続けていると、相手もあなたの気持ちを軽く扱うようになる。でも、自分を大切にしている人は、自然と他者からも尊重される。
自己犠牲は美しく見えるかもしれない。でも、それで築かれた関係は、本当の意味での愛情関係ではない。
バランスの取れた関係を目指して
理想的な恋愛関係は、お互いが我慢しすぎることなく、でも思いやりを持って接し合える関係。
時には相手に合わせ、時には自分の意見を通す。 時には譲歩し、時には譲ってもらう。 時には支え、時には支えられる。
そんなバランスの取れた関係こそが、長続きする愛を育む。
あなたの我慢は本当に必要?
今、あなたが恋愛で我慢していることがあるなら、一度立ち止まって考えてみて。
その我慢は、本当に必要なもの? その我慢で、あなたは幸せになっている? その我慢で、関係は良くなっている?
もし答えが「No」なら、変化の時かもしれない。
我慢の限界点を見極めて、自分を大切にしながら愛し合える関係を築いていこう。
あなたには、我慢ばかりしない幸せな恋愛をする権利がある。
その権利を、自分自身が守ってあげて。