部屋にこもって過ごした日々が長すぎて、いつの間にか人との会話が怖くなっていた。
昔はもう少し話せていたはず。学生時代は友達もいたし、普通に会話もできていた。でも今は、コンビニで「袋いりますか?」と聞かれただけで緊張してしまう。
そんな自分が恋愛なんて、と思う一方で、もしかしたら恋愛こそが社交性を取り戻すきっかけになるのかもしれない。
失ったものを数えなくていい
まず、「失った」という表現を変えてみよう。
社交性は完全に失くなったわけではない。少し錆びついているだけ。使わなかった筋肉が衰えるように、人との関わりが減れば会話スキルも衰える。でもそれは、また使えば戻ってくるもの。
私も大学卒業後、在宅ワークが続いて気がつけば月単位で人と話していない時期があった。久しぶりに友人と会ったとき、「あれ、こんなに話すの下手だったっけ?」と愕然とした。
でも今思えば、それは一時的なもの。少しずつ人との接点を増やしていくうちに、自然と元に戻っていった。
恋愛は最高のコミュニケーション練習
実は、恋愛は社交性を回復するのに最適な環境。
なぜなら、恋愛では「相手に好かれたい」という強いモチベーションがある。この気持ちが、自然とコミュニケーション能力を向上させる原動力になる。
友人関係や職場の関係では「うまく話せなくても仕方ない」と諦めてしまうことも、恋愛では「もっと話したい」「もっと分かり合いたい」という気持ちが勝る。
この気持ちがあれば、自然と会話の練習をしたくなるし、相手のことを理解しようとする力も働く。
小さな恋から始めよう
いきなり本格的な恋愛を始める必要はない。まずは小さな「好意」を見つけることから。
カフェの店員さんの笑顔が素敵だと思う。 本屋さんで見かける人が気になる。 オンラインで知り合った人に親近感を覚える。
これらも立派な恋の始まり。完璧な恋愛関係を築こうとするのではなく、「この人ともう少し話してみたい」という気持ちを大切にしよう。
相手も完璧じゃなくていい
引きこもり生活が長かった分、理想の恋愛像が高くなりがち。でも、相手も完璧である必要はない。
むしろ、お互いに少し不器用な方が、一緒に成長していける。あなたが会話が苦手なら、相手も人見知りの人の方が話しやすいかもしれない。
私の友人で、同じく内向的な性格の二人が付き合っているカップルがいる。最初はお互い無口で、デートでも沈黙が多かった。でも時間をかけて少しずつ打ち解けていき、今では誰よりも深く理解し合っている。
オンラインから始める恋愛もアリ
直接会って話すのがまだ難しいなら、オンラインから恋愛を始めてみるのも一つの方法。
文字でのやり取りから始めて、慣れてきたら音声通話、そして実際に会う。段階的に進めることで、無理なく社交性を回復できる。
メッセージのやり取りも立派なコミュニケーション。相手の気持ちを想像し、自分の思いを言葉にする練習になる。
沈黙を恐れない
恋愛で社交性を回復するとき、大切なのは「沈黙を恐れない」こと。
会話が途切れても大丈夫。お互いに慣れていないなら、沈黙があるのは自然なこと。その時間も含めて、一緒にいる時間を楽しもう。
無理に話題を作る必要はない。相手の手を見つめたり、一緒に空を見上げたり、そんな静かな時間も恋愛の醍醐味。
失敗を恐れずに
会話で失敗することもあるかもしれない。言葉に詰まったり、変なことを言ってしまったり。
でも、それも含めてあなたらしさ。完璧な会話よりも、一生懸命に伝えようとする気持ちの方が相手の心に響く。
私も恋愛で何度も失敗した。緊張して早口になったり、言いたいことが伝わらなかったり。でもそんな不器用さも含めて愛してくれる人と出会えたとき、本当の意味で社交性が回復したと感じた。
自分らしいペースで
社交性の回復に決まったペースはない。人それぞれ、時間のかかり方も違う。
焦って無理をするよりも、自分らしいペースで少しずつ進んでいこう。今日は少し長くメッセージのやり取りをしてみる。来週は電話で話してみる。来月は実際に会ってみる。
そんな風に、小さな目標を立てながら進んでいけばいい。
恋愛は最高の動機
引きこもり生活で社交性を失ったと感じているあなたへ。
恋愛は、失った社交性を回復するための最高の動機になる。「この人ともっと話したい」「この人に自分を理解してもらいたい」という気持ちが、自然とコミュニケーション能力を向上させてくれる。
完璧である必要はない。相手も完璧である必要はない。お互いに少しずつ、一緒に成長していけばいい。
今日から小さく始めよう
今日から、小さく始めてみよう。
好きなタイプの人がどんな人かを考えてみる。オンラインで同じ趣味の人を探してみる。外出したときに、気になる人を見つけてみる。
それだけでも、恋愛への第一歩。そして社交性回復への第一歩。
引きこもり生活で失ったと思っている社交性は、恋愛を通じてきっと取り戻せる。時間はかかるかもしれないけれど、その分大切にできる関係に出会える。
あなたの不器用さも、静かさも、すべて含めて愛してくれる人は必ずいる。その人との出会いを信じて、今日から小さく歩き始めよう。