また、やってしまった。
せっかく素敵な人と出会えて、相手も私に好意を持ってくれているのが分かるのに。なぜか私は、そのチャンスを自分で潰してしまう。
連絡が来ても返事を遅らせたり、誘われても理由をつけて断ったり、相手が近づこうとすると無意識に距離を置いてしまったり。
頭では「このままではダメだ」と分かっているのに、心がブレーキをかけてしまう。
なぜ自分で壊してしまうのか
私は大学でコミュニケーション学を学んでいたとき、人間の防衛機制について学んだ。
人は、深く傷つくことを避けるために、無意識のうちに自分を守ろうとする。特に過去に恋愛で傷ついた経験があると、その傷が癒えていない限り、また同じような痛みを味わうことを恐れてしまう。
だから、相手が近づいてくればくるほど、「きっと最後は傷つくことになる」という不安が強くなる。その結果、傷つく前に自分から関係を終わらせてしまう。
これは「自己防衛としての自己破壊」と呼ばれる現象。
完璧でない自分を見せるのが怖い
初めのうちは、相手に良い印象を与えようと頑張る。でも関係が深くなるにつれて、「本当の自分を知られたら嫌われるかもしれない」という恐怖が湧いてくる。
私の部屋が散らかっていること。 時々、わけもなく落ち込むこと。 人付き合いが苦手で、一人でいる時間が長いこと。 完璧とは程遠い、等身大の自分。
そんな自分を受け入れてもらえるか分からない。だったら、相手が幻滅する前に、自分から離れてしまった方が安全だと思ってしまう。
「どうせ」という諦めの気持ち
過去に何度か恋愛がうまくいかなかった経験があると、「どうせまた同じことになる」という諦めの気持ちが生まれる。
「どうせ私なんて」 「どうせ長続きしない」 「どうせ他にもっと良い人がいる」
この「どうせ」という言葉が、せっかくのチャンスを潰してしまう。まだ何も起きていないのに、勝手に結末を決めつけて、自分から諦めてしまう。
相手への遠慮
相手が優しくしてくれると、「私なんかのために時間を使わせて申し訳ない」と感じてしまう。
相手の親切を素直に受け取れず、「きっと気を使ってくれているだけ」「本当は迷惑に思っているかもしれない」と考えてしまう。
その結果、相手の気持ちを確かめることもなく、一方的に距離を置いてしまう。相手にとっては、急に冷たくなった理由が分からず、混乱してしまう。
幸せになることへの罪悪感
意外に多いのが、「私が幸せになっていいのか」という罪悪感。
周りに恋愛がうまくいっていない友達がいたり、家族に心配をかけていたりすると、自分だけ幸せになることに後ろめたさを感じてしまう。
また、過去の失恋で誰かを傷つけてしまった経験があると、「私は幸せになる資格がない」と思い込んでしまうことがある。
コントロールしたい気持ち
恋愛は、自分一人ではコントロールできないもの。相手の気持ちや状況によって、結果が左右される。
この「コントロールできない」ということが不安で、だったら自分から終わらせてしまった方が、少なくとも主導権は自分にあると感じられる。
拒絶される前に拒絶する。捨てられる前に捨てる。そうすれば、傷は浅くて済むと思ってしまう。
でも、それでは本当の幸せは得られない
これらの行動は、確かに一時的に自分を守ってくれる。でも同時に、本当の幸せからも遠ざけてしまう。
自分を守るために築いた壁は、相手を遠ざけるだけでなく、自分自身をも孤独の中に閉じ込めてしまう。
私も長い間、このパターンを繰り返していた。そして後になって、「あのとき、もう少し勇気を出していれば」と後悔することが何度もあった。
小さな一歩から始めよう
でも、この癖は変えることができる。まずは、自分の行動パターンに気づくことから。
相手から連絡が来たとき、わざと返事を遅らせようとしていないか。 相手が近づこうとしたとき、理由もなく距離を置こうとしていないか。 「どうせ」という言葉が頭に浮かんでいないか。
そんな瞬間に気づいたら、少しだけ立ち止まって考えてみよう。本当にその行動が必要なのか、それとも単に不安から逃げようとしているのか。
完璧でない自分も愛される
恋愛は、完璧な自分を演じるものではない。お互いの不完全さを受け入れ合うもの。
あなたの散らかった部屋も、時々の落ち込みも、人見知りも、すべてあなたらしさの一部。それを含めてあなたを愛してくれる人こそが、本当にあなたに合う人。
もちろん、相手に合わせて少しずつ成長することは大切。でも、自分を偽ってまで関係を続ける必要はない。
今度こそ、逃げずに向き合おう
次にチャンスが訪れたとき、今度こそ逃げずに向き合ってみよう。
不安になったら、その気持ちを相手に正直に伝えてみよう。「実は不安になってしまって」「どう接したらいいか分からなくて」そんな素直な気持ちを。
意外にも、そんな弱さを見せることで、相手との距離がぐっと縮まることがある。完璧な人よりも、人間らしい弱さを持つ人の方が、愛しく感じられるもの。
あなたは幸せになる資格がある。恋愛のチャンスを自分で潰してしまう癖があるとしても、それはあなたの優しさや繊細さの表れでもある。
その心の優しさを、今度は自分にも向けてあげよう。そして、せっかく訪れたチャンスを、大切に育ててみよう。
一歩ずつでいい。あなたのペースで、あなたらしい恋愛を築いていこう。