深夜のベッドで、今日も同じことを考えている。
「もっと明るくなれば愛してもらえるのかな」 「もっと痩せれば魅力的になるのかな」 「もっと積極的になれば、誰かが振り向いてくれるのかな」
そんな「もっと」「もっと」が頭の中を駆け巡って、今の自分はまるで恋愛失格者のような気持ちになってしまう。
でも、本当に変わる必要があるのだろうか。
変わることへの切ない願い
愛されたいという気持ちは、とても自然で美しいもの。そのために努力したいと思うのも、決して間違いではない。
私も大学時代、好きな人ができるたび「この人に好かれるためには、どう変わればいいのだろう」と必死に考えていた。コミュニケーション学を学んでいたのに、自分のコミュニケーションは全然上手くいかない。理論は分かるのに、実践では緊張して何も言えなくなる。
そんな自分が情けなくて、「もっと話し上手になれば」「もっと面白い人になれば」と思い詰めていた。
でも今思えば、その時の私は自分自身を見失っていた。相手に合わせようとするあまり、本当の自分がどこにいるのか分からなくなっていた。
愛のための変化と、承認のための変化
変化には二種類ある。
一つは「愛のための変化」。相手をより深く理解したい、より良い関係を築きたいという気持ちから生まれる自然な成長。
もう一つは「承認のための変化」。とにかく誰かに認められたい、愛されたいという焦りから、自分を否定して無理やり作り変えようとする変化。
前者は美しく、後者は苦しい。そして残念ながら、私たちが考える「変わること」の多くは後者だったりする。
変わった自分を愛してもらっても
仮に、頑張って自分を変えて、誰かに愛してもらえたとしよう。
でも、その人が愛しているのは「変わった後の自分」。本当のあなたではない。
そうなると、いつも演技をし続けなければならない。常に「愛される自分」でいなければならない。本当の自分を見せたら、愛されなくなってしまうかもしれない。
そんな関係が、本当に幸せだろうか。
私は一度、そういう経験をしたことがある。相手に合わせて自分を変えて、確かに距離は縮まった。でも、常に気を遣って、常に「理想の自分」を演じ続けるのはとても疲れた。
そして気づいた。これは愛し愛される関係ではなく、演技者と観客の関係だということを。
本当の愛は条件を付けない
本当の愛は、条件を付けない。
「明るくなったら愛する」「痩せたら愛する」「積極的になったら愛する」
そんなのは愛ではなく、契約。
真の愛は、あなたの今の姿を、そのまま受け入れるもの。あなたの人見知りも、不器用さも、時には頑固なところも、すべてを含めて「あなたらしさ」として愛するもの。
もちろん、完全に変わらなくていいという意味ではない。でも変化は、愛されるための手段ではなく、自分自身がより幸せになるための手段であるべき。
成長と変身の違い
「変わらなくていい」と言っても、成長を否定するわけではない。
成長は自然なもの。新しいことを学んだり、経験を積んだり、人との出会いの中で視野が広がったり。これらはすべて美しい変化。
でも「変身」は違う。今の自分を否定して、全く別の人間になろうとすること。これは成長ではなく、自己否定。
あなたが目指すべきは変身ではなく、今のあなたの良さを活かしながらの成長。
あなたらしさという宝物
あなたの内向的な性格。 あなたの繊細な感受性。 あなたの真面目さ。 あなたの優しさ。
これらはすべて、かけがえのない宝物。誰かにとっては、まさにその部分こそが愛おしいと感じる特質。
私は長い間、自分の人見知りを欠点だと思っていた。でも今は分かる。この性格があったからこそ、人の気持ちに敏感になれた。深く考える習慣が身についた。一人の時間を有効活用できるようになった。
欠点だと思っていたものが、実は魅力だったということは、よくある話。
愛される準備はもうできている
「愛されるために変わらなければ」と思うとき、実は愛される準備はもうできている。
なぜなら、愛されたいと願う気持ちそのものが、愛する能力の証拠だから。他者への関心や思いやりがなければ、愛されたいとも思わない。
あなたはすでに愛する価値も、愛される価値も持っている。今この瞬間にも。
小さな変化から始めよう
それでも、何か変わりたいと思うなら、小さなことから始めてみよう。
でもそれは「愛されるため」ではなく、「自分がより心地よく生きるため」。
例えば:
- 好きな服を着る(誰かに褒められるためではなく、自分が気分良くなるため)
- 新しい趣味を始める(モテるためではなく、純粋に楽しそうだから)
- 健康的な生活をする(美しくなるためではなく、元気でいたいから)
こうした「自分のための変化」は、結果的にあなたをより魅力的に見せる。なぜなら、自分を大切にしている人は、他者にとっても魅力的だから。
今のあなたを愛してくれる人を待とう
無理に変わろうとするよりも、今のあなたを理解し、愛してくれる人を待とう。
そんな人はいないと思うかもしれない。でも、この広い世界に、あなたと同じような価値観を持ち、あなたのような人を求めている人が一人もいないということはない。
時間はかかるかもしれない。でも、本物の愛は待つ価値がある。
あなたはそのままで十分
最後に、声を大にして言いたい。
あなたは今のままで十分愛される価値がある。
変わる必要なんてない。成長することは素晴らしいけれど、それは「愛されるため」ではなく「自分のため」であるべき。
今夜も同じ疑問を抱えているあなたへ。
あなたのそのままの姿を愛してくれる人は、きっとどこかにいる。その人との出会いを信じて、まずは自分自身を大切にしよう。
あなたは変わる必要なんてない。あなたはもう、十分素晴らしいのだから。