好きな人の前では、つい違う自分を演じてしまう。
相手が好みそうな服装を選び、相手が喜びそうな話題を用意し、相手に嫌われないように慎重に言葉を選ぶ。
でも、ふと鏡を見たとき思う。「これって、本当の私なのだろうか」と。
恋愛における自分らしさを保つということは、簡単なようでとても難しい。でも、それこそが本当に幸せな関係を築くための鍵なのかもしれない。
好かれたい気持ちと本当の自分
誰かを好きになると、相手に好かれたいと思うのは自然なこと。
でも、その気持ちが強すぎると、自分を偽ってしまうことがある。相手の好みに合わせて自分を変え、相手が望む理想の女性像を演じてしまう。
私も昔、好きな人のために自分を変えようとしたことがある。彼がアウトドア好きだと知って、虫が苦手なのに登山に興味があるふりをした。彼が読書家だと聞いて、普段読まないような本を慌てて読んだ。
でも、だんだん疲れてきた。本当の自分とのギャップに苦しくなった。そして気づいた。「もし彼が偽りの私を好きになっても、それは本当の愛ではないのではないか」と。
自分らしさって何だろう
そもそも「自分らしさ」とは何だろう。
それは頑固に自分の意見を通すことではない。相手を無視して好き勝手に振る舞うことでもない。
自分らしさとは、自分の価値観や感性、考え方の根本的な部分を大切にすること。表面的な好みや習慣は変わっても構わない。でも、心の奥深くにある「自分らしさ」は保ち続けたい。
私がコミュニケーション学を学んだ中で印象に残っているのは、「真のコミュニケーションは、自己開示から始まる」という言葉。本当の自分を相手に見せることで、初めて深いつながりが生まれる。
相手に合わせることと自分を失うことの違い
恋愛では、ある程度相手に合わせることも大切。
相手の話を聞き、相手の気持ちを理解し、時には相手のペースに合わせることも必要。これは愛情の表現でもある。
でも、それと「自分を失う」ことは全く違う。
相手に合わせるのは表面的な調整。自分を失うのは、自分の本質的な部分を否定すること。
例えば、相手が早起きだからといって朝型生活に変えるのは「合わせる」こと。でも、自分の大切にしている価値観を曲げて相手に迎合するのは「自分を失う」こと。
断る勇気も愛情のうち
自分らしさを保つためには、時には「ノー」と言う勇気も必要。
相手のすべてを受け入れる必要はない。自分にとって大切なものを犠牲にしてまで、相手に合わせる必要もない。
むしろ、適切に「ノー」と言えることは、お互いを尊重する健全な関係の証拠。境界線を引けることは、長続きする関係の基礎になる。
私も以前は、相手に嫌われるのが怖くて何でも「イエス」と言っていた。でも、それでは本当の意味でのパートナーシップは築けない。お互いの個性を尊重し合えてこそ、真の愛情が生まれる。
自分らしさは魅力になる
実は、自分らしくいることは、恋愛において大きな魅力になる。
誰かの真似をした個性よりも、その人ならではの独特な魅力の方が、深く心に残る。完璧に見える人よりも、少し不完全でも本物の人の方が、愛おしく感じられる。
自分の好きなものを素直に好きと言える人。 自分の考えを丁寧に伝えられる人。 時には弱さも見せられる正直な人。
そういう「自分らしさ」こそが、本当にあなたを愛してくれる人を引き寄せる。
成長と変化は自分らしさと矛盾しない
「自分らしさを保つ」ということは、変化を拒むことではない。
恋愛を通じて新しい自分を発見したり、相手から良い影響を受けて成長したりするのは素晴らしいこと。それも含めて「自分らしさ」。
大切なのは、その変化が自然なものか、強制的なものかということ。
相手と一緒にいることで、今まで知らなかった自分の一面に気づく。それは美しい変化。でも、相手に合わせるために自分を無理に変えようとする。それは不自然な変化。
相手にも自分らしさを認めてあげる
自分らしさを保ちたいなら、相手の自分らしさも尊重する必要がある。
相手を自分の理想の型にはめようとせず、相手のありのままを受け入れる。そうやってお互いの個性を認め合えるとき、本当に豊かな関係が生まれる。
私は以前、相手を変えようとして失敗したことがある。「もっとこうなってほしい」という期待が、結果的に相手を窮屈にしていた。本当の愛は、相手をそのまま愛すること。そして同じように、自分もそのまま愛されること。
一人の時間を大切にする
自分らしさを保つためには、一人の時間も必要。
恋愛中でも、自分だけの時間、自分だけの空間、自分だけの趣味を持ち続けることが大切。相手との時間は大切だけれど、自分との時間も同じくらい大切。
一人の時間があるからこそ、相手と一緒にいる時間がより特別になる。自分らしさを見つめ直す時間があるからこそ、相手に本当の自分を見せることができる。
本当の愛は自分らしさを輝かせる
本当にあなたを愛してくれる人なら、あなたの自分らしさを輝かせてくれる。
偽りの自分を演じる必要がない。相手に合わせて疲れ果てることもない。自然体でいられて、それでいて愛される。
そんな関係こそが、私たちが求めているもの。
だから、恋愛において自分らしさを保つことを恐れないで。それはわがままでも、頑固でもない。あなたが幸せになるための、そして相手も幸せにするための、とても大切なこと。
あなたらしさこそが、あなたの最大の魅力。それを信じて、大切にして、そして誇りに思って。
きっと、本当のあなたを愛してくれる人との出会いが待っている。