電車の中で疲れ切った顔をしたOLさんを見かける。スマホを見つめながら、きっと誰かに「お疲れさま」って言ってもらいたいんだろうな、と思う。
私も同じ。
家に帰っても一人。誰も「今日はどうだった?」と聞いてくれる人はいない。体調を崩しても、一人で病院に行って、一人で薬を買って、一人で治す。
本当は誰かに甘えたい。誰かに頼りたい。誰かに「大丈夫だよ」と言ってもらいたい。
でも、その気持ちをぐっと飲み込んで、今日も「大丈夫です」と笑顔で答える。
甘えることへの罪悪感
いつからだろう、甘えることが悪いことのように感じるようになったのは。
「自立した女性でいなければ」 「人に迷惑をかけてはいけない」 「大人なんだから一人でできるはず」
そんな声が頭の中でぐるぐると回って、甘えたい気持ちを押し殺してしまう。
でも本当は、甘えることは人間として自然な感情。赤ちゃんが泣くのと同じように、大人だって時には誰かに頼りたくなる。それを恥じる必要なんてない。
私も大学時代、一人暮らしを始めたばかりの頃は、実家に電話をかけては母の声を聞いて安心していた。でも周りの友達が「もう親に頼らない」と言っているのを聞いて、だんだん電話をかけることが恥ずかしくなった。
今思えば、あの時の私は素直だった。甘えたい気持ちを素直に表現していた。
強がることで失うもの
強がって生きることで、確かに得るものもある。
自信、独立心、問題解決能力。これらはすべて大切なもの。でも、強がることで失うものもある。
人とのつながり。 誰かに愛される機会。 助け合いの温かさ。 そして何より、ありのままの自分でいる自由。
私は長い間、「完璧な自分」を演じ続けてきた。弱さを見せず、困っていることを隠し、いつも笑顔で「大丈夫」と言い続けた。
でもそうやって強がっているうちに、本当に困ったときに誰に頼ればいいのかわからなくなった。助けを求める方法を忘れてしまった。
甘えられない人は、愛されにくい
残酷だけれど、これは事実だと思う。
人は、自分を必要としてくれる人を愛する。頼られることで、自分の価値を感じる。甘えてくれる人に対して、守ってあげたいという気持ちが生まれる。
いつも完璧で、何でも一人でできる人は、確かに尊敬される。でも、愛されるかどうかは別問題。
恋愛関係でも、少し頼りない部分がある人の方が、相手の保護欲をくすぐって愛されることが多い。完璧すぎる人は、近寄りがたい印象を与えてしまう。
甘え上手は愛され上手
上手に甘える人を観察してみると、彼女たちにはいくつかの共通点がある。
感謝を素直に表現する。 相手の気持ちを考えて甘える。 甘えっぱなしではなく、自分なりに努力もする。 甘えるタイミングを見極めている。
つまり、甘えることと、わがままになることは違う。上手な甘え方は、相手との関係をより深くする。
小さな甘えから始めてみる
いきなり大きな甘えを表現するのは難しい。まずは小さなところから始めてみよう。
友達に「疲れた」と愚痴を言ってみる。 体調が悪いときに「しんどい」と素直に伝える。 重い荷物を持っているときに「手伝って」と頼んでみる。 道に迷ったときに「一緒に探して」と言ってみる。
これらは決して大げさな甘えではない。でも、こんな小さなことから始めることで、少しずつ甘えることに慣れていく。
私も最初は恥ずかしかった。でも、意外にも周りの人は快く助けてくれた。そして、助けてもらった後の「ありがとう」という言葉で、相手も嬉しそうにしてくれた。
甘えられる相手を見極める
ただし、誰にでも甘えればいいわけではない。
甘えを受け入れてくれる人、あなたの弱さを大切にしてくれる人を見極めることが大切。
あなたが困っているときに「大丈夫?」と心配してくれる人。 あなたの愚痴を最後まで聞いてくれる人。 あなたが甘えても嫌な顔をしない人。
そんな人が、あなたにとって本当に大切な人。その人たちには、もう少し甘えてもいいのかもしれない。
甘えることで生まれる絆
甘えることは、一方的な行為ではない。
あなたが甘えることで、相手は「必要とされている」という喜びを感じる。そしてあなたは、「受け入れられている」という安心感を得る。
この相互作用が、深い絆を生む。
私も昔は「人に迷惑をかけたくない」と思っていた。でも今は少し考えが変わった。適度に甘えることで、かえって相手との関係が深くなることを知った。
甘えたい気持ちを大切にしよう
甘えたい気持ちは、決して恥ずかしいものではない。
それは、あなたが人間らしい感情を持っている証拠。あなたが誰かとつながりたいと願っている証拠。
その気持ちを抑え込む必要はない。むしろ、その気持ちを大切にして、上手に表現する方法を学んでいこう。
今日から少しずつ
今日帰る道で、もし疲れを感じたら、誰かに「疲れた」と言ってみよう。 今度友達に会ったとき、何か困っていることがあったら、素直に相談してみよう。 体調が悪いときは、無理をせずに「しんどい」と伝えてみよう。
小さな一歩だけれど、それがあなたの人生を少しずつ変えていく。
甘えたい気持ちを抑え込んでばかりいると、心が硬くなってしまう。でも、適度に甘えることで、心は柔らかく、温かく保たれる。
あなたの素直な気持ちを、もう少し大切にしてあげよう。きっと、その素直さに心を動かされる人がいる。