誰かに甘えたい気持ちを抑え込む日々

誰かに甘えたい気持ちを抑え込む日々

誰かに甘えたい気持ちがあるのに、それを表現できずに一人で抱え込んでしまう心理について

読了時間: 5分

電車の中で疲れ切った顔をしたOLさんを見かける。スマホを見つめながら、きっと誰かに「お疲れさま」って言ってもらいたいんだろうな、と思う。

私も同じ。

家に帰っても一人。誰も「今日はどうだった?」と聞いてくれる人はいない。体調を崩しても、一人で病院に行って、一人で薬を買って、一人で治す。

本当は誰かに甘えたい。誰かに頼りたい。誰かに「大丈夫だよ」と言ってもらいたい。

でも、その気持ちをぐっと飲み込んで、今日も「大丈夫です」と笑顔で答える。

甘えることへの罪悪感

いつからだろう、甘えることが悪いことのように感じるようになったのは。

「自立した女性でいなければ」 「人に迷惑をかけてはいけない」 「大人なんだから一人でできるはず」

そんな声が頭の中でぐるぐると回って、甘えたい気持ちを押し殺してしまう。

でも本当は、甘えることは人間として自然な感情。赤ちゃんが泣くのと同じように、大人だって時には誰かに頼りたくなる。それを恥じる必要なんてない。

私も大学時代、一人暮らしを始めたばかりの頃は、実家に電話をかけては母の声を聞いて安心していた。でも周りの友達が「もう親に頼らない」と言っているのを聞いて、だんだん電話をかけることが恥ずかしくなった。

今思えば、あの時の私は素直だった。甘えたい気持ちを素直に表現していた。

強がることで失うもの

強がって生きることで、確かに得るものもある。

自信、独立心、問題解決能力。これらはすべて大切なもの。でも、強がることで失うものもある。

人とのつながり。 誰かに愛される機会。 助け合いの温かさ。 そして何より、ありのままの自分でいる自由。

私は長い間、「完璧な自分」を演じ続けてきた。弱さを見せず、困っていることを隠し、いつも笑顔で「大丈夫」と言い続けた。

でもそうやって強がっているうちに、本当に困ったときに誰に頼ればいいのかわからなくなった。助けを求める方法を忘れてしまった。

甘えられない人は、愛されにくい

残酷だけれど、これは事実だと思う。

人は、自分を必要としてくれる人を愛する。頼られることで、自分の価値を感じる。甘えてくれる人に対して、守ってあげたいという気持ちが生まれる。

いつも完璧で、何でも一人でできる人は、確かに尊敬される。でも、愛されるかどうかは別問題。

恋愛関係でも、少し頼りない部分がある人の方が、相手の保護欲をくすぐって愛されることが多い。完璧すぎる人は、近寄りがたい印象を与えてしまう。

甘え上手は愛され上手

上手に甘える人を観察してみると、彼女たちにはいくつかの共通点がある。

感謝を素直に表現する。 相手の気持ちを考えて甘える。 甘えっぱなしではなく、自分なりに努力もする。 甘えるタイミングを見極めている。

つまり、甘えることと、わがままになることは違う。上手な甘え方は、相手との関係をより深くする。

小さな甘えから始めてみる

いきなり大きな甘えを表現するのは難しい。まずは小さなところから始めてみよう。

友達に「疲れた」と愚痴を言ってみる。 体調が悪いときに「しんどい」と素直に伝える。 重い荷物を持っているときに「手伝って」と頼んでみる。 道に迷ったときに「一緒に探して」と言ってみる。

これらは決して大げさな甘えではない。でも、こんな小さなことから始めることで、少しずつ甘えることに慣れていく。

私も最初は恥ずかしかった。でも、意外にも周りの人は快く助けてくれた。そして、助けてもらった後の「ありがとう」という言葉で、相手も嬉しそうにしてくれた。

甘えられる相手を見極める

ただし、誰にでも甘えればいいわけではない。

甘えを受け入れてくれる人、あなたの弱さを大切にしてくれる人を見極めることが大切。

あなたが困っているときに「大丈夫?」と心配してくれる人。 あなたの愚痴を最後まで聞いてくれる人。 あなたが甘えても嫌な顔をしない人。

そんな人が、あなたにとって本当に大切な人。その人たちには、もう少し甘えてもいいのかもしれない。

甘えることで生まれる絆

甘えることは、一方的な行為ではない。

あなたが甘えることで、相手は「必要とされている」という喜びを感じる。そしてあなたは、「受け入れられている」という安心感を得る。

この相互作用が、深い絆を生む。

私も昔は「人に迷惑をかけたくない」と思っていた。でも今は少し考えが変わった。適度に甘えることで、かえって相手との関係が深くなることを知った。

甘えたい気持ちを大切にしよう

甘えたい気持ちは、決して恥ずかしいものではない。

それは、あなたが人間らしい感情を持っている証拠。あなたが誰かとつながりたいと願っている証拠。

その気持ちを抑え込む必要はない。むしろ、その気持ちを大切にして、上手に表現する方法を学んでいこう。

今日から少しずつ

今日帰る道で、もし疲れを感じたら、誰かに「疲れた」と言ってみよう。 今度友達に会ったとき、何か困っていることがあったら、素直に相談してみよう。 体調が悪いときは、無理をせずに「しんどい」と伝えてみよう。

小さな一歩だけれど、それがあなたの人生を少しずつ変えていく。

甘えたい気持ちを抑え込んでばかりいると、心が硬くなってしまう。でも、適度に甘えることで、心は柔らかく、温かく保たれる。

あなたの素直な気持ちを、もう少し大切にしてあげよう。きっと、その素直さに心を動かされる人がいる。