鏡を見るたび思う。この3年間で、私は何か大切なものを失ってしまったのだろうか。
恋愛ドラマを見ても、昔のようにときめかない。好きな俳優を見ても、心が動かない。友達の恋愛話を聞いても、まるで別世界の出来事のように感じる。
もしかして、私の心は壊れてしまったのだろうか。
感情が凍りついた日々
家から出なくなって3年。最初は一時的なつもりだった。
仕事で疲れ果てて、人間関係に疲れて、社会に疲れて。「少し休めば大丈夫」そう思っていた。
でも気づいたら、外の世界がどんどん遠くなっていた。友達との連絡も途絶え、恋愛なんて考える余裕もなくなった。
そして今、画面越しに見る恋愛シーンも、まるで違う生き物を観察しているような感覚。「ときめく」って何だったか、思い出せない。
心の自己防衛システム
でも、これは決して異常なことではない。
長期間、人との深い関わりから離れていると、心は自分を守るために感情を「休眠状態」にする。傷つくリスクを避けるために、感じることを控えめにする。
私も大学時代、一時期人との関わりを避けていた時期があった。その時も同じような感覚を味わった。まるで心に厚いガラスが一枚挟まったような、すべてが遠く感じられる感覚。
でも後になって気づいた。感情は消えたわけではなく、ただ深いところに眠っているだけだった。
恋愛感情は「筋肉」に似ている
恋愛感情は筋肉に似ている。
使わないでいると衰える。でも、完全に消えてしまうわけではない。少しずつでも動かしていけば、必ず戻ってくる。
最初はぎこちないかもしれない。昔のようにはいかないかもしれない。でも時間をかけて慣らしていけば、きっと以前の柔軟さを取り戻せる。
小さな感情から始めよう
いきなり恋愛感情を取り戻そうとしなくても大丈夫。
まずは小さな感情から。
好きだった音楽を聞いて、少しでも心が動いたら、それで十分。 美味しいものを食べて、「美味しい」と感じられたら、それで十分。 きれいな空を見て、「きれいだな」と思えたら、それで十分。
感情は連鎖する。小さな感動が、少しずつ心の扉を開いていく。
あなたは変わっていない
3年間という時間は確かに長い。でも、あなたの本質は変わっていない。
優しい心も、繊細な感性も、人を愛する能力も、すべてそのまま残っている。ただ、今は休んでいるだけ。
私たちは、辛い経験をすると「自分は壊れた」「もう元には戻れない」と思ってしまう。でも実際は、壊れたのではなく、傷を癒すために一時的に機能を停止させているだけ。
恋愛だけが愛ではない
そして、恋愛感情が今すぐ戻らなくても、それで人生が無意味になるわけではない。
家族への愛、友人への愛、ペットへの愛、趣味への愛。愛にはたくさんの形がある。
もしかしたら今のあなたは、違う形の愛を育む時期なのかもしれない。自分自身への愛とか、創作への愛とか、静けさへの愛とか。
時間は味方
焦る必要はない。
心の回復には、人それぞれのペースがある。1年で戻る人もいれば、5年かかる人もいる。どちらも正常。
大切なのは、自分を責めないこと。「早く治さなきゃ」と焦らないこと。
今のあなたのままでも、十分価値がある。恋愛感情が戻っても戻らなくても、あなたはあなた。
外の世界への小さな扉
もし少しでも外の世界に興味が湧いたら、本当に小さなことから始めてみよう。
窓を開けて外の空気を吸うだけでも。 コンビニまで散歩するだけでも。 オンラインで誰かとちょっと話すだけでも。
人との関わりが戻れば、感情も少しずつ戻ってくる。無理はしないで、自分のペースで。
あなたは一人じゃない
同じような経験をしている人は、思っているより多い。
現代社会では、心を休めるために一時的に世界から距離を置く人が増えている。それは決して珍しいことではないし、恥ずかしいことでもない。
そして、そこから回復して、再び人を愛する力を取り戻した人もたくさんいる。
希望を持って
恋愛感情を忘れてしまったと思っても、それは一時的なもの。
心の奥深くに、あなたの愛する力は静かに眠っている。いつか必ず目覚める時が来る。
その時まで、自分を大切にしよう。自分のペースを守ろう。そして、小さな変化を見逃さないように、優しく自分を見守ろう。
あなたの心は壊れていない。ただ休んでいるだけ。
そして休んでいる間も、あなたは愛される価値のある、大切な存在。
今日も、そんな自分を抱きしめて、一歩ずつ前に進んでいこう。