SNSを開くたび、友達の近況が目に飛び込んでくる。
結婚報告、昇進のお知らせ、新しい趣味への挑戦、素敵な旅行の写真。みんなキラキラしていて、前に進んでいて、成長している。
一方で自分は、今日も昨日と同じ生活を繰り返している。朝起きて、仕事に行って、家に帰って。週末は一人で過ごして、また月曜日がやってくる。
まるで自分だけ時間が止まっているような、そんな感覚に襲われる。
みんなは前に進んでいるのに
大学を卒業してから何年も経つのに、自分は何も変わっていない気がする。
同級生たちは次々と人生の節目を迎えている。結婚して、子供を産んで、家を買って、キャリアを築いて。一方で私は、まだ同じアパートに住み、同じ職場で、同じような日々を過ごしている。
「みんなはちゃんと大人になっているのに、私だけが取り残されている」
そんな気持ちが日に日に強くなる。
時には、自分が生きているのか、ただ存在しているだけなのか、わからなくなることもある。
変化への憧れと恐れ
変わりたい。もっと積極的に生きたい。新しいことに挑戦したい。
そう思う気持ちはある。でも同時に、変化することへの恐れもある。
今の生活は確かに刺激的ではないけれど、安全で予測可能。変化は未知のリスクを伴う。失敗したら、今よりももっと悪い状況になるかもしれない。
私が大学でコミュニケーション学を学んでいたとき、「現状維持バイアス」という概念を知った。人は変化よりも現状を維持することを好む傾向があるというもの。
頭ではわかっている。でも、心がついていかない。
時間の流れ方の違い
実は、時間の流れ方は人それぞれ違う。
表面的には変化していないように見えても、内面では確実に成長していることがある。本を読んで考えを深めたり、一人の時間で自分と向き合ったり、仕事を通じてスキルを磨いたり。
それらは目に見えにくい変化だけれど、決して価値の低いものではない。
私も長い間、自分は何も成長していないと思っていた。でも振り返ってみると、数年前の自分と今の自分では、明らかに考え方や価値観が変わっている。それに気づけたのは、一人でいる時間があったからこそ。
他人と比較することの虚しさ
SNSで見る他人の人生は、ほんの一部分でしかない。
キラキラした瞬間だけが切り取られて投稿される。その裏にある悩みや不安、日常の退屈さは見えない。
結婚した友人も、昇進した同僚も、きっと彼らなりの悩みや不安を抱えている。ただそれは表に出さないだけ。
比較することに意味はない。なぜなら、歩んでいる道も、目指すゴールも、それぞれ違うから。
停滞期の意味
人生には必ず停滞期がある。それは決して無駄な時間ではない。
植物も、地面の下で根を張る時期がある。表面的には何も変化していないように見えるけれど、実は次の成長に向けて力を蓄えている。
私たちの人生も同じ。今は表面的な変化が少ない時期かもしれないけれど、内面では確実に何かが育っている。
この時期があったからこそ、次のステップでより大きく飛躍できるのかもしれない。
小さな変化を見つける
大きな変化ばかりに目を向けていると、小さな成長を見逃してしまう。
新しい本を読んだこと。 いつもと違う道を歩いたこと。 苦手だった人と少し話せたこと。 一人でカフェに入れたこと。
これらも立派な変化。小さくても、確実にあなたの人生を豊かにしている。
自分のペースを大切に
他人のペースに合わせる必要はない。
早く結婚する人もいれば、晩婚の人もいる。若くして成功する人もいれば、大器晩成の人もいる。どれも正しい人生の歩み方。
あなたにはあなたのペースがある。それを尊重しよう。
急ぐ必要はない。焦る必要もない。今のあなたの時間の流れ方が、あなたにとっての正しいペース。
今この瞬間を生きる
時間が止まっているような感覚は、実は「今を生きている」証拠でもある。
過去に囚われず、未来を急がず、今この瞬間に意識を向けている。それは決して悪いことではない。
今日の小さな幸せを見つけよう。美味しいコーヒー、暖かい日差し、好きな音楽、ふわふわの猫。そういう瞬間を大切にすることで、時間は再び動き出す。
あなたの時間は確実に流れている
時間が止まっているように感じても、あなたの時間は確実に流れている。
心臓は鼓動し、髪は伸び、季節は移り変わる。そしてあなたも、気づかないうちに少しずつ変化している。
その変化に気づくには時間がかかるかもしれない。でも確実に、あなたは昨日の自分とは違う人になっている。
明日のあなたは、今日のあなたよりもほんの少しだけ成長している。それで十分。
自分だけ時間が止まっているような感覚に悩むあなたへ。
あなたの時間は、あなたのもの。誰と比較する必要もない。今のペースで、今の自分らしく、ゆっくりと歩んでいこう。