恋愛で相手を変えようとしてしまう愚かさ

恋愛で相手を変えようとしてしまう愚かさ

恋愛関係で相手を変えようとしてしまう心理と、その問題について考える

読了時間: 5分

「もう少し連絡をマメにしてくれたら完璧なのに」 「もう少し積極的になってくれたら」 「もう少しロマンチックだったら」

恋愛をしていると、ついつい相手に対してこんな風に思ってしまうことがある。

8割は好き。でも残りの2割を変えてもらえたら、もっと好きになれるのに。

そんな気持ちになったこと、ありませんか?

私もそうだった

正直に言うと、私もずっとそうだった。

大学でコミュニケーション学を学んでいたこともあって、「人は変われるもの」「適切なコミュニケーションがあれば理解し合える」と信じていた。

だから恋愛でも、相手の「気になる部分」について話し合えば、きっと改善してもらえると思っていた。

「私はもっと言葉で愛情を表現してもらいたい」 「もう少し計画的に行動してもらいたい」 「もう少し私の話を聞いてもらいたい」

そんな要望を、愛情という名のもとに相手に伝え続けた。

変わってもらおうとする心理

なぜ私たちは、相手を変えようとしてしまうのだろう。

一つには、「この人ともっと幸せになりたい」という純粋な気持ちがある。相手のことが好きだからこそ、もっと良い関係を築きたいと思う。

でも、その根底には「理想の恋人像」があることも事実。映画や小説、友達の恋愛話から作り上げた「こうあるべき」という基準がある。

そして無意識のうちに、目の前の相手をその理想に当てはめようとしてしまう。

変えられない現実

でも現実は残酷だった。

どんなに話し合っても、相手の本質的な部分は変わらない。一時的に変わったように見えても、結局は元に戻ってしまう。

それどころか、変わってもらおうとすればするほど、相手は疲れてしまう。「ありのままの自分では愛されていない」と感じてしまう。

そして関係はどんどんギクシャクしていく。

愛とコントロールの境界線

「相手を変えようとすること」と「愛すること」は、実は正反対かもしれない。

愛するということは、相手をありのまま受け入れること。 コントロールするということは、相手を自分の思い通りにしようとすること。

私は長い間、この二つを混同していた。「愛しているから変わってほしい」と思っていたけれど、それは愛ではなくコントロールだった。

相手の立場になって考えてみる

もし誰かに「ここを変えてほしい」と言われ続けたら、どう感じるだろう。

最初は「愛されているから」と嬉しく思うかもしれない。でも段々と、「今の自分では不十分なんだ」と感じるようになる。

そして、自分らしさを失っていく。相手に合わせることばかり考えて、本当の自分が分からなくなってしまう。

私が学んだこと

ある時、大切な人に言われた言葉がある。

「君が僕を変えようとするとき、僕は君から逃げたくなる。でも君が僕をそのまま受け入れてくれるとき、僕は自然と君に近づきたくなる」

その言葉で、ハッと気づいた。

相手を変えようとすることは、相手を遠ざけることだった。受け入れることこそが、相手を近づけることだった。

変わるのは自分

相手を変えることはできない。でも、自分の見方を変えることはできる。

相手の「短所」だと思っていたことが、実は長所だったりする。 相手の「足りない部分」が、実は自分にはない魅力だったりする。

私が「計画性がない」と思っていた彼の自由さは、実は私にはない素晴らしい才能だった。 私が「言葉足らず」だと思っていた彼の控えめさは、実は私にはない上品さだった。

完璧な人なんていない

そもそも、完璧な恋人なんて存在しない。

誰にでも長所があり、短所がある。素敵な部分があり、ちょっと困った部分もある。

それが人間らしさであり、魅力でもある。

完璧な人と付き合ったら、きっとつまらないと思う。予想外の反応や、ちょっとした失敗があるからこそ、人間関係は面白い。

受け入れることの美しさ

相手をありのまま受け入れるということは、諦めることではない。

むしろ、その人の全てを愛するということ。長所も短所も含めて、「この人が好き」と言えること。

そうやって受け入れられた相手は、安心感を得る。そして安心感の中で、自然と成長していく。

変えようとしたときには変わらなかった相手が、受け入れたときに自然と変化する。それが人間の不思議なところ。

もし相手が変わったら

でも、考えてみてほしい。

もし相手があなたの要望通りに変わったとしたら、それはもう「その人」ではなくなってしまうかもしれない。

あなたが最初に惹かれた、その人らしさが失われてしまうかもしれない。

自分が変わることの方が早い

相手を変えようとするよりも、自分の受け取り方を変える方がずっと早い。

相手の行動の意味を理解しようとしてみる。 相手の立場に立って考えてみる。 相手の良い部分に注目してみる。

そうすることで、同じ相手でも全く違って見えることがある。

愛は受容から始まる

本当の愛は、相手を変えることから始まるのではない。相手を受け入れることから始まる。

そして、受け入れられた相手は、愛される喜びの中で自然と輝いていく。

私たちにできることは、相手を変えることではなく、相手が自分らしくいられる環境を作ること。

今日から始められること

もし今、相手を変えようとしている自分に気づいたら、少し立ち止まってみて。

「この人のどこが好きで付き合い始めたんだっけ?」 「この人らしさって、どんなところなんだろう?」 「私が変えたいと思っている部分も、実は魅力の一部かもしれない」

そんな風に考え直してみると、きっと新しい発見がある。

相手を変えようとするエネルギーを、相手を理解しようとするエネルギーに変えてみる。

きっと、今よりもっと深い愛を感じられるはず。

愛とは、相手を自分色に染めることではなく、相手の色彩をそのまま美しいと感じることなのかもしれない。