友達に相談すると、必ずと言っていいほど言われる言葉がある。
「待ってるだけじゃダメだよ。自分から行動しなきゃ」
その度に、胸がチクッと痛む。分かってる。でも、どうしても一歩が踏み出せない。
本当に待っているだけではダメなのだろうか。
「待つ」ことへの罪悪感
現代社会では、積極性が美徳とされる。
「自分から動く人が成功する」「チャンスは自分で掴むもの」「受け身では何も始まらない」
こんな言葉を聞くたび、きっかけを待っている自分が情けなく感じてしまう。まるで何もしていない怠け者のように。
でも本当にそうだろうか。待つことは、何もしていないことと同じなのだろうか。
私は大学でコミュニケーション学を学んでいたけれど、興味深いことに気づいた。人間関係の構築には、実は「待つ」という時間がとても重要な役割を果たしている。
待つことの価値を見つめ直す
待っている間、私たちは何もしていないわけではない。
相手のことを観察している。どんな人なのか、どんなことに興味があるのか、どんな価値観を持っているのか。
自分の気持ちと向き合っている。本当にその人が好きなのか、ただの憧れなのか、寂しさを埋めたいだけなのか。
そして、より良いタイミングを見極めている。相手の状況、自分の状況、周りの環境。すべてが整うのを待っている。
これらは決して無駄な時間ではない。むしろ、深くて意味のある関係を築くために必要な準備期間かもしれない。
急がされる現代の恋愛観
でも今の時代は、何でもスピードが求められる。
マッチングアプリで即座に出会い、すぐにデートして、早く関係を決めることが良いとされている。
そんな中で、ゆっくりと相手を知りたい、じっくりと気持ちを育てたいと思う私たちは、取り残されたような気持ちになってしまう。
でも、恋愛に正しいスピードなんてない。あなたのペースで進むことが、一番自然で健康的。
私も長い間待っていた
実を言うと、私も長い間きっかけを待つ人だった。
学生時代、気になる人がいても、相手から話しかけてくれるのを待っていた。職場でも、自然な流れで関係が発展することを期待していた。
周りからは「もっと積極的になれば」と言われ続けた。でも、どうしても自分から行動することができなかった。
それは臆病だったからではない。相手のペースを尊重したかったから。自然な流れを大切にしたかったから。そして何より、押し付けがましくなりたくなかったから。
自然なきっかけの美しさ
自然に生まれるきっかけには、特別な美しさがある。
偶然の出会い、何気ない会話から始まる関係、気づいたら惹かれ合っていた感情。これらには、計算では生み出せない奇跡のような瞬間がある。
無理に作ったきっかけよりも、自然に生まれたきっかけの方が、その後の関係も自然で長続きすることが多い。
急いで関係を始めるよりも、ゆっくりと育まれた関係の方が、深くて安定している。
小さなきっかけを大切にする
でも、「待つ」ことと「何もしない」ことは違う。
完全に受け身でいる必要はない。でも、無理に大きなアクションを起こす必要もない。
相手と目が合ったときに微笑む。 話しかけられたときに、心を込めて返事をする。 共通の話題が出たときに、少し興味を示す。 困っているときに、さりげなく手助けをする。
こうした小さな行動も、立派な「きっかけ作り」。無理をしない範囲で、自分らしく相手に関心を示すことは大切。
あなたのペースを大切に
恋愛に「正しいやり方」なんてない。
積極的な人には積極的な恋愛が似合うし、控えめな人には控えめな恋愛が似合う。
大切なのは、自分らしい方法で人とつながること。無理をして別人になる必要はない。
あなたが待つタイプなら、それはあなたの個性。そのペースを理解して、一緒に歩んでくれる人がきっといる。
きっかけは突然やってくる
恋愛のきっかけは、予想していないときに突然やってくることが多い。
長い間待っていた後に、ふとした瞬間に現れる。それまでの待つ時間があったからこそ、そのきっかけに気づくことができる。
準備ができていない状態で無理に動くよりも、心の準備ができた状態で自然なきっかけを迎える方が、ずっと美しい。
待つことも愛の形
最後に、伝えたいことがある。
待つことも、愛の一つの形だということ。
相手の気持ちを尊重し、相手のペースに合わせようとする優しさ。自分の気持ちを大切にしながら、相手も大切にしようとする思いやり。
これらは決して消極的な態度ではない。とても積極的な愛の表現。
だから、きっかけを待っている自分を責める必要はない。あなたはあなたなりの方法で、恋愛と向き合っている。
今日も、自分らしいペースで歩んでいこう。きっといつか、素晴らしいきっかけがやってくる。