カップルだらけの街を一人で歩く気持ち

カップルだらけの街を一人で歩く気持ち

クリスマスやバレンタインなど、カップルが目立つ街を一人で歩くときの複雑な気持ちについて

読了時間: 5分

12月のイルミネーションが美しい夜。街はカップルだらけで、手をつないで歩く恋人たちの姿がそこかしこに見える。

私は一人で、同じ道を歩いている。

別に恋人が欲しくないわけじゃない。でも今はいない。そして、この瞬間の自分の気持ちをどう整理していいのかわからない。

見えてしまう幸せな風景

カップルたちは本当に幸せそうに見える。

手をつないで歩く姿。お互いを見つめ合って笑っている姿。男性が女性のコートを着せてあげる優しい仕草。女性が男性の腕に寄り添って歩く姿。

そんな光景を目にするたび、胸の奥がキュッと締め付けられる。

「私にもあんな時期があったらいいのに」 「私も誰かとあんな風に歩いてみたい」

そんな気持ちがふわふわと浮かんでは、また心の奥に沈んでいく。

自分だけが取り残された感覚

大学でコミュニケーション学を学んでいたとき、「社会的排除」について研究したことがある。人は他者とのつながりを求める生き物で、そのつながりを感じられないとき、強い孤独感を覚える。

まさに今の私がそれかもしれない。

周りのカップルたちは私には見えていないかのように、自分たちの世界に没頭している。私はまるで透明人間になったような、世界から取り残されたような感覚に陥る。

でも同時に、こんな風に感じてしまう自分が情けなくもある。

比較してしまう心

人は無意識のうちに、自分と他者を比較してしまう生き物だ。

特に、自分にないものを持っている人を見ると、その差がより鮮明に感じられる。

カップルたちの手をつないだ指を見て、自分の空いている手を意識する。 お互いを見つめ合う視線を見て、自分が見つめる相手がいないことを思い知る。 楽しそうな会話を聞いて、自分の沈黙を感じる。

「比較なんてしなければいい」

頭ではそう思う。でも心は、どうしても比べてしまう。

一人でいることの罪悪感

なぜだろう、一人でいることに罪悪感を覚えてしまうことがある。

まるで一人でいることが、何か間違ったことであるかのように。恋人がいないことが、自分の価値を下げるもののように。

でも本当は、一人でいることは罪ではない。恋人がいないことも、人間としての価値と関係ない。

それでも、カップルだらけの街を歩いていると、そんな当たり前のことを忘れてしまう。

見えない部分への想像

でも、ふと気づくことがある。

私に見えているのは、カップルたちの表面的な幸せだけかもしれない。

手をつないで歩いているカップルも、家に帰ればケンカをしているかもしれない。 仲良く話しているように見える二人も、実は心の奥では満たされていないかもしれない。 楽しそうに見える関係も、実はどちらかが無理をしているかもしれない。

恋愛は、外から見えるほど単純ではない。美しい瞬間もあれば、苦しい時間もある。

一人の時間の豊かさ

一人で街を歩いていると、カップルには見えない景色が見える。

ショーウィンドウの美しいディスプレイを、誰にも邪魔されずじっくりと眺められる。 気になったカフェに、気兼ねなく入ることができる。 自分のペースで歩き、自分の好きな道を選べる。

誰かといるときには気づかない、小さな発見や感動がある。

私が一人で歩いているとき、実は心は自由だ。誰かに合わせる必要もないし、誰かの機嫌を気にする必要もない。

孤独と独りの違い

「孤独」と「独り」は違う。

孤独は、つながりを求めているのに得られない状態。 独りは、自分と向き合っている状態。

同じ一人でいることでも、その心の在り方で感じ方は全く変わる。

カップルだらけの街を歩くとき、私は孤独を感じることもあるけれど、独りの時間を楽しむこともできる。

その切り替えは、少しの意識の変化でできる。

今この瞬間を大切にする

カップルたちの幸せそうな姿を見て、羨ましく思うのは自然なこと。

でも、その気持ちに支配される必要はない。

今の私には、今の私にしかできないことがある。今の私にしか見えない景色がある。

一人で街を歩く時間も、私の大切な人生の一部。この時間があるからこそ、いつか誰かと歩くときの喜びも、より深く感じられるかもしれない。

あなたは一人じゃない

カップルだらけの街で一人でいると、世界で自分だけが一人のような気持ちになることがある。

でも実際には、同じように一人で歩いている人は、たくさんいる。

あなたと同じような気持ちで、同じような道を歩いている人が、きっとどこかにいる。

その人たちと直接出会うことはないかもしれないけれど、同じ気持ちを共有している。そう思うだけで、少し心が軽くなる。

明日もまた歩こう

今日、カップルだらけの街を一人で歩いた。

時には切ない気持ちになったけれど、それも含めて今日という日。

明日もまた街を歩こう。一人かもしれないし、もしかしたら誰かと一緒かもしれない。

どちらでも大丈夫。私は私らしく、自分のペースで歩んでいこう。

街の景色は毎日少しずつ変わっている。私の心も、毎日少しずつ成長している。

そう信じて、今夜もそっと眠りにつこう。