変わりたいけれど、変われない自分

変わりたいけれど、変われない自分

変わりたいという強い願いがありながら、なかなか変われない自分への葛藤と向き合う

読了時間: 5分

また今日も、同じ自分でいる。

昨夜ベッドの中で決意したのに。今度こそは積極的になろう、明るくなろう、人見知りをやめよう、もっと魅力的になろうと。

でも朝が来て、いつものように起きて、いつものように準備をして、いつものように一日を過ごす。結局、何も変わっていない自分がそこにいる。

どうして変わりたいのに、変われないのだろう。

変わりたい理由、変われない理由

変わりたいと思う理由は明確だ。

今の自分では、欲しいものが手に入らない。欲しい関係が築けない。なりたい自分になれない。

周りを見れば、みんな私よりも上手に人生を歩んでいるように見える。もっと社交的で、もっと自信があって、もっと愛されているように見える。

私だって、そうなりたい。でも一歩踏み出そうとすると、心の奥で声がする。

「どうせ無理」 「失敗したら恥ずかしい」 「今の自分を変える必要なんてない」

その声に負けて、結局いつもの安全な場所に戻ってしまう。

大学時代の気づき

私がコミュニケーション学を学んでいた大学時代、皮肉なことに気づいた。

人間の行動変化について理論的には完璧に理解できる。行動変容のメカニズム、習慣形成のプロセス、モチベーションの維持方法。テストでは満点を取れる。

でも、その知識を自分に適用することはできなかった。

頭では分かっているのに、心がついてこない。理論では簡単なのに、実践は難しい。この矛盾に、長い間苦しんだ。

そして気づいたのは、変われない自分を責める必要はないということ。変わりたいと思うこと自体が、すでに変化の始まりだということ。

変わりたい自分と変わりたくない自分

実は私たちの心の中には、二つの自分がいる。

変わりたい自分と、変わりたくない自分。

変わりたい自分は言う。「もっと積極的になって、素敵な人生を送りたい」

変わりたくない自分は言う。「今の生活も悪くない。変化はリスクを伴う。今のままが安全」

どちらも本当の自分。どちらも大切な自分の一部。

この二つの声が葛藤している間は、大きな変化は起こりにくい。でも、この葛藤こそが人間らしさでもある。

小さな変化の積み重ね

劇的な変化を求めすぎていないだろうか。

映画のように、ある日突然別人のように変わってしまう。そんな変化を期待していないだろうか。

でも現実の変化は、もっと地味で、もっと時間がかかるもの。

今日いつもより五分早く起きる。 いつもと違う道を歩いてみる。 普段話さない人に「おはようございます」と言ってみる。 一冊の本を読んでみる。

そんな小さな変化の積み重ねが、いつか大きな変化につながる。

私も最初は、そんな小さな変化では意味がないと思っていた。でも続けているうちに、少しずつ自分の中で何かが動き始めるのを感じた。

変われない自分も受け入れる

変われない日があってもいい。

今日変われなかったからといって、明日も変われないわけではない。今週変われなかったからといって、来月も変われないわけではない。

変わりたいという気持ちがある限り、あなたはもう変化の途中にいる。

そして時には、変わらないことも大切。あなたの核となる部分、あなたらしさの源泉は、変える必要がないかもしれない。

他人のペースと比べない

SNSを見ていると、みんなどんどん変化しているように見える。新しいことに挑戦し、新しい自分を発見し、新しい関係を築いている。

でも、それはその人のペース。あなたにはあなたのペースがある。

ゆっくりと、時間をかけて変化していく人もいる。一歩進んで、二歩下がって、また三歩進む人もいる。それもまた、立派な変化の形。

変わりたいという気持ちを大切に

変わりたいという気持ちそのものが、とても尊いもの。

現状に満足せず、より良い自分になりたいと願う心。それは向上心の表れであり、自分への愛情の表れでもある。

その気持ちを持ち続けていれば、きっといつか変化のタイミングが来る。準備ができたとき、勇気が湧いたとき、必要に迫られたとき。

変化は突然やってくる

私の経験では、大きな変化は突然やってくる。

長い間「変われない」と悩んでいたのに、ある日ふと、小さな勇気が湧く。そしてその小さな一歩が、思いもよらない展開を生む。

まるで春が来るように。長い冬の間、地面の下で根を張り続けていた植物が、暖かい日差しを受けて一気に芽吹くように。

あなたの変化も、きっとそうやって訪れる。

今の自分も愛してあげよう

変わりたい自分と同じくらい、今の自分も愛してあげよう。

変われない自分を責めるのではなく、変わりたいと願う自分を認めてあげよう。

完璧ではない自分、思うようにいかない自分、でも一生懸命な自分。すべてが愛おしい、あなたらしさの一部。

変化の芽はもう出ている

実は、変わりたいと思った瞬間から、あなたはもう変わり始めている。

意識が変われば、見える世界が変わる。見える世界が変われば、選択肢が変わる。選択肢が変われば、行動が変わる。

今日変化が見えなくても、心配しないで。地面の下では、確実に変化の根が伸びている。

明日も、明後日も、変わりたいという気持ちを大切にしながら、自分のペースで歩んでいこう。

変わりたいあなたも、変われないあなたも、すべてが大切な今のあなた。その全部を抱きしめて、今日という日を過ごしていこう。