映画を見ていて、主人公が恋人に「愛してる」と言われるシーンで、胸がきゅっと痛くなる。
ドラマで、大切に抱きしめられるシーンを見て、羨ましさで涙が出そうになる。
友達が恋人からのメッセージを嬉しそうに読んでいるのを見て、私もそんな経験をしてみたいと心の底から思う。
誰かに愛される喜び。それがどんなものなのか、体験してみたい。
想像だけの世界
今まで本や映画、ドラマでしか知らない世界。
「君がいないと生きていけない」 「君といると心が安らぐ」 「君のすべてが愛おしい」
そんな言葉を、実際に自分に向けて言ってもらったことがない。想像の中でしか、その温かさを感じたことがない。
大学でコミュニケーション学を学んでいた頃、「愛」について理論的に勉強したこともあった。愛着理論、親密性の発達段階、恋愛における心理的メカニズム。
でも、どんなに理論を学んでも、実際に体験したことがないものは、結局のところ想像でしかない。頭では理解できても、心で感じたことがない。
みんなが当たり前に経験していること
周りを見渡すと、多くの人が「愛される経験」を持っている。
学生時代の初恋、大学での恋人、社会人になってからのお付き合い。みんな当たり前のように、誰かに愛され、愛し、時には別れを経験している。
私には、そのどれもがまるで別世界の出来事のように感じられる。
「普通」とされる経験を、私だけが知らない。みんなが共有している感情を、私だけが想像でしか知らない。
その事実が、時々とても孤独に感じられる。
愛される実感がない日常
朝起きて、誰からも「おはよう」のメッセージがない。 夜寝る前に、誰からも「お疲れ様」の連絡がない。 嬉しいことがあっても、真っ先に報告したい相手がいない。 辛いことがあっても、慰めてくれる特別な人がいない。
家族は愛してくれているし、友達も大切にしてくれている。でも、それとは違う種類の愛。特別な一人からの、特別な愛情を受け取ったことがない。
愛される喜びってどんな感じ?
想像してみる。
朝、目が覚めたときに隣にいる人から「おはよう」と優しく言われたら、どんな気持ちになるのだろう。
疲れて帰ったとき、「お疲れ様」と労ってもらえたら、どんなに安らぐのだろう。
自分の話を、心から興味を持って聞いてもらえたら、どんなに嬉しいのだろう。
存在そのものを肯定され、必要とされることの安心感は、どのようなものなのだろう。
一人でいることの意味を問い直す
一人でいることが悪いわけではない。一人の時間には、たくさんの価値がある。
でも、「愛される体験」がないまま人生が過ぎていくことへの不安は、時々心を襲う。
このまま一生、誰かに心から愛される経験をしないまま終わってしまうのだろうか。愛し愛される関係の中で感じられる幸福感を、知らないまま人生を終えるのだろうか。
愛される準備はできている
でも、私は愛される準備ができている。
人を思いやる優しさがある。相手の話を真剣に聞く耳がある。一緒に喜び、一緒に悲しむことができる心がある。
支えてもらいたい気持ちもあるし、支えてあげたい気持ちもある。甘えたい瞬間もあるし、頼られたい瞬間もある。
愛される経験がないからといって、愛する能力がないわけではない。
小さな愛を見つける練習
大きな恋愛体験を待つ間にも、小さな「愛される体験」を大切にしよう。
家族からの何気ない優しさ。 友達からの思いやりのある言葉。 ペットからの無償の愛情。 店員さんからの親切な対応。
これらも確かに「愛」の形。完璧な恋愛体験ではないかもしれないけれど、温かい気持ちになれる瞬間。
そうやって小さな愛を受け取る練習をしていれば、いつか大きな愛がやってきたときに、それを素直に受け入れることができるはず。
自分も愛される価値がある
「私なんかが愛されるはずがない」
そんな風に思ってしまうこともある。でも、それは間違い。
あなたには愛される価値がある。あなたの優しさ、あなたの真面目さ、あなたの一生懸命さ、あなたの繊細さ。すべてが誰かにとっての宝物になる。
愛される経験がないからといって、愛される価値がないわけではない。ただ、まだ出会っていないだけ。タイミングが合わないだけ。
その日は必ず来る
誰かに心から愛される日は、必ず来る。
あなたのすべてを受け入れて、大切にしてくれる人との出会いは、必ずやってくる。そのとき、今まで想像でしかなかった「愛される喜び」を、実際に体験できる。
朝の「おはよう」に胸が温かくなり、夜の「お疲れ様」にほっと安らぎ、「愛してる」という言葉に涙が出るほど嬉しくなる日が来る。
今日も希望を持って
今日もまた、誰からも特別な愛情を受け取らない一日が終わるかもしれない。
でも、明日は違うかもしれない。来週は違うかもしれない。来月は違うかもしれない。
その日まで、自分を大切に育てていこう。愛される準備を整えながら、小さな愛にも気づける心を持っていよう。
誰かに愛される喜びを体験する日は、きっと来る。
その日を信じて、今日も自分らしく過ごしていこう。