鏡を見るたび、思ってしまう。
「この人なら、好きな人に愛してもらえるだろうか」
好きな人ができると、自分のすべてが急に気になり始める。髪型、服装、話し方、笑顔の作り方。そして何より、内面の魅力。
愛される自分になりたい。でも、どこまで変わったら「自分」ではなくなってしまうのだろう。
愛されたい気持ちは自然なこと
好きな人に愛されたいと思うのは、とても自然で美しい感情。
その人のことを想うとき、胸がきゅっと締め付けられるような感覚。その人の笑顔を見たときの、世界が輝いて見えるような瞬間。その人に認められたいと願う、純粋な気持ち。
これらはすべて、人間として当たり前の、そして尊い感情。
私も大学時代、ある人に恋をした。その人はとても聡明で、いつも的確な意見を言う人だった。私は自分がもっと賢くなれば、その人に認めてもらえるのではないかと思った。
勉強をより一層頑張った。本もたくさん読んだ。時事問題にも敏感になった。
でも今思えば、それは決して無駄ではなかった。その努力は、確実に私を成長させてくれたから。
「変わる」と「成長する」の違い
好きな人のために変わりたいと思うとき、大切なのは「変わる」と「成長する」の違いを理解すること。
自分を偽って相手の好みに合わせるのは「変わる」こと。 自分の中にある可能性を引き出すのは「成長する」こと。
好きな人が読書家なら、一緒に本について語れるようになりたいと思う。それは素敵な動機。でも、本当は興味がないのに読書好きを演じるのは、長続きしない。
むしろ、その人への想いをきっかけに、本当に自分が読書の楽しさを発見できたなら、それは真の成長。
あなたの魅力は既にそこにある
好きな人に愛されるために、自分を根本的に変える必要はない。
なぜなら、あなたにはすでに十分な魅力があるから。その人を好きになれる優しい心、誰かを想う深い感情、自分をより良くしようとする向上心。これらはすべて、かけがえのない魅力。
私は長い間、自分には魅力がないと思い込んでいた。だから好きな人の前では、いつも「理想の自分」を演じようとしていた。
でも疲れてしまった。そして気づいた。本当の自分を隠していては、本当の愛は生まれない。
相手に合わせすぎる危険
好きな人に愛されたい一心で、相手の好みや価値観に過度に合わせようとしてしまうことがある。
でも、それは長期的に見ると危険。
相手の趣味を全部真似する。相手の意見にいつも同調する。相手が嫌いなものを、自分も嫌いになる。
そうやって作り上げた「愛される自分」は、実は本当の自分ではない。そして相手もまた、本当のあなたを愛しているわけではない。
自分らしさを大切にしながら成長する
本当に大切なのは、自分らしさを保ちながら、より良い自分になること。
好きな人が料理上手なら、一緒に料理を楽しめるようになりたいと思う。それは素敵。でも、料理が苦手な自分を恥じる必要はない。
好きな人がアウトドア好きなら、自然の魅力を理解したいと思う。でも、インドア派の自分を否定する必要はない。
大切なのは、相手の世界を理解しようとする姿勢。そして、お互いの違いを認め合える関係性。
愛される努力と愛する努力
「愛される自分になりたい」と思うのと同じくらい、「愛する自分でありたい」と思うことも大切。
相手のことをもっと理解したい。相手の好きなものを知りたい。相手の夢を応援したい。相手の辛いときに寄り添いたい。
そうやって相手を想う気持ちそのものが、あなたを魅力的にする。愛する心を持っている人は、自然と愛される人になる。
拒絶されることへの恐れ
愛されたいと願うとき、同時に恐れているのは拒絶されること。
「こんな自分では愛してもらえない」 「もっと素敵にならなければ」 「まだ準備ができていない」
そんな不安が、自分を変えようとする衝動の裏にある。
でも、どんなに完璧になっても、相性が合わなければうまくいかない。そして、どんなに不完全でも、心が通じ合えば奇跡のような関係が生まれる。
今のあなたで十分愛される価値がある
好きな人に愛される自分になりたいという気持ちは、とても美しい。でも、今のあなたもすでに十分愛される価値がある。
成長したいと思う心、誰かを大切に想う気持ち、自分をより良くしようとする努力。これらすべてが、あなたの魅力。
もし相手があなたの今の姿を受け入れてくれないなら、それは相性の問題。あなたに価値がないわけではない。
愛は相互的なもの
最後に、忘れてはいけないのは、愛は一方的なものではないということ。
あなたが相手を愛するように、相手もあなたを愛してくれる関係が理想的。あなたが相手のために成長しようとするように、相手もあなたのために努力してくれる関係。
そんな相互的な愛を育めるかどうかが、本当の意味での「愛される自分」になることの鍵かもしれない。
好きな人に愛されたいという想い、その純粋な気持ちを大切にしながら、まずは自分自身を愛することから始めよう。
自分を愛せる人は、きっと誰かからも愛される。そしてその誰かが、今あなたが想っている人である可能性も十分にある。
あなたらしさを失わずに、あなたらしく成長していこう。その先に、きっと素敵な愛が待っている。