夜中に目が覚めたとき、ふと感じる心細さ。雨の日の帰り道、重い荷物を持ちながら歩いているとき。仕事で理不尽なことを言われて、一人でアパートに帰ったとき。
そんな瞬間に、心の奥からぽっと浮かび上がる気持ちがある。
「誰かに守られたい」
この気持ちを口にするのは、なんだか恥ずかしい。現代の女性は強くあるべきだと言われるし、自立していることが当たり前だと思われているから。
でも、この気持ちは確かに存在している。
守られたいと思うことは弱さじゃない
「守られたい」と思うことを、弱さだと感じてしまうことがある。
特に一人暮らしをしていると、何でも自分でやらなければならない。電球を替えるのも、重い荷物を運ぶのも、夜道を歩くのも、すべて一人。
そうやって日々を過ごしているうちに、「自分は強い」と思い込もうとする。でも時々、疲れてしまうのも事実。
私も大学時代、一人で何でもできるようになりたくて、必死に頑張っていた。コミュニケーション学を学びながら、人に頼ることを弱さだと思っていた。
でも今思えば、誰かに守られたいと思うのは、人間として自然な感情。それは決して弱さではなく、誰かとつながりたいという温かい気持ちの表れ。
どんな「守られ方」を求めているのか
「守られたい」と言っても、それは必ずしも物理的な保護を求めているわけではない。
もちろん、重い荷物を持ってもらったり、夜道を一緒に歩いてもらったりするのも嬉しい。でも、それ以上に求めているのは「心の安全地帯」かもしれない。
辛いことがあったとき、「大丈夫だよ」と言ってくれる人。 不安になったとき、そばにいてくれる人。 頑張りすぎているとき、「もう少し力を抜いていいよ」と言ってくれる人。
そんな存在がいるだけで、世界が少し安全な場所に感じられる。
甘えることを許可してほしい
普段しっかりしている人ほど、甘えることに罪悪感を感じてしまう。
周りからは「頼りになる人」と思われているから、弱音を吐いたり、助けを求めたりするのが難しい。でも時には、素の自分を見せたい。頑張らない自分でも受け入れてもらいたい。
「今日は疲れた」 「一人で決めるのに疲れた」 「誰かに任せたい」
そんな本音を、責められることなく受け止めてもらえる関係があれば、どんなに心が軽くなるだろう。
守られることで、守る力も生まれる
不思議なことに、誰かに守られる経験は、自分が誰かを守る力も育ててくれる。
安心感を知っているからこそ、それを他の人にも分けてあげたくなる。愛されることを知っているからこそ、愛し方も覚える。
私は長い間、「自分が強くならなければ」と思っていた。でも本当に必要だったのは、弱い自分も含めて受け入れてもらえる経験だった。
そうやって心が満たされると、自然と他の人に優しくできるようになる。
相互的な関係の美しさ
「守られたい」という気持ちは、一方的な依存ではない。
相手を守りたいという気持ちと表裏一体のもの。お互いがお互いを大切に思い、必要なときに支え合う。そんな相互的な関係こそが、本当の意味での「守り合い」。
時には私が守られ、時には私が守る。その役割が自然に入れ替わりながら、お互いを大切にしていく。
罪悪感を手放そう
「守られたい」と思う自分を責める必要はない。
現代社会は、特に女性に対して「強くあること」を求めすぎている。でも強さにもいろいろな形がある。一人で何でもできることだけが強さではない。
誰かに頼れることも、素直に甘えられることも、実は勇気のいること。そして何より、そうやって誰かとつながることで得られる力もある。
求めることから始めよう
「守られたい」という気持ちを、心の奥にしまい込む必要はない。
まずは自分の気持ちを認めることから。そして、信頼できる人がいるなら、少しずつその気持ちを伝えてみることから。
「疲れたときは話を聞いてもらえると嬉しい」 「一人で決められないときは相談に乗ってもらえるかな」 「たまには甘えさせてもらいたい」
そんな風に、自分の気持ちを丁寧に言葉にしてみる。
あなたの気持ちは大切
誰かに守られたいと思うあなたの気持ちは、とても大切で、とても自然なもの。
その気持ちを持っているからこそ、あなたは誰かの温かさを感じ取ることができる。そして、いつか誰かを守りたいと思えるようになる。
一人で頑張るのに疲れたとき、誰かの優しさが恋しくなったとき、そんな自分を恥じることはない。
あなたには守られる価値がある。そして、あなたを大切に思い、守りたいと思ってくれる人がきっといる。
その出会いを信じて、今日も自分の気持ちを大切にしながら歩んでいこう。
時には強く、時には甘えて。 時には支えて、時には支えられて。
そんな温かい関係の中で、あなたらしく生きていこう。