夜、一人でベッドに入るとき、ふと思う。
隣に誰かがいて、静かな寝息が聞こえる生活ってどんな感じなんだろう。
朝起きたとき「おはよう」と言える相手がいて、「いってらっしゃい」「おかえり」を交わし合える毎日って、どれほど心が温かくなるんだろう。
私はその安心感を、まだ知らない。
一人で頑張ることに疲れた
これまでの人生、ずっと一人で頑張ってきた。
学校でも、仕事でも、人間関係でも。困ったときは自分で解決し、悲しいときは自分で慰め、嬉しいときも一人で喜んできた。
周りからは「自立している」「しっかりしている」と言われる。確かに、一人でできることは多い。でも、時々疲れてしまう。
すべてを自分で背負うことの重さに、押し潰されそうになることがある。
大学でコミュニケーション学を学んでいた頃、「人間は本来社会的な生き物である」という授業があった。一人でも生きていけるけれど、誰かとつながることで得られる安心感や幸福感は、決して一人では味わえないものだと。
その授業を受けながら、私は一人で講義ノートを取り、一人で帰路についていた。皮肉だなと思った。
理想化しすぎているかもしれない
もちろん、誰かと一緒にいることがすべて良いことばかりではないのも分かっている。
ケンカもするだろうし、価値観の違いで悩むこともあるだろう。相手に合わせることで疲れることもあるかもしれない。
でも、それでも一度でいいから体験してみたい。誰かと分かち合える安心感を。
朝起きたときに誰かがいる安心感。 何気ない日常を一緒に過ごせる喜び。 つらいことがあったとき、言葉にしなくても隣にいてくれる温かさ。 嬉しいことがあったとき、すぐに共有できる相手がいる幸せ。
これらを理想化しすぎているのかもしれない。でも、憧れずにはいられない。
小さな安心感の積み重ね
実は、安心感って大きな出来事からだけ生まれるものではないのかもしれない。
きっと、小さな日常の積み重ねから生まれるもの。
一緒にスーパーで買い物をして、何を買うか相談し合う時間。 テレビを見ながら、どうでもいいことで笑い合う瞬間。 風邪をひいたとき、心配してくれる人がいる安心感。 何も特別なことはない普通の一日を、誰かと一緒に過ごせること。
そんな当たり前のことが、きっと一番の安心感なんだろう。
一人の時間の価値も知っている
誰かと一緒にいたいと思う一方で、一人の時間の大切さも分かっている。
一人だからこそ、自分と深く向き合えた。 一人だからこそ、本当に好きなことを見つけられた。 一人だからこそ、自分の価値観を大切に育てることができた。
この時間は決して無駄ではなかった。むしろ、将来誰かと一緒になったとき、この経験がきっと役に立つ。
自分一人でも幸せでいられる人だからこそ、相手にとっても魅力的な存在になれる。依存ではなく、お互いを尊重し合える関係を築けるはず。
安心感は一方的ではない
私が求めているのは、一方的に安心感を与えてもらうことではない。
私も誰かに安心感を与えたい。誰かの帰る場所になりたい。誰かにとって「この人がいるから大丈夫」と思ってもらえる存在になりたい。
一人で頑張ってきた経験があるからこそ、相手の頑張りも理解できる。つらいときの気持ちも分かる。だから、きっと支え合える関係を築けると思う。
焦らず、でも諦めず
安心感のある関係は、すぐには築けないのかもしれない。
相手を知り、相手に自分を知ってもらい、お互いを信頼し合う。そのプロセスには時間がかかる。
でも、焦る必要はない。本当の安心感は、急いで手に入れるものではなく、じっくりと育てていくもの。
私は今、その準備をしている。一人の時間を使って、自分を磨き、相手を大切にできる心を育てている。
小さな一歩から
まずは、友達や家族との関係から安心感を感じてみよう。
一人で抱え込まずに、時には誰かに頼ってみる。自分の弱さを見せてみる。そうすることで、相手も自分を信頼してくれるかもしれない。
完璧でない自分を受け入れてもらえる経験を重ねることで、きっと恋愛でも同じような関係を築けるようになる。
いつか来るその日まで
今夜もまた一人でベッドに入る。でも、いつかは隣に誰かがいる夜が来ると信じている。
その日まで、一人の時間も大切に過ごそう。自分を愛し、自分を大切にしながら。
そして、同じように安心感を求めている誰かと、いつか出会えると信じて。
一人で頑張ってきたあなたはとても強い。その強さを持ちながら、誰かと支え合える日を夢見て。
きっとその日は来る。誰かと一緒にいる、心からの安心感を知る日が。