夜が深くなると、この気持ちが強くなる。
電気を消した部屋で、布団に潜り込みながら思う。誰かのことを想って眠りにつきたい、と。
顔を思い浮かべながら、今日あった出来事を心の中で報告して、「おやすみ」と小さく呟いて眠りにつく。そんな夜を過ごしてみたい。
一人で迎える夜の静寂
毎晩、同じルーティンで夜を迎える。
歯を磨いて、スマホを充電器に繋いで、明日の準備をして、ベッドに入る。そして天井を見上げながら、今日一日を振り返る。
楽しかったこと、疲れたこと、少し嬉しかったこと。でも、それを誰かと分かち合うことはない。心の中で整理して、一人で消化して、また明日を迎える。
これが悪いわけではない。自立した大人として、一人の時間を大切にすることは素晴らしいこと。でも時々、無性に寂しくなる。
想像の中の温かさ
もしも誰かがいたら、どんな夜になるだろう。
「今日はどうだった?」と聞いてくれる人がいて、他愛もない話をしながら、お互いの一日を共有する。時には愚痴を聞いてもらったり、小さな幸せを一緒に喜んでもらったり。
そして眠りにつく前に、「おやすみ」と言い合える人がいる。
距離が離れていても、電話で声を聞きながら眠りにつく。同じ布団で隣に感じる温かさ。どちらでもいい。ただ、誰かを想いながら眠りにつけたら、どんなに安らかだろう。
恋愛映画の憧れと現実
映画やドラマで見るような恋愛に憧れる。
大学でコミュニケーション学を学んでいたとき、メディアが描く恋愛と現実の恋愛の違いについて研究したことがある。映画の恋愛は確かに理想化されすぎている。でも、その理想に心を動かされることに罪はない。
現実はもっと複雑で、もっと地味で、もっと日常的なもの。それは理解している。でも、眠りにつく前の数分間だけでも、そんな温かさを想像していたい。
想い人への報告
実際には存在しない相手に、心の中で話しかけることがある。
「今日はね、カフェで美味しいケーキを食べたの」 「仕事で小さな成功があったよ」 「ちょっと疲れちゃった」
そんな他愛もない報告を、心の中でその人にしている。想像の中の相手は、いつも優しく聞いてくれる。そして「お疲れさま」「よく頑張ったね」と言ってくれる。
これは少し切ないけれど、同時に温かい時間でもある。
一人で眠ることの価値
一人で眠ることに、悪いイメージを持つ必要はない。
一人の時間は、自分と向き合う大切な時間。誰にも邪魔されずに、自分の気持ちを整理できる貴重な時間。そして何より、自分のペースで休める時間。
パートナーがいても、時には一人で眠りたい夜もある。それぐらい、一人の時間には価値がある。
でも、それでも時々、誰かの温かさが恋しくなる。それは自然な感情。
眠りにつく前の儀式
最近、眠る前の小さな儀式を作った。
明日への感謝を心の中で呟く。今日がんばった自分を褒める。そして、いつか現れるであろうその人に、「今日もお疲れさま。明日もよろしくね」と心の中で話しかける。
これは少し幼稚に聞こえるかもしれない。でも、この小さな儀式が、一人の夜を少しだけ温かくしてくれる。
未来への希望
いつか本当に、誰かのことを想いながら眠りにつく日が来るのだろうか。
その人がどんな人なのかは分からない。どんな出会い方をするのかも分からない。でも、その日が来ることを信じている。
それまでは、一人の夜も大切にしよう。想像の中の温かさも大切にしよう。そして何より、今の自分の気持ちも大切にしよう。
あなたも同じ気持ち?
もしもあなたも同じような気持ちを抱いているなら、それは決して恥ずかしいことではない。
誰かを想って眠りにつきたいという願いは、とても人間らしくて、とても美しい感情。その気持ちを大切に抱きながら、今夜も静かに眠りにつこう。
そしていつか、本当にその人のことを想いながら「おやすみ」と言える日を信じて。
今夜もまた、一人で迎える夜。でも、どこかで同じような気持ちを抱いている人がいることを思いながら、少しだけ温かい気持ちで眠りにつこう。
きっと、その日は来る。