胸の奥に、ずっと抱え続けている願いがある。
「誰かに選ばれたい」
ただ好かれるだけじゃなく、たくさんの人の中から、私を選んでほしい。私じゃなきゃダメだと思ってほしい。私が特別だと感じてほしい。
この願いは、時にあまりにも重くて、自分でも持て余してしまう。
選ばれることの意味
「選ばれる」ということには、特別な力がある。
友達グループの中で最初に声をかけられること。 複数の候補者の中から恋人として選ばれること。 たくさんの応募者の中から仕事に選ばれること。
選ばれる瞬間、私たちは「自分には価値がある」と確信できる。誰かが私の存在を認め、必要としてくれている。この実感ほど心を満たすものはない。
でも同時に、選ばれないときの痛みも深い。「なぜ私じゃダメなのか」「何が足りないのか」「どうして他の人なのか」。その疑問が頭の中をぐるぐると回る。
選ばれない恐怖
私が大学生だった頃、サークルの新歓でグループ分けがあった。みんな自然に固まっていく中で、最後に残ってしまった自分。その時の居たたまれなさは、今でも鮮明に覚えている。
別に誰かが意地悪をしたわけではない。たまたまのタイミング、たまたまの巡り合わせ。でもその瞬間、世界で一番いらない存在になったような気がした。
恋愛でも同じ。気になる人が他の人を選んだとき、自分の何がダメだったのか考え続けてしまう。相手の選択を尊重したい気持ちと、なぜ自分じゃダメだったのかという疑問が同時に湧き上がる。
選ばれるために変わろうとする自分
選ばれたいという気持ちが強くなると、つい自分を変えようとしてしまう。
もっと明るくなれば選ばれるかもしれない。 もっと面白い話ができれば注目されるかもしれない。 もっときれいになれば振り向いてもらえるかもしれない。
でも、そうやって変えた自分で選ばれたとき、本当に私が選ばれたと言えるのだろうか。作り上げた理想の自分が選ばれただけで、本当の私は見てもらえていないのではないか。
そんな疑問が頭をよぎって、素直に喜べない自分がいる。
選ぶ側の気持ちも考えてみる
でも時々、選ぶ側の立場になって考えてみる。
私が誰かを選ぶとき、その理由は複雑だ。外見の好みもあれば、話していて居心地がいいかどうかもある。共通の趣味があるかもしれないし、単純にタイミングが合っただけかもしれない。
そして何より、「選ばれたい」オーラが強すぎる人には、プレッシャーを感じてしまうことがある。その人の期待に応えられるか不安になったり、重たく感じたりしてしまう。
皮肉なことに、選ばれたいと強く願うほど、選ばれにくくなってしまうこともある。
選ばれることと愛されることの違い
選ばれることと愛されることは、似ているようで少し違う。
選ばれるのは一瞬の出来事。でも愛されるのは継続的なもの。
選ばれるときは比較がある。「AさんよりもBさんの方がいい」という判断。でも愛されるときは、比較を超えた存在になっている。「この人じゃなきゃダメ」という唯一性。
私たちが本当に求めているのは、選ばれることよりも愛されることなのかもしれない。でも愛される前に、まず選ばれる必要がある。そのジレンマが、この願いを重くしている。
自分で自分を選ぶこと
最近気づいたことがある。
誰かに選ばれることばかり考えていたけれど、まず自分で自分を選んでいるだろうか。
自分の長所を認めているか。 自分の価値を信じているか。 自分の選択を信頼しているか。
自分で自分を選べない人が、他人に選ばれても、その喜びは長続きしない。「本当に私でよかったのか」「いつか捨てられるのではないか」という不安がつきまとう。
でも自分で自分を選んでいる人は、他人に選ばれたとき素直に喜べる。そして選ばれなかったときも、「縁がなかっただけ」と受け止められる。
選ばれることの執着を手放す
選ばれたいという願いは自然なもの。でも、その願いに執着しすぎると、かえって苦しくなる。
「必ず選ばれなければならない」という考えから、「選ばれたらいいな」という軽やかな願いに変えてみる。
「選ばれない自分には価値がない」という思い込みから、「選ばれなくても私は私」という受容に変えてみる。
そうすると不思議なことに、肩の力が抜けて、もっと自然な自分でいられるようになる。そして自然な自分の方が、結果的に人に選ばれやすくなったりする。
あなたはすでに特別
誰かに選ばれたいと願うあなたへ。
あなたはすでに、この世界でたった一人の特別な存在。誰かに選ばれなくても、あなたの価値は変わらない。
もちろん、選ばれたいという気持ちを持つのは自然なこと。その願いを恥じる必要はない。でも、その願いに縛られすぎないでほしい。
あなたがあなたらしくいること。それが、最終的には誰かの心に響く一番の方法だから。
今日から始められること
選ばれたいという願いの重さを少し軽くするために、今日からできることがある。
自分の小さな努力を認めること。 自分の成長を褒めること。 自分の選択を信じること。
そして何より、「選ばれなくても大丈夫」と自分に言い聞かせること。
その安心感があるとき、私たちは一番魅力的な自分になれる。余裕があって、自然で、一緒にいて心地よい人に。
誰かに選ばれたいという願いは、きっと叶う日が来る。でもその前に、まず自分で自分を選んであげよう。
あなたはすでに、選ばれるに値する素晴らしい人なのだから。