「もっと積極的にならなきゃダメだよ」
友達にそう言われるたび、心の中で小さなため息をついてしまう。分かってる。頭では分かってる。でも、どうしても一歩踏み出せない。
なぜ私は恋愛に積極的になれないのだろう。今日はその理由を、自分なりに考えてみた。
傷つくことへの恐れ
一番大きな理由は、きっとこれ。傷つくのが怖い。
好きになって、アプローチして、でも振られたら。今まで築いてきた日常が、一瞬で色あせて見えてしまいそう。
私は昔から、感情の振り幅が大きい方だった。嬉しいときは天にも昇る気持ちになるけれど、悲しいときは地の底に落ちたような気分になる。
だから恋愛での拒絶は、私にとって想像以上のダメージになることを、心のどこかで知っている。
「傷つくリスクを避けるために、何もしない」
これは一種の自己防衛メカニズム。理性的には前に進むべきだと分かっていても、感情が「危険だ」と警告を発している。
自己肯定感の低さ
正直に言うと、自分に自信がない。
「私なんかが積極的になったところで、相手に迷惑なだけでは?」 「きっと他にもっと素敵な人がいるはず」 「私のことを好きになる人なんているのかな」
こんな思いが頭の中をぐるぐると回る。
大学でコミュニケーション学を学んでいた時、自己肯定感と対人関係について研究していた。理論的には理解できるのに、自分のこととなると全く違う。知識と実践の間には、深い溝がある。
完璧主義の罠
「積極的になるなら、完璧にやりたい」
この思いも、行動を妨げる要因の一つ。
適切なタイミング、完璧な言葉、理想的なシチュエーション。すべてが揃うまで待っていたら、結局何もできずに終わってしまう。
でも完璧主義って、実は「失敗への恐れ」の別の表現なのかもしれない。完璧を目指すことで、実際の行動を先延ばしにする。そうすれば、失敗することもない。
相手を思いやりすぎる気持ち
「相手の迷惑になったらどうしよう」
この思いも強い。
もしかしたら相手には既に好きな人がいるかもしれない。忙しい時期かもしれない。私からのアプローチが負担になってしまうかもしれない。
こういう想像をしすぎて、結局何も行動できない。
でもこれも、優しさの裏返しなんだと思う。相手のことを大切に思うからこそ、慎重になりすぎてしまう。
過去の経験の影響
過去に積極的になって、痛い思いをした経験がある人も多いのではないだろうか。
私も学生時代、勇気を出して気持ちを伝えたことがある。でも結果は、気まずい沈黙と、それに続く距離を置かれる日々だった。
それ以来、「積極的になること=傷つくこと」という方程式が、心の奥底に刻まれてしまった。
一度刻まれた恐怖は、理屈では消せない。時間をかけて、少しずつ癒していくしかない。
「積極的」の定義が分からない
「積極的になる」って、具体的にどういうこと?
好きな人に毎日メッセージを送ること?デートに誘うこと?気持ちを伝えること?
正解が分からないから、どこから始めていいか分からない。そして間違いを恐れるあまり、何もできずに終わってしまう。
一人の時間の心地よさ
これも大きな理由の一つ。一人でいることが、そんなに苦痛ではない。
本を読んだり、映画を見たり、散歩をしたり。一人だからこそ味わえる静寂や自由がある。
恋愛で積極的になることは、この心地よい日常を変化させることを意味する。変化はリスクを伴う。そのリスクを冒してまで、恋愛を求める気持ちが、実はそれほど強くないのかもしれない。
「待つ」ことへの慣れ
長い間受け身でいると、「待つ」ことが当たり前になってしまう。
誰かが話しかけてくれるのを待つ。誰かがアプローチしてくれるのを待つ。誰かが私に気づいてくれるのを待つ。
この「待つ」スタイルは楽だ。責任を負わなくていいし、拒絶されるリスクもない。でも同時に、自分の人生の主導権を手放してしまっている。
それでも、少しずつ
これらの理由を挙げてみて気づいたのは、どれも「自分を守ろうとする気持ち」から来ているということ。
それは決して悪いことではない。自分を大切にすることは重要だ。
でも、守りすぎることで失うものもある。新しい出会い、素敵な関係、自分自身の成長。
だから、一気に変わる必要はないけれど、少しずつでも変化していけたらいいなと思う。
小さな一歩から
積極的になるって、いきなり告白することじゃない。
まずは、好きな人と目が合ったときに微笑んでみる。 興味のある人が話していることに、少し身を乗り出してみる。 「おはよう」の挨拶を、少し明るい声で言ってみる。
こんな小さなことから始めてもいい。
完璧である必要はない。うまくできなくても、今日より明日、少しだけ勇気を出せるようになれば、それでいい。
自分のペースで
恋愛に積極的になれない理由は、人それぞれ違う。
でも大切なのは、その理由を責めることではなく、理解することだと思う。
自分がなぜそう感じるのかを知ることで、少しずつ変わっていくヒントが見つかるかもしれない。
私も、まだまだ積極的とは言えない。でも今日、こうやって自分の気持ちを整理できたことが、小さな一歩だと思いたい。
あなたも、あなたのペースで、あなたらしい方法で、少しずつ前に進んでいけばいい。
急がなくて大丈夫。今の自分を受け入れながら、でも諦めずに、少しずつ。